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侵略的外来種アルゼンチンアリにおけるスーパーコロニーの進化と維持機構の解明(平成 22年度)
Evolution of supercolony formation in invasive alien species, Argentine ant

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1013CD001
開始/終了年度
2010~2013年
キーワード(日本語)
外来種,保全生態学
キーワード(英語)
invasive alien species, conservation biology

研究概要

本研究は、侵略的外来種アルゼンチンアリのスーパーコロニーの生態特性およびスーパーコロニー間での遺伝子流動の有無を明らかにすることにより、アルゼンチンアリの巨大スーパーコロニーと小規模スーパーコロニーの進化と維持機構の解明を目的とする。それにより、アルゼンチンアリの侵略性の解明および本種の防除対策への提言のみならず、スーパーコロニー形成メカニズムの仮説を検討することにより、これまで謎とされてきた社会性昆虫におけるスーパーコロニー進化の解明に寄与するものである。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

平成22年度は、おもにサンプル採集と現地調査、室内での巣の調査を行うとともに、分子遺伝解析を行い、野外におけるスーパーコロニーの分布状況や巣の生産性、遺伝子流動の有無について明らかにする。平成23年度以降は、引き続き野外におけるスーパーコロニーの分布状況を把握するとともに、遺伝子流動の有無を明らかにする。同時に室内実験を開始し、競争力の比較実験およびコロニー融合実験、交尾行動実験を行う。

今年度の研究概要

(1) サンプル採集および現地調査
日本では、兵庫県神戸市において4つのスーパーコロニーに属する巣を採集する。また、スーパーコロニーの大きさや分布境界線は年変動することが知られているため、サンプル採集と同時にスーパーコロニー間の分布境界線を現地調査によって把握する。
また、連携研究者である伊藤文紀教授とともにアメリカ南西部およびカリフォルニアにおいて、巨大スーパーコロニーおよび小規模スーパーコロニーのサンプリングを実施する。

(2) スーパーコロニー間の繁殖能力の比較
スーパーコロニーの生態特性を明らかにするために、室内で採集した巣の調査を行い、女王数および各女王の体サイズや卵巣小管数の計測を実施し、スーパーコロニー間での繁殖能力の比較を行う。調査後、巣は伊藤文紀教授の飼育方法に従い、室内飼育を行う。

(3) マイクロサテライトDNAマーカー解析によるスーパーコロニー間の遺伝構造
文献情報(Krieger & Keller 1999)から設計したマイクロサテライトDNAマーカーを用いたPCR法により、採集したワーカーのマイクロサテライトの特定遺伝子領域の増幅を行う。増幅が認められたDNA断片はオートシークエンサーにより解析し、STRUCTUREによるアサイメント解析を行うことで、遺伝構造を明らかにする。また、コロニー内の女王・ワーカーの繁殖虫に対する血縁度を推定する。同時に採集した巣のワーカーを用いて、室内で敵対性試験を実施し、敵対性レベルを明らかにする。

課題代表者

井上 真紀