グローバルナビゲーション
社会環境システム研究センターでは、毎月1回メンバーの進める研究の成果や途中結果を議論する所内セミナーを開催しています。 前中期計画時のセミナーについても発表資料を参照いただけます。
■平成24年度 |
12月
亀山康子(持続可能社会システム研究室)
気候変動政策に関する2つの研究紹介
アジア地域で低炭素社会を構築するための資金供給制度について、制度ごとに調達可能な金額や主要国の受容性を検討した結果を紹介する。また、現在国際交渉が進行中の新たな国際枠組みに関して、来年1月に実施予定のウエブアンケート調査の計画について紹介する。
久保田泉(環境経済・政策研究室)、森田香菜子(持続可能社会システム研究室)
気候変動ドーハ会合はどのような会議だったか?
気候変動COP18/CMP8がドーハ(カタール)において開催されている。 今次会合では、 1) 2013年1月1日以降の京都議定書の円滑な継続、 2) 強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム作業部会(ADP。2020年以降、国際社会が温暖化問題にどう取り組んでいくかを議論する会合)の作業計画の策定、 3) 長期的協力の行動のための特別作業部会(AWG-LCA)の作業の完了、 4) 途上国への長期的な資金支援の基盤となる新しい制度の完成及び今後の方向性の提示、 が目指されている。 本報告では、上記4点に関して、どのような合意ができたのか(あるいはできなかったのか)、なぜ交渉が難航したのか、今後の課題は何かについて報告する。
森田香菜子(持続可能社会システム研究室)
REDD+に関する制度研究の進捗報告と国際交渉への貢献
REDD+(途上国の森林減少・劣化に由来する排出削減等)の排出削減及び生物多様性保全効果を高める国際・国内レベルの効果的な制度間の連携の可能性、アクターの役割を示すことを目的として、平成23年度より、基盤研究プロジェクト「気候変動枠組条約と生物多様性条約における制度間相互作用の研究:REDD+の 事例」を実施している。 本年度は、平成23年度に収集したREDD+実施に関わる国際・国内制度やアクターに関する定性的データに国際政治学の分析枠組を適用し、特にREDD+関連制度の連携促進の鍵となる途上国省庁、海外援助機関、国際NGOの活動を分析しており、その研究進捗を報告する。 また、今年は、気候変動枠組条約だけでなく、生物多様性条約COP11にも日本政府代表団の一員として参加した。本研究を基にどのように両条約のREDD+に関する国際交渉へ貢献したか、両条約の交渉に参加して見えてきた新たな課題についても最後に少し紹介する。
久保田泉(環境経済・政策研究室)
適応関連資金供与における対象国/プロジェクトの優先順位づけに関する比較分析
気候変動枠組条約第4条4項では、附属書U国は、「気候変動の悪影響を特に受けやすい開発途上締約国がそのような悪影響に適応するための費用を負担することについて、当該開発途上締約国を支援する」とされているが、近年、「気候変動の悪影響を特に受けやすい」とはどういうことか、どのように資金支援を受ける国を優先順位づけするかに諸国の関心が集まっている。 本報告では、適応関連基金の配分の優先順位づけをいかに行うか、今後、適応関連資金メカニズムの制度設計への示唆を得るため、京都議定書下の適応基金と「気候変動影響への対応力強化のためのパイロット・プログラム」の制度設計及びその運用状況を比較検討する。
高橋潔(統合評価モデリング研究室)
地球規模気候変動リスク管理戦略の検討枠組
気候変動の多様なリスク、対策の多様な選択肢、水・食料・生態系等の諸問題との関連性、および社会のリスク認知・価値判断を総合的に把握しながら、リスク管理の視点から人類の取りうる戦略を検討することを目的として、平成24年度より新規の環境省推進費戦略研究プロジェクト「地球規模の気候変動リスク管理戦略の構築に関する総合的研究」が立ち上げら れた。 2007年公表のIPCC第4次評価報告書で言及されて以降、気候変動問題をリスク管理の問題として扱うことの有用性が広く認識されるようにはなったものの、依然としてその概念・方法論については良く整理されていない状況である。そこで、前述の新プロジェクトでは、具体的なリスク評価・リスク対策評価を進める一方で、その評価や管理戦略検討の枠組についても研究参画者でサブグループを作り、検討・整理を進めている。本セミナーでは、同サブグループでの検討・整理について報告する。
11月
原澤英夫(センター長)
社会環境システム研究の過去・現在・未来
社会環境システム研究センターが活動を開始して1年半が経過した。国内外の情勢変化を考慮しつつ、研究センターが進めてきた研究を振り返るとともに、現在進めている研究の全貌や抱えている問題、さらに将来に向けての課題について紹介し、議論する機会としたい。
岡川梓(環境経済・政策研究室)
国別生活用水需要の将来推計のためのモデル開発
将来、人口増加、都市化、生活様式の変化により生活用水の需要が急激に増加し、水不足が深刻な問題となることが懸念されている。そこで本研究では、統計的手法を用いて、3つのモジュール(水道へのアクセス率、水道用水需要量、漏水率)から構成される水道用水需要量の将来推計モデルを開発した。先行研究では、所得と水需要の関係のみに着目されて定式化されてきたが、本研究では、政治的・社会的情勢や固有の社会背景や生活様式といった要因まで考慮した。本セミナーでは、各モジュールの定式化と残された課題について紹介する。
Silva Herran Diego(持続可能社会システム研究室)
Development of an energy model to estimate the contribution of renewables in local areas using spatial data
This research introduces the development of a model for studying the feasibility of low carbon energy systems using renewable sources in local areas based on GIS data. An application of model to the Iskandar development region in Malaysia is also presented. The model is designed to estimate the least-cost combination of technologies to meet a given target for energy supply from renewable sources in local area. Outcomes from the model include the energy supply from and geographic distribution of a renewable energy