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2015年12月15日

地球温暖化研究プログラム
「ステークホルダー会合」開催報告

 去る2015年9月25日に、地球温暖化研究プログラム主催で「ステークホルダー会合」が開催されました。 その様子を簡単に報告します。

開催主旨

 最初に地球温暖化研究プログラムのリーダーである、江守 正多 室長(地球環境研究センター 気候変動リスク評価研究室)と花崎 直太 主任研究員(地球環境研究センター 同室)から、今回の「ステークホルダー会合」開催に至った背景や今回の趣旨について説明がありました。

1.企業などのステークホルダー(*1)会合に呼ばれるうちに、我々も研究組織が研究者コミュニティの外から意見を聞かなくてはいけないのではないかと考えるようになった。
2.研究者は、どのように伝えるとどのように受け取られるか、といったことをよく知らない。今回は、我々が「社会リテラシー」を学べる機会として活用したい。
3.我々が、どういうことを悩みながら、また躓きながら研究しているのかということも聞いて理解してもらって、忌憚のない意見をもらいたい。

この3点が、今回のSH会合開催の重要な背景となっています。

また、今回は、都内の会場の様子を、ライブ中継でつくばの国立環境研究所内の会場に配信し、より多くの関係者が「対話」に参加できるような態勢で会合を行いました。

*1:ステークホルダーとは?:企業などでは「利害関係者」と訳されることが多く、その解釈には幅がありますが、今回の会合に関しては、『我々の研究活動の利用者、協力者、関係者、興味を持って下さる方々』としました。 

今回のステークホルダーの皆様

  • 堅達 京子 様
    NHK 編成局コンテンツ開発センター チーフ・プロデューサー
  • 上田 壮一 様
    一般社団法人 Think The Earth 理事
    兼 株式会社スペースポート 取締役社長
  • 後藤 敏彦 様
    環境監査研究会 代表幹事
    兼 特定非営利法人サステナビリティ日本フォーラム 代表理事
  • 市川 博美 様
    一般社団法人地球温暖化防止全国ネット 企画・広報グループ長
  • 江藤 仁樹 様
    日本航空株式会社 コーポレートブランド推進部 シチズンシップグループ アシスタントマネジャー

会合の様子

 プロジェクト1~3のリーダーが、それぞれのプロジェクトの説明をして、それに対してステークホルダーの方々がコメントや質問をしました。最後に、中継会場も含めて、全体を通しての意見交換がなされました。 

写真1:ステークホルダーの皆様と会場の様子
写真2:研究者からの各プロジェクトの説明の様子
写真3:質疑・コメントの様子①
写真4:質疑・コメントの様子②
写真5:質疑・コメントの様子③
写真6:質疑・コメントの様子④
写真7:質疑・コメントの様子⑤
写真8:つくば会場との中継の様子

社会センター関連:プロジェクト3に関するステークホルダーからのコメント

 地球温暖化研究プログラムに属している社会センターのメンバーは、その多くがプロジェクト3「低炭素社会に向けたビジョン・シナリオ構築と対策評価に関する総合研究」を担っています。今回の会合では、増井 利彦 室長、花岡 達也 主任研究員、亀山 康子 室長が順にプロジェクトの下で行っている研究課題について説明をしました。
プロジェクト3は、温室効果ガスの観測や温暖化そのものの将来予測を行うプロジェクト1・2とはまた違って、日本を含む世界の様々な地域において、低炭素社会の構築のためにどのような道筋を辿れるか、といったシナリオを示したり、低炭素社会実現のための仕組みづくりについて考えたりするプロジェクトです。

今回プロジェクト3に対するコメントでは、「研究者が伝えるべきこと・伝え方とは?」といったトピックについての意見が多く見受けられました。なお、ステークホルダーの皆様からのご発言は、所属する組織を代表するものではなく、個人の立場から自由なご発言をお願いしました。
以下は一例です。

“中立と言われても一般の社会は選べないので、踏み込んだ見解を言っていいと思う。その代り他の意見もあるということも加えて示すことが大事。”—(上田様)

“(情報発信の仕方について)やはり科学のストライクゾーンからずれたらだめ。色(=あまりに偏った見方)がついたと思われたらだめ。でも、目的は温暖化防止、低炭素社会構築ということで、ぎりぎりのところを攻めてほしい。”—(堅達様)

“学術的な中立性は大切だと思う。だが、日本人はNIESのやること言うことに頼っている面がある。”—(江藤様)

コメントを受けて、研究者・研究所に求められる情報発信とは一体どこまで踏み込んで、どういった形で行うべきなのか、一層考えさせられるとともに、少しずつでも具体的なアクションにつながるような情報提供の必要性を感じました。 

全体を通して振り返り

 ステークホルダー会合の開催は、今回が初めての試みでした。ステークホルダーの皆様には大変熱心に発表を聞いていただくとともに、さらに熱いコメントをいただきました。今回をきっかけに、こうした「社会との対話」の試みをこれからも積み重ねていくことで、研究者が提供すべきもの・提供できるものと、社会が求めているものがよりすり合わされていくのではないかと感じました。

“研究だけやっていい時代は終わって、きちんと情報を残して伝えないといけない。環境問題の関心が下がっていることは重要課題。福島など大震災のあとに人々の関心は安心安全という方向に行ったと思うが、温暖化に対してのリスク認知はまだ低い。今回、厳しいご質問もあったが、我々が色々考える機会になりとても有意義だった。”—(原澤理事:つくばの会場から発言)


(写真・報告:杦本友里 (社会環境システム研究センター)) 

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