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2016年8月10日

社会対話・協働推進オフィスのステークホルダー対話会合が開催されました。

開催背景・主旨

ステークホルダー対話会合の様子

国立環境研究所には、2016年度から「社会対話・協働推進オフィス」が設置されました。
このオフィスがステークホルダー対話会合を主催し、国立環境研究所の研究活動、社会とのコミュニケーションの方法について5名のステークホルダーと意見交換を行う機会を持ちました。

◆「社会対話・協働推進オフィス」とは?
社会と研究所との間の双方向の対話を促進するため、オフィスは次のことを目標に挙げています。

・これまでの研究所内の対話機会の経験の集約、分析を行う
・集約、分析した情報を、ソーシャルネットワークサービス等を活用して発信する
・研究所の活動に関するステークホルダー対話会合などを設計、運営し、社会からの声を研究活動にフィードバックする

これらの取組を通じて、社会と環境研究との間の相互信頼関係の醸成を目指しています。
社会環境システム研究センターからも何名か兼任としてこのオフィスのメンバーとなっており、今回の会合に参加した者もいます。

◆ステークホルダー対話会合とは?
ステークホルダーの一般的な説明としては、「利害関係者」ということばがよく用いられますが、今回の会合においては、「国立環境研究所の研究活動の利用者、協力者、関係者、興味を持ってくださる方々」を広く指すこととし、それぞれに異なるバックグラウンドをお持ちの方々においで頂きました。

◆今回の会合の趣旨
今回の会合は、6月24日に開催された国立環境研究所の公開シンポジウム2016と同日に設けられました。ステークホルダーの方々には公開シンポジウムの発表内容をご覧いただき、そのうえで研究所全体にとっての研究のあり方や社会とのコミュニケーションなどについて、ざっくばらんにご意見をいただくことが目的でした。

今回のステークホルダー

  • 嵐田 亮 様
    株式会社 ユーグレナ バイオ燃料開発課長

    *ミドリムシ由来のバイオ燃料の開発のための研究をしている。
  • 枝廣 淳子 様
    東京都市大学環境学部教授、幸せ経済社会研究所所長

    *「伝えること」で変化を創り、「つながり」と「対話」でしなやかに強く、幸せな未来の共創をめざしている。
  • 小杉 隆 様
    NPO法人国際環境政策研究所理事長

    *都議会や国会の元議員であり、長年にわたり政治の場から環境問題に強くアプローチしてきた。
  • 辻村 希望 様
    岩波書店 『科学』編集部・自然科学書籍編集部

    *震災後、『科学』誌上で再生エネルギーや廃棄物の特集を組んだことや、環境系の本を数冊作ったことがある。
  • 則武 祐二 様
    株式会社リコー 経済社会研究所 主席研究員

    *経済、産業社会、環境・資源・エネルギーを主要分野として扱い、環境も大きなテーマとして掲げる研究所。主にリコーの経営者層への情報提供を目的としている。

この他、研究所側からは、理事長・理事を含む12名が参加しました。社会環境システム研究センターからも、松橋啓介室長が参加しました。

対話の様子

意見交換の中であがった点をまとめると、以下のようになります。

・コミュニケーションのターゲットを誰にするかを考える。(例えば、公開シンポジウムの来場者層)

・シンポジウムのあり方として、研究所側の情報発信より、社会がどんな情報を求めているかを重視する方がよいのではないか。

・研究者の本音の部分を聞けると、さらに聴衆の関心をひくことができそうだが、研究者にとっては、組織としての意見とも捉えられがちなので、個人的な考えをどう伝えるか難しい。

・研究内容には自信を持ってほしい。それらをいかに広めていくかが次の課題。

・なぜ日本が、一般市民においても企業においても、環境に対する意識や行動が低下しているのか、という研究をしてみてはどうか。
(一方で、日本の環境意識はすごく高いだろうという意見もありました。)

研究者としての役割はどこまでなのか。

研究者の役割については、具体的な発言をいただきました。

『本当に良い研究だと思いますし、具体的な提案や知見もあり、かつそれを作るというところが研究者の役割だとは思いますが、それが社会を変える力になるというところまで、いくつかまだ段階があると思っています。 社会を変える力には二つの方向性が大事だと思います。 一つは、いかに伝えるかということ。(中略)たとえば、国環研はもう少しNGOとの連携やネットワークを活かしてほしいなと思っています。パンフレットやウェブを作るという段階ではなく、それらの発信を通じてどれだけ人々の意識や価値観の変化、行動変容につなげられるかという戦略や効果測定にまで踏み込んだ意味で「いかに伝えるか」を考えていただけたらと思います。 もう一つは(中略)、科学から政策につなげるというところにまだ大きなギャップを感じていますので、そのギャップをどう埋めるかという点において研究者の皆さんの役割に期待しています。』——(枝廣様)

振り返って

社会対話・協働推進オフィスの初めてのステークホルダー対話会合は、企業、NGO、政治など様々なセクターから環境問題にアプローチしている方々にご参加いただきました。今回の会合を通して、社会の中で、研究所として、また研究者としては、どのような役割を担い、また我々の研究活動をいかに社会に伝え、社会と協働していくか、ということが次の大きな課題であるということを確認しました。

社会環境システム研究センターにおける研究活動でも、これからの社会の在り方を模索していくために、社会との対話や協働は様々な場面で求められています。例えば、福島県新地町での研究事例では、各家庭と協力してエネルギー利用をモニタリングしたり、地域の将来像について地元の中学生が話し合うワークショップなどを開催したことがあります。
参照リンク1:【福島県新地町での環境創生研究】(環境儀 No.60)
参照リンク2:【新地町立尚英中学校ワークショップ「2050年の新地町の未来地図をつくろう!」報告書】

まずは、社会と研究コミュニティとの双方向の歩み寄りを実現できるよう、社会対話・協働推進オフィスの今後の活動に期待が高まります。

(文責:杦本友里 社会環境システム研究センター)