system. Currently, the model considers solar PV, onshore wind power and biomass from natural forest growth, using data with spatial resolution of approximately 1 km2. The proximity to urban areas is used as the primary factor to account for spatial features in the design of the energy system. The model provides the combination of renewable energy technologies considering their spatial distribution under an optimization approach with a high spatialresolution. Renewable energy is fundamental component of low carbon development plans looking forward the implementation of concrete actions for mitigation of greenhouse gases. Through application of the model, decision makers in local areas may gain insight on the feasibility of the potential contribution of renewable energy within a certain region, or establish suitable targets for introducing renewables. The application to the Iskandar region is a contribution to a project for the development of low carbon scenario.
WDAI Hancheng(統合評価モデリング研究室)
Integrated assessment of China's provincial low carbon economy development towards 2030 - Jiangxi as an example
This study assesses China's low-carbon economy development towards 2030 with Jiangxi Province as an example. For this purpose a two-region computable general equilibrium (CGE) model is constructed for China. Scenario analysis shows that with economic growing by around 6-7 times over 2005-2030 periods, the primary energy consumption would increase by 2.5 times in Jiangxi Province and 2.7 times in the rest of China in the baseline scenario, accordingly carbon emissions would increase by 2.4-2.6 times in both regions. GDP loss in the carbon mitigation scenarios depends on many factors such as carbon constraints, burden share schemes and low-carbon countermeasures. The more the reduction is, the more GDP loss there would be. It's beneficial for an under-developed region like Jiangxi Province to adopt per capita emission based burden share scheme. Moreover, in the absence of additional countermeasures carbon price and GDP loss resulted from deep carbon reduction would be unacceptably high at around over 850 US dollar/ton and 25%, respectively; however, with various low-carbon countermeasures, carbon price and GDP loss would be brought down significantly to about 380 US dollar/ton and 12%, respectively. In addition, remarkable co-benefits associated with low-carbon economy are identified in terms of improvement in air quality and energy security.
10月
長谷川知子(統合評価モデリング研究室)
AFOLUBモデルの開発と東南アジア諸国への適用
農業・土地利用変化(AFOLU)における温室効果ガス排出削減対策は,世界の排出量半減に向け,とりわけ第一次産業を国内経済の主産業とする国・地域において関心が高まっている。今回、農業・土地利用変化における技術積み上げ型温室効果ガス排出量削減評価(AFOLUB)モデルの開発と東南アジア諸国への適用について紹介する。
有賀敏典(環境都市システム研究室)
中長期的な市町村内人口分布シナリオの構築―国勢調査3次メッシュ人口データを用いて―
地域内の人口分布は,自動車から排出されるCO2等の環境負荷,洪水被害等の環境影響と密接に関係しており,環境的に望ましい地域内の人口分布の実現に向けて,中長期的な方向性を示す必要がある.そこで本研究は,地域内人口分布の差異による各種の環境負荷・影響の評価を行うために,近年の国勢調査を用い,偏在化および均一化の中長期的な市町村内人口分布シナリオの構築を行った.手法としては,全国市町村を規模・都市圏・人口増減で分類した上で,2000→05年の市町村内人口分布変化別に,メッシュ規模別コーホート変化率を求め,偏在化および均一化の各変化率を将来へ適用することで構築した.シナリオ構築の手法および結果,本手法の課題について整理したものを紹介する.
