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トップダウン(大気観測)アプローチによるメソスケールの陸域炭素収支解析(平成 15年度)
Terrestrial Carbon-budget Study in Meso-scale by Top-down (Atmospheric) Approach

予算区分
BA 環境-地球推進 S-1
研究課題コード
0206BA475
開始/終了年度
2002~2006年
キーワード(日本語)
二酸化炭素,大気輸送,陸域生態系,インバースモデル
キーワード(英語)
CARBON DIOXIDE,ATMOSPHERIC TRANSPORTATION,TERRESTRIAL ECOSYSTEM,INVERSE MODEL

研究概要

本研究は、ボトムアップ(微気象・生態学的)アプローチにより陸域生態系の炭素収支を推定する方法とは逆に、大気中の二酸化炭素濃度の観測から、その地表面での吸収・放出量の分布を推定するものである。即ち、地表面における二酸化炭素の吸収・放出と大気中の移流拡散の結果として濃度分布がきまるが、その分布観測から逆に地表面の収支を推定する。この推定値をボトムアップアプローチによって得られた結果と比較検討することにより、二酸化炭素収支のより客観的な推定を行う(インバースモデル解析)と共に、森林による二酸化炭素収支モデルやスケールアップの方法の妥当性を検証できる。インバースモデル解析に必要なデータは、二酸化炭素の3次元分布の変動であるが、ここでは新たな観測手段の開発も視野に入れつつ、実現性のある地上観測で代用する。地上観測は、大気の水平輸送の風上・風下であるシベリア大低地の東西端に南北に並ぶそれぞれ数点の観測ライン、その中間や南北に数点の合計10カ所で、100m規模のタワーから大気を採取し自動分析する。初期値として炭素収支モデルとそのパラメータの地理情報から地表面での二酸化炭素発生/吸収量を推定する。その収支分布の下で大気の輸送を一定期間計算し、大気分布の初期値に依存せず地表面の二酸化炭素収支と輸送プロセスにのみ依存する二酸化炭素の3次元分布を計算する。これと二酸化炭素濃度観測ネットワークのデータとの差が最小になるように、二酸化炭素収支の分布を補正する。この方法はグローバルなスケールでは成功を収めているが、ここで開発するメソスケールのインバースモデル解析は先例のないチャレンジな課題である。この課題を遂行するには中規模の大気擾乱の影響、雲生成を伴う強い鉛直対流、雲による光合成有効日射の変化などのプロセスを限られた観測データから推定し、モデルに取り込む必要がある。02~04年の第I期終了時の目標は、地上観測ネットワークを構築し、信頼のできる通年観測データを出し始めることである。また、森林など炭素収支モデルと大気輸送モデルにより二酸化炭素濃度分布とその季節変動を求め観測データと比較する。メソスケールのインバースモデルの開発に着手し、上記の問題を観測と協力しながら解決する。04~05年の第II期終了時の主要な目標は、地上観測ネットワークで信頼できる通年観測データの少なくとも3年分をモデル側に提供することである。さらに、地上データを補足する航空機や遠隔計測により3次元分布をもとめ、モデルを検証する。また、観測データを使ったインバースモデル解析を行うと共に、上記の問題を解決するためのモデル改良を加える。最終的にはボトムアップアプローチによる二酸化炭素収支推定値と比較し、観測やデータ解析方法の妥当性を検討する。

全体計画

観測の整備計画は次のとおり02年 (1)現存するタワーの調査と所有者との交渉、観測地点の確定、(2)電力供給や物資輸送の不自由な環境での高精度測定の機器開発、(3)開発した機器の長期安定性試験を実施する。観測ネットワークの最適配置をモデルから推定する。03年02年に開発した観測システムを4ヶ所に設置し、試運転を行う。メタンの計測装置を開発する。インバースモデルにおける初期条件・境界条件となる森林の二酸化炭素収支を推定するための植生・地上バイオマス・土壌分類・気候データなどを収集し、データベース化する。04年新たに4ヶ所に観測システムを整備し、観測ネットワークを完成させる。

今年度の研究概要

02年に開発した観測システムを4ヶ所に設置し、試運転を行う。そのためロシア側に観測システムの整備を行うチームを作り、タワー所有者との最終的な交渉を行い、8月から10月にかけて工事を行う。メタンは二酸化炭素と異なった発生源分布を持っており、陸域生態系により二酸化炭素は吸収/放出され複雑な挙動を示すのに対し、ほぼ放出のみであり解析が比較的単純である。そのためメタンの計測を同時に行うことが望ましいが、通常の装置は水素・窒素・空気など消耗品と数百Wの電力を必要とする。そのため新たに半導体のメタンセンサーを開発する。インバースモデルにおける初期条件・境界条件となる森林の二酸化炭素収支を推定するための植生・地上バイオマス・土壌分類・気候データなどを収集し、データベース化する。

課題代表者

井上 元

担当者