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富栄養化が水圏生態系における有害藻類の増殖および気候変動気体の代謝に及ぼす影響に関する研究 (平成 13年度)
Study on effect of eutrophication on the growth of toxic algae and the metabolism of climate impact gas in aquatic ecosystems

予算区分
CA 文科-原子力
研究課題コード
9802CA230
開始/終了年度
1998~2002年
キーワード(日本語)
水圏生態系, 気候変動気体, 富栄養化, マイクロコズムシステム, 放射性同位体, 安定同位体, 有害藻類
キーワード(英語)
AQUATIC ECOSYSTEMS, CLIMATE IMPACT GAS, EUTROPHICATION, MICROCOSM SYSTEM, RADIOACTIVE ISOTOPE, STABLE ISOTOPE, TOXIC ALGAE

研究概要

水圏生態系の遷移が近年、栄養塩の過剰流入により引き起こされ、その結果アオコ、赤潮藻類等の異常増殖をともなう湖沼・内湾等の富栄養化は、重要な地球環境問題となっている。これらの藻類は温室効果ガスであるCO2を吸収固定化する主要な生物群であるが、有毒物質産生種も数多く存在することを鑑みた場合、藻類種の制御が重要な位置付けとなり、このような観点から水圏生態系における藻類種の遷移機構を解明するには、個体群動態や物質循環を中心とした定量的な解析・評価を行う必要がある。特に、藻類の代謝産物を起点とし、細菌、動物プランクトンに繋がる微生物ループが水圏生態系の中で重要な役割を担っていることが知られてきている。そこで、藻類、細菌、原生動物の3種から構成され微生物ループの構造を再現可能な水圏モデル生態系としてのマイクロコズムを構築し、その系内における炭素循環を放射性同位体をトレーサとして用い定量化することで富栄養化が水圏生態系に及ぼす影響を物質循環と個体群動態の両側面から明らかにし、さらに生態系保全や地球温暖化対策に資する生態系モデルの開発を試み健全な水圏生態系を構築することを目的とする

全体計画

10年度 生物態炭素の安定同位体比計測の精度を向上させる方法としての封管燃焼法と低温精製法を組み合わせた試料前処理方法の検討を行う。また、生態系を構成する各微生物間の物質のフラックスを解明するために、生物態炭素の放射性同位体計測を可能とする試料の前処理方法としてフィルターによる迅速な分画手法の開発を行うと同時に各構成生物の物質濃度の推定精度向上を図る統計処理技術の開発について検討を行う。
11年度 微生物ループの存在する緑藻・細菌・原生動物から成る三種系マイクロコズム、硝化・脱窒プロセスを組み込んだ窒素循環型マイクロコズム、有害藻類ミクロキスティス等を構成生物としたマイクロコズムサブシステムの構築に関して検討を行う。
12年度 11年度において開発された上記マイクロコズム(主に三種系マイクロコズム)のN,P,N/P比等の外部環境操作に対する応答としての個体群動態および各元素物質循環に関する基礎的な検討を行う。それをモデルとして富栄養化による生態系遷移のメカニズムに関して基礎的検討を行う。
13年度 富栄養化マイクロコズムおよび硝化細菌、脱窒細菌を導入した窒素循環と炭素循環のモデルとなるマイクロコズムの改良を行い、系内での温室効果ガスの安定同位対比に関して検討を行う。また、水圏生態系におけるCO2,N2Oの代謝過程に及ぼすN,P,N/P比等の外部環境操作に対する応答としての個体群動態および各元素物質循環に関する基礎的な検討を行う。14年度 前年度までの研究結果から得られた知見を用いて様々な水域の汎用的な特性評価のために、個体群動態および物質フラックスを正確に記述した水圏生態系モデルを開発する。

今年度の研究概要

安定同位体(13C、15N)および放射性同位体(14C、32P)を用いた生態系における構成生物間の物質フラックスの高精度定量化手法の開発のために、安定同位体については試料前処理方法の検討、放射性同位体については構成生物の迅速な分画手法および統計処理技術のさらなる向上を図る。また、生態系遷移の実験的解明に供する多様なマイクロコズムの開発として有害藻類を導入したマイクロコズムを改良し実際に物質循環を解明するための実験に適用していくことを検討する。さらに富栄養化における水圏生態系中の有害藻類遷移プロセスの解明に向けて、開発したマイクロコズムの外部環境操作(N、P、N/P比等)に対する応答としての個体群動態および各元素物質循環を解析し、同様に富栄養化が水圏生態系由来の気候変動気体の代謝に与える影響を、開発したマイクロコズムの外部環境操作(N、P、N/P比等)に対する応答としての気候変動気体代謝の解析をすることで解明していく。

課題代表者

稲森 悠平

担当者