金森有子(統合評価モデリング研究室)
アジアにおける家庭ごみ発生量推計ツールの開発
アジアの発展途上国のように、環境負荷発生関する社会・経済データ、負荷発生量データが十分に整備されていない地域にも適応可能な簡易家庭ごみ発生量推計ツールを開発した。このツールを日本、韓国、中国、インド、インドネシア、マレーシアの6カ国に適用し2020年までの家庭ごみ発生量を推計した。まだ開発途中のツールであり、現時点では家庭ごみ発生量の一部のみしか推計できないが、今後の開発、拡張の予定も合わせて報告する。
Wouter Poortinga(Welsh School of Architecture, Cardiff University)
Public Attitudes to Climate Change and Energy Futures: The Case of Nuclear Power
The main challenge of current energy policy is to mitigate climate change alongside delivering reliable and secure energy supplies. Meeting climate change and energy security targets requires major shifts towards low-carbon energy production as well as significant reductions in the demand for energy. Various industry and policy actors have argued that nuclear power (NP) is a low-carbon energy technology that may contribute to climate change mitigation. In this presentation I will give an overview of public attitudes to NP. The presentation will (a) give a historical overview of public responses to NP as a uniquely dreaded and unknown risk, (b) discuss how the public has responded to attempts to 'reframe' nuclear power as a possible solution to climate change, using the construct of 'reluctant acceptance', and (c) explore how public attitudes to NP around the world may have changed since the Fukushima Dai-ichi disaster in Japan.
9月
松橋啓介(環境都市システム研究室)
持続可能社会転換のための社会経済シナリオ構築の試み
「持続可能社会転換方策研究プログラム」で担当する叙述的な社会経済シナリオの構築に関する報告を行う。社会経済シナリオとは、環境政策の介入に関わらず進む社会と経済の動向である。まず、シナリオ構築の手法と事例を踏まえて、社会経済の方向性は、不確実性の幅から決まるとするよりも、社会として重視する発展の目標により決まると考える方が前向きで妥当であると考えた。次に、持続可能性と発展(幸福)をカバーする包括的な発展の目標として、環境、経済、社会、個人を抽出・整理した。手始めに、経済を重視するシナリオと各目標のバランスを重視するシナリオを基本的な枠組みとした。2011年10月に、学会横断組織メンバー6名を対象として、各シナリオにおける産業・経済・技術の動向に関するグループインタビューを行い、主に生産の観点からの社会経済シナリオの要点を整理した。
増井利彦(統合評価モデリング研究室)
持続可能社会転換方策研究プログラムにおける将来社会の定量化に向けた取り組み
社会環境システム研究センターでは、先導研究プログラムとして「持続可能社会転換方策研究プログラム」を行っている。そのなかで、叙述的なシナリオについては先行して作業が進められており、将来の叙述シナリオを定量するモデル開発に取り組んでいる。本セミナーでは、日本を対象とした分析を行うための地域モデルの開発状況を報告するとともに、他のモデルやプロジェクトとの関係について説明する。
亀井美穂(持続可能社会システム研究室)
低炭素都市のマスタープランとSustainable Developmentの研究
(前半) 以前に関わった中国の低炭素都市のマスタープランニングの事例と共に包括的なマスタープランの構成について、基本コンセプト、交通政策、土地利用政策等、各戦略的取り組みの紹介。 (後半) 政策と連携した sustainable development project (Detroit,U.S.)の事例をもとに、どのような戦略的取り組みが包括的な都市のSustainabilityを高める効果を持つ事が出来るのかを検証する。また、そのような研究が今後どのように実施のIskandar Malaysiaのプロジェクトに貢献出来るのかについて。
7月
青柳みどり(環境計画研究室)
社会調査法について
さまざまな社会調査法が、環境分野において実施されている。これらは、大まかに量的調査法と質的調査法に分類できる。それぞれについて、その手法について概説し、事例を紹介したうえで、それぞれの手法の特徴についてまとめる。さらに、今年度から2か年で実施する予定の量的調査法と質的調査法の併用による調査計画について述べる。
金田百永(環境都市システム研究室)
大気汚染防止対策の低炭素推進効果 −川崎市公害政策の歴史的コベネフィット分析−
急激な工業化・都市化による大気質の悪化と,地球温暖化というグローバルな課題の両方に直面しながら経済発展をめざすアジア諸国において,大気汚染物質と二酸化炭素を同時に削減することがますます重要になっている.そのようなコベネフィット(共便益)型の環境政策には近年注目が高まっているものの,政策のどのような要素や過程がコベネフィットの実現と関わっているのかを分析した研究は少ない.本発表では,コベネフィットに関する既往研究について整理した上で,川崎市の公害の歴史に着目して行った分析について紹介する.分析の結果,大気汚染防止対策が大気環境の改善に寄与しただけでなく,産業のエネルギー効率の向上にも大きく寄与していたことから政策のコベネフィット形成に関する考察を行った.
