- 研究課題コード
- 0105SP012
- 開始/終了年度
- 2001~2005年
- キーワード(日本語)
- 統合評価モデル,気候変動,シナリオ分析,持続可能な発展,GCM
- キーワード(英語)
- INTEGRATED ASSESSMENT MODEL, CLIMATE CHANGE, SCENARIO ANALYSIS, SUSTAINABLE DEVELOPMENT, GCM
研究概要
地球温暖化問題は今、新しい局面を迎えている。2010年に向けた対策の方針を定めた京都議定書が国際的に合意され、その達成が緊急の課題になっている。また、京都議定書以降2020年から2030年を目指した対策のあり方について、国際的な議論が始まっている。さらに、今後一世紀にわたる長期的な対策のあり方が問われている。
本研究は、経済発展・気候変動及びそれらの影響を統合的に評価するモデルを開発・適用して、京都議定書及びそれ以降の温暖化対策が地球規模の気候変動及びその地域的影響を緩和する効果を推計し、中・長期的な対応方策のあり方を経済社会の発展の道筋との関係で明らかにするとともに、これらの対応方策をアジア地域の持続可能な発展に融合させる総合戦略について検討することを目的とする。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備
全体計画
主要モデル開発に着手,排出シナリオの整理,ベースライン気候シナリオの作成,適応モジュール開発,戦略的DBデザイン (13年度)
統合モデル開発に着手,アジアの発展シナリオ/排出シナリオの精緻化,エアロゾルモデル改良,気候モデルの精緻化,各種影響の予測,戦略的DB基本部分開発(14年度)
各種モジュールの精緻化と統合,対策シナリオの作成,地域気候シナリオの精緻化,各種影響予測の精緻化,戦略的DB詳細開発(15年度)
基本モデルの途上国移転,イノベーション導入の効果分析と対策シナリオ修正,フィードバックを含めた気候シナリオの精緻化,各種影響予測の精緻化,戦略的DBの改良(16年度)
詳細モデルの途上国移転,アジア主要国の経済政策と気候政策の統合の評価,不確実性の総合評価,影響予測による気候変動許容水準の評価,戦略的DB途上国移転(17年度)
今年度の研究概要
京都議定書及びその後の世界規模の経済発展や環境対策が、地球規模の気候変動及びその社会的・環境的影響をどの程度軽減するか、さらにはアジア地域の経済発展と環境問題を踏まえてどのような総合的対策を図るべきかを明らかにするため、以下の研究を行う。
(1) 主要な社会経済モデル及び温室効果ガス排出モデルを開発・統合するため、特に、環境要素モデル、世界エンドユースモデル及び環境政策評価モデルの開発を行い、温室効果ガス削減ポテンシャルの推計、温暖化対策の経済影響、副次的影響の分析等を通じて、日本およびアジア主要国における長期的な温暖化対策と短期的な国内環境問題や経済発展を両立させるための政策評価を行う。また、戦略的データベースを改良して、イノベーションによる温室効果ガス削減効果や経済効果を分析する。
(2) 昨年度までに行った20世紀の気候再現実験および将来の温暖化予測実験結果を解析するとともに、補足的な実験を行う。20世紀再現実験については、観測された地上気温変動の要因別の寄与率を統計的手法に基づいて推定するとともに、気温以外の物理量についても過去に観測された気候変動の要因推定を試みる。温暖化予測実験については、高解像度気候モデル等の結果を用いて、豪雨などの極端な気象現象に関する将来予測とメカニズムの解明を行う。
(3) 水資源・農業影響モデルの精緻化を進め途上国へ適用する。影響プロセスモデルについては、水需給モデルの開発に着手し、中国を対象とした解析を試みる。また、日本・アジア太平洋地域を主対象として、濃度安定化等の温暖化抑制目標とそれを実現するための経済効率的な排出経路、および同目標下での影響・リスクを総合的に解析・評価するための統合評価モデルを開発する。