ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

生物利用可能性を考慮した重金属の生態リスク評価(平成 22年度)
Ecological risk assessment of heavy metals considering bioavailability

予算区分
KZ その他公募
研究課題コード
0910KZ002
開始/終了年度
2009~2010年
キーワード(日本語)
生態リスク評価,生物利用可能性,バイオティックリガンドモデル
キーワード(英語)
ecological risk assessment, bioavailability, biotic ligand model

研究概要

重金属の生物への毒性は、pH・温度・硬度・溶存有機物濃度などの水質に大きく依存することが知られている。近年、それらの依存性の原因となる「水質に依存した重金属の生物利用可能性(生物への取り込まれやすさ)の変化」を考慮した毒性補正モデルであるバイオティック・リガンドモデルが開発されてきており、米国環境保護局やEUによる重金属の詳細なリスク評価において実際に用いられ始めている。
 本研究ではバイオティック・リガンドモデルを利用し重金属の生物利用可能性を考慮した生態リスク評価を行う。リスク評価対象物質としては亜鉛・ニッケル・銅の3物質を対象とし、リスク対象地域は東京都の公共用水域とする。バイオティック・リガンドモデルを用いた重金属のリスク評価は日本において初のものであり、日本における重金属の科学的なリスク評価・管理を大きく前進させるものである

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

本研究は以下の順に実施する。

1.生態毒性データの収集
銅・亜鉛・ニッケルに関する急性および慢性生態毒性データ(および毒性試験の試験条件のデータ)を過去のリスク評価書1-5)および米国環境局の生態毒性データベースECOTOXから収集し、生態毒性に関するデータベースを作成する。

2.環境中濃度モニタリングデータの収集と解析
東京都の銅・亜鉛・ニッケルの環境中濃度モニタリングデータを東京都環境局のモニタリング結果報告サイトから収集し、環境中濃度に関するデータベースを作成する。また、水質データ(pH・硬度・TOC)についても同様に収集し、統計解析により水質の傾向に基づき各地点を幾つかの地域(eco-region)へとグループ分けを行う。

3.生態リスクの同定
3.1 バイオティック・リガンドモデルによる毒性補足
得られた毒性データおよび毒性試験の試験条件のデータから、De Schamphelaere et al. (2003; 2005; 2006)6-8)によって開発されたバイオティック・リガンドモデルを用いて毒性値の補正を行う。毒性補正の際には環境中濃度モニタリングデータの解析において行った地域のグループ分けに基づき、それぞれの地域グループにおける水質データの値を用いて地域(eco-region)ごとに毒性補正を行う。

3.2 個体レベル生態リスク評価
バイオティック・リガンドモデルによって補正を行った生態毒性データを用いて、種の感受性分布(様々な種の感受性の強さ(無影響濃度)のデータに対して統計分布を適合したもの)を作成する。その種の感受性分布の5パーセンタイル値(「種の5%影響濃度」と呼ばれ、様々な生物種のうちの5%が影響を受ける濃度を示しており、生態影響の強さの指標として一般に用いられる)を計算し、生態影響の強さの指標とする。
 それらの「種の5%影響濃度」と地点毎の環境中濃度モニタリングデータを比較し、統計モデルおよびモンテカルロシミュレーションを用いて各地点において銅・ニッケル・亜鉛の環境中濃度がそれぞれの「種の5%影響濃度」の値を超過する確率を計算する(確率論的リスク評価)。
 それらの超過確率を地点ごと・物質ごとに計算し、銅・ニッケル・亜鉛についての各地点における生態リスクを定量化する。それらの定量化された生態リスクの相互比較に基づき、最も効率的な生態リスクの管理法についての提言を行う。

今年度の研究概要

銅・亜鉛・ニッケルに関する急性および慢性生態毒性データ(および毒性試験の試験条件のデータ)を過去のリスク評価書1-5)および米国環境局の生態毒性データベースECOTOXから収集し、生態毒性に関するデータベースを作成する。

備考

(財)鉄鋼業環境保全技術開発基金2009年度研究助成金公募の助成研究として行った。

関連する研究課題
  • 0 : 環境リスク研究センターにおける研究活動

課題代表者

林 岳彦

  • 環境リスク・健康研究センター
    生態毒性研究室
  • 主任研究員
  • 理学博士
  • 生物学
portrait