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貧酸素水塊の形成機構と生物への影響評価に関する研究(平成 21年度)
Hypoxia generation and its impact on benthic biota

予算区分
AG 特別研究
研究課題コード
0710AG474
開始/終了年度
2007~2010年
キーワード(日本語)
貧酸素,二枚貝,水質モデル
キーワード(英語)
HYPOXIA, BIVALVE, WATER QUALITY MODEL

研究概要

東京湾を対象として(1)プランクトン由来の有機物と陸起源の有機物による貧酸素水塊形成への寄与の把握、(2)底泥における酸素消費速度の時空間分布特性の把握、(3)貧酸素による底生生物生息環境への影響評価、(4)流動・生態系モデルに基づく貧酸素水塊形成過程の解析を行う。これらを総合して、海域環境の健全性を現すための、溶存酸素を基本とした新たな指標体系を確立し、水質環境基準(生活環境項目)の改訂に指針を与える。

研究の性格

  • 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

初年度は,珪藻類と鞭毛藻類をそれぞれ卓越する海水と夏季の下層で見出される高濁度層水について、プランクトン組成や懸濁態の有機物分析、分解試験、酸素消費速度測定を行う。通常の下水処理水と降雨時に越流する未処理下水が流入した海水についても同様の試験を行う。さらに、冬期に内部生産が低い状態(低COD時期)の海水についても同様の試験・評価を行い、東京湾における有機物分解についてのバックグラウンド値を把握する。底泥酸素消費については、湾奥部において底泥の状態が異なる典型的な地点を選んで年四回評価を行う。二枚貝生息場評価のために、貧酸素水が頻繁に侵入する運河部において、溶存酸素の連続的なモニタリングを行うとともに、様々な二枚貝の生残・成長・再生産能力を評価する。
二年目は,前年度とほぼ同様の現場試験を実施し、手法の改良を行いつつ、再現性と確実なデータの取得に努める。モデル開発に関しては、河川、下水処理場、火力発電所等の臨海部に存在し、かつ東京湾に与える影響の大きい各事業所の水理学的データを取得し、さらに東京湾広域で取得された水質データを併せて入れ込むことにより、モデルの精緻化に努める。
最終年度は,これまで得られなかったデータ取得のための補完的現場調査試験を行いつつ、過去2年間得られた知見を反映した数理モデルを構築し、シミュレーションの検証を行う。モデルを応用して、有機汚濁・栄養塩の削減効果を検討する。

今年度の研究概要

昨年度に引き続き,性状の異なる東京湾の底質の酸素消費速度測定を実施し,データの集積を図る。さらに,貧酸素水塊発生が顕在化する東京湾湾奥部において,沈降粒子捕捉(セディメント・トラップ)調査を行い,底質の酸素消費に大きな影響をおよぼす主に植物プランクトンにより構成されている浮遊性の懸濁態有機物の底層への移行量評価を行う。また最終年度に当たり,これまで現場調査や室内実験により得た各種データを三次元流動・水質生態系モデルに与えでシミュレーションを行い,東京湾における貧酸素水塊発生の時空間的規模再現の検証を行う。

備考

環境リスク研究プログラム:中核研究プロジェクト4(PJ4)
生物多様性と生態系機能の視点に基づく環境影響評価手法の開発
形状研究:人為影響による海洋生態系変質に関する研究

関連する研究課題

課題代表者

牧 秀明

  • 地域環境保全領域
    海域環境研究室
  • 主幹研究員
  • 工学博士
  • 生物工学
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担当者