申 龍熙(統合評価モデリング研究室)
CMIP5気候シナリオの分析およびそれを用いた主要作物収量変化への影響評価
気候変化による分野別影響評価には、気候モデルによって作成される将来気候変化シナリオが利用される。IPCC AR4では、SRES社会経済シナリオを想定し作成したGCM出 力結果を用いて、多様な分野に対する気候変化の影響評価が行われた。最近、IPCC AR5に向けた代表的濃度経路(RCP)シナリオを想定して作成したGCM出力結果が公開され、新しい気候変化シナリオを用いた影響評価研究への関心が高まっている。温暖化影響評価チームでは、国内の温暖化影響評価研究に先導し、新しいCMIP5データを提供するため一歩早くデータを取得している。本研究では、取得したCMIP5気候予測データの中で、農業分野の影響評価で主に利用される気温、降水量、日射の将来変化の特性を把握した。また、このようなCMIP5データの気候要素別将来変化特性を踏まえて気候変化が世界主要作物の収量変化に及ぼす影響について評価を行った。
大西有子(持続可能社会システム研究室)
地球温暖化の日本の生物への影響
地球温暖化の影響と思われる生物の分布や生物季節の変化が世界各地で報告されている。一方で、IPCCの第4次報告書をはじめ、国際誌では、アジア地域の研究やデータの不足がたびたび指摘されている。そこで、国際誌と国内誌の両方の研究を収集することにより、温暖化の影響研究の包括的なレビューを行なった。その結果、日本の生物は、世界の他の地域に比べ、逆方向に変化しているものや、非常に早い速度で変化しているものもあり、「世界の平均値」とは大きく異なっていた。このことから、生物に対する地球温暖化の影響は、地域による差が大きく、地域レベルでの研究が非常に重要であるといえる。今回のセミナーでは、日本の生物への温暖化影響に関する最新の研究をまとめて報告するとともに、国際誌と国内誌の情報の偏りやその原因、国際誌に載りやすいテーマについて考察し、生物以外の専門の方にも有用な情報を提供したい。
6月
須賀伸介(環境経済・政策研究室)
風車による風の乱れを考慮した洋上ウィンドファームの発電量シミュレー ション
浮体式洋上風力発電に対する関心が急速に高まってきており、具体的な計画も進行中である。ところで、ウィンドファーム内の風車は他の風車の影響で攪乱した風をうけることになる。したがって、多数の風車から構成される洋上ウィンドファームの発電量を評価する際には、風の乱れを考慮した風速の評価が不可欠である。今回のセミナーでは発表者らが考案した風速の評価式(昨年のセミナーで報告)を用いて、100基程度の風車を2元的に配置した仮想的なウィンドファームにおける発電量のシミュレーション結果を報告する。また、発電量を風車間隔の関数として表し、効率的な稼働を実現する風車間の最適間隔、風況と風車配置の関係、風速評価式の整合性などについて考察を行う。
村山麻衣(環境都市システム研究室)
グローバルな気候変動交渉およびローカルな日本・地域公共交通対策に関 するガバナンスの観点からの比較分析
社会のさまざまな課題は複雑化し、新たなガバナンスの形態が求められるようになった。グローバルな気候変動枠組条約における技術移転問題の交渉、およびローカルな日本・地方における公共交通対策という二つの異なる事例を通観しつつ、グローバル性、総論性、および制度の硬直性の三つの視点とその構成要素を提示して、両者のガバナンスの特性について比較分析した。その結果、低炭素社会への移行の障壁として、個別・地域におけるグローバル課題に対する利益やリスク分担に関する検討が不足していること、アクター間で目標やシナリオの共有が不十分であること、すなわち、緩和策に関する課題と社会全体の包括的課題に対する取り組みとの関連性が希薄であることを論じた。不確実な要素の多い未来に対して意思決定をするということに対して、私の関わる「社会・経済活動に関するストーリーラインの構築(持続可能社会転換方策研究プログラムPJ1サブ2)」、および「化学物質リスク管理の戦略的アプローチに関する研究(化学物質評価・管理イノベーション研究プログラムPJ3サブ3)」に関連して考えるところも展望として簡単に述べたい。
戸川卓哉(環境都市システム研究室)
トリプルボトムライン指標に基づく小地区単位の地域持続性評価
環境・経済・社会のトリプルボトムライン(TBL)の観点から都市・地域の持続可能性を評価するシステムを用いて,名古屋都市圏を対象に小学校区単位での分析を行った.その結果,今後2050年にかけてTBL各指標の都市圏全体平均値はいずれも悪化する方向に推移することが分かった.また,2005年および2050年時点を対象としTBL各指標の空間分布を定量的に明らかにすることで都市圏全体の持続可能性を損なうリスク要因を分析した.分析結果からは,特に団塊の世代が多く居住する郊外住宅地区や農業地区・山林地区において経済・環境指標に顕著な悪化が生じ非効率化していくことが示された.さらに,経済・環境指標の小学校区間格差は拡大する方向に推移することが分かった.以上を踏まえて,都市構造改編に関するシナリオを設定し,TBLの各指標への影響を評価した.
