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海洋起源ハロカーボンの生成メカニズムの解明
−インド洋〜南極海での船上実験−(平成 22年度)
Experimental study of halocarbon productions in seawater by ship observation

予算区分
AF 奨励 21年度後期奨励研究
研究課題コード
0910AF005
開始/終了年度
2004~2010年
キーワード(日本語)
大気海洋間相互作用,揮発性有機化合物,海洋生態系
キーワード(英語)
Air-sea interaction, Volatile Organic Compounds, Marine ecosystem

研究概要

大気中のハロカーボンは成層圏や対流圏におけるオゾン破壊やエアロゾル生成などの大気化学反応に関与している。海洋はハロカーボンの重要な発生源であるが、海水中におけるその生成過程は明らかでない。このことがハロカーボンの海洋フラックスの見積りに大きな誤差を生み、海洋環境の変化がフラックスに与える影響を予測することを困難にしている。本研究では熱帯から極域におけるハロカーボン生成の海域的な特徴を明らかにする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

2009年11月〜翌1月に南北インド洋〜南極海で海洋観測を実施して、海洋表面のハロカーボン濃度をモニタリングする。それと並行して、海水のボトル培養実験を行う。以下に、培養実験の手法を記す。

1)ボトル培養実験
 表層海水(表面〜水深100mまで)を採取してガラスボトルに封入する。ボトル内の海水を以下の培養条件に設定する。
 ・水銀添加の有無(生物の有無)
 ・ろ過の有無(プランクトンの有無・種類の違い)
 ・太陽光の有無(光化学反応の有無)
 各ボトルを採水層の水温(0〜30℃)に保ち、数時間〜数日間放置する。ボトル内のハロカーボン濃度の変化を測定し2)、各海域における生成メカニズム(光化学反応や各種プランクトン3)由来)を明らかにする。

2)培養ボトル内のハロカーボン測定
 培養ボトル内の海水中のハロカーボンをパージ&トラップ法で気相に抽出する。試料気体を自動大気濃縮器−ガスクロマトグラフィ−質量分析計に導入してハロカーボン濃度を船上で測定する。

3)プランクトン種の同定(北海道大学との共同)
 試料海水中のプランクトンをフィルター上に捕集して、高速液体クロマトグラフィで色素分析を行う。プランクトンの分析は2010年度に行う。

 以上の研究を実施することにより、海洋表層におけるハロカーボン濃度の分布を決める要因が明らかになる。

今年度の研究概要

亜熱帯海域におけるハロカーボンの光化学生成のメカニズムを解明する。北西太平洋で海洋観測を実施し、石英ガラスボトルに封入した海水に太陽光を照射する。海洋表面と水深5メートル付近に届く光の波長・量の違いによる、ハロカーボンの光化学生成の特徴を調べる。

備考

関連プロジェクトは「海洋起源ハロカーボン類のフラックスと生成過程に関する研究」(代表 横内陽子)である。
 当関連プロジェクトでは、大気と海洋表面のハロカーボン濃度のモニタリングを実施しており,ハロカーボンの分布に海域的な特徴を発見した。その特徴を決定する要因を観測と実験の両面から探るのが本提案課題の位置づけである。

関連する研究課題
  • 0 : その他の研究活動

課題代表者

大木 淳之