- 予算区分
- AF 奨励
- 研究課題コード
- 1011AF003
- 開始/終了年度
- 2010~2011年
- キーワード(日本語)
- 都市大気,DNAマイクロアレイ,総体評価,データマインング,毒性プロファイリング
- キーワード(英語)
- urban air pollutants, DNA microarray,, integral evaluation, data mining, toxicological profiling
研究概要
都市大気は総体として肺がんや喘息などの健康影響を発現する。しかし、これまで組成等が異なる都市大気を総体として評価することは複雑で困難であった。そこで、主要な多環芳香族炭化水素の毒性発現プロファイルと、突然変異スペクトルデータを統合したデータセットと、都市大気抽出物のデータセットを比較・分析し、各成分の毒性への寄与の程度を解析する。この情報を基に都市大気成分総体の毒性を評価する手法を開発する。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
都市大気中の浮遊粒子状物質からの抽出物に含まれるbenzo (a)pyrene, 1,6-dinitropyrene, 3,6- dinitro(e)pyrene等の多環芳香族炭化水素が肺内で示す変異原性について、これまで多くの知見が当研究室で得られている。そこで、これら抽出成分について、新たに以下の手順で遺伝子発現データから毒性発現プロファイルを得て、さらに突然変異スペクトルのデータを統合する。
1. 都市大気抽出成分をマウスに気管内投与し、DNAマイクロアレイを用いて網羅的遺伝子発現データを得る。
2. マニュアルキュレーションによる独自のデータマイニング法を用いて、遺伝子発現データから関連する毒性およびパスウェイを抽出し、それらのp値、ランキング等を算出し、各抽出成分に対してヒトに外挿した健康影響に関するプロファイルを作成する。
3. 上記の抽出成分をモニタリング遺伝子導入マウス(gpt delta mouse)に同様の方法で気管内投与することにより得られた変異スペクトルの解析結果を統合し、新規の毒性寄与解析手法を開発する。1-3と同様の研究を都市大気粒子状物質の抽出物投与群についても行う。
以上の研究を実施することにより、各成分が抽出物総体の毒性に寄与する程度を明らかにする。さらにこの知見を基に都市大気総体の毒性を評価する系を開発する。
今年度の研究概要
都市大気中の浮遊粒子抽出物やその主成分(ベンツ(a)ピレン等)をマウス肺中に投与し、DNAマイクロアレイを用いて遺伝子発現データを得る。これらをマイニングして作成した毒性発現プロファイルと、突然変異スペクトルデータを統合し、主成分の都市大気総体の毒性発現への寄与割合を解析する新規の手法を開発する。