肱岡靖明(持続可能社会システム研究室)
日本の自治体を対象とした定量的温暖化影響評価実施の可能性と課題
東京における気候変動の影響に関する連携研究」や「環境省環境研究総合推進費S-8"温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究"」を通じて得られた知見を基に,日本の自治体を対象として定量的な温暖化影響評価を実施する際の可能性と課題を整理して報告する.
5月
花岡達也(統合評価モデリング研究室)
若手研究員派遣研修の報告:英国ケンブリッジ大学での研究
若手研究員派遣研修の機会を頂き、英国ケンブリッジ大学気候 変動緩和策研究センター(Cambridge Center for Climate Change Mitigation Research, Department of Land Economy, University of Cambridge)にて、約1年間の派遣研修を実施した。滞在先の研究 センターにおける議論に参画し、またケンブリッジ大学にて開催 された気候変動に関わるmulti-disciplinaryな各種セミナーに 参加したが、ケンブリッジ大学における研究の体制や実情、日常 生活を通じて考えたことを報告する。また、派遣研修の課題や 研修期間に取り組んだ気候変動緩和策の複合的な便益(ancillary benefit)に関する研究の一部を紹介する。
芦名秀一(持続可能社会システム研究室)
国立環境研究所の節電対策 〜これまでにわかったこと・わからないこと〜
2011年度の夏、国立環境研究所では契約電力量比20%の節電に 取り組んでいた。結果として、この目標値を超える30%強の 節電が達成されたが、どこでどのような節電がなされていたか、 あるいは立ち戻って国立環境研究所ではどこでどのような 電力消費がなされていたかは明らかではなかった。発表者は、 所内関係者の協力のもと、データ収集等を通じてこれらの 疑問について答えを探してきた。本発表では、これまでに わかったことのみならず、依然として分からないことも紹介し、 これからの節電を考えるための議論を喚起できる材料を提供したい。
平野勇二郎(環境都市システム研究室)
都市街区における冷房エネルギー削減策とそのCO2削減効果の シミュレーション評価
低炭素都市を実現するためには、気候や土地利用などの様々な 地域条件を考慮する必要がある。とくに空調用エネルギー消費に よるCO2排出は都市域のおけるCO2排出量の中で比較的大きな割合 を占めており、対策が急務である。そこで本研究では、街区内の 建物の熱負荷や空調によるエネルギー消費量、気温変動を予測 する都市キャノピー・ビルエネルギー連成モデルを用いて 対策・施策の評価を行なった。本研究ではまず川崎市を対象として、 緑化や高アルベド化、高断熱化などの各種の空調負荷軽減策の CO2排出削減ポテンシャルを定量化した。次に建物スケールでの 蒸発散による暑熱環境緩和策の代表例として屋上緑化を取り上げ、 建物の水利用・水収支の観点からさらに詳細な検討を加えた。
藤田壮(環境都市システム研究室)
地域の環境力を活かす復興まちづくりにむけて ―環境未来都市への復興計画・評価の支援ツールの提案―
東日本大震災では迅速なライフラインや住宅の復旧とともに、 地域の雇用や経済の再生が重要な課題として浮かびあがっている。 個別の復旧だけではなく地域の面的な復興が必要となると同時に、 日本全体がすでに直面している超高齢化や地域産業の転換等の 課題を、復興を通じて解決する方策を計画することが求められる。 都市や地域の緊急の復旧活動と連動しつつ、中長期的な地域の 活性化につなげるという、「地域の復興力」を上乗せする復興の シナリオづくりが、重要な課題となる。本報告では地域の研究 機関や自治体、企業と連携して環境資源分布や地域特性の空間 情報データベースを構築して、被災した地域や都市の復興の 課題を浮き彫りにすることに加えて、低炭素と資源循環を活力 として還元する地域再生メカニズムの研究を提案する。