書籍紹介『Post-2020 Climate Action Global and Asian Perspectives』
年:2017
編:Fujimori Shinichiro, Kainuma Mikiko, Masui Toshihiko
概要

この本は、パリ協定の国別排出目標と世界全体の気候目標の評価を特にアジアという観点からまとめたものです。AIMと呼ばれる統合評価モデルフレームワークの中核であるAIM / CGE(Asia-Pacific Integrated Modeling / Computable General Equilibrium)モデルが主として評価に使用されました。
第1部ではパリ協定の究極の気候目標の文脈における短期(数十年)と長期(21世紀全体)の両方の評価を提示するとともに気候変動リスクについても議論しており、政策実施と気候変動についても議論します。
第2部は、アジアの各国の評価を集めたものであり、各国の状況に応じた詳細な分析とその考察を行っています。これには、NIES(国立環境研究所)と各国の主要な気候変動緩和策研究に従事する研究メンバーも著者として参加しています。主な結論は、排出目標を達成するためには、多くの国がエネルギーシステムの変化と社会の変革を必要としているということです。
第3部では、将来の経済・エネルギー・環境状況をシミュレートし、気候・エネルギー政策を評価するためのAIM / CGEモデルについて詳細に説明しています。このセクションは、気候変動緩和分野におけるCGEモデリングの標準テキストとして使用することができます。
出版社のページへのリンク(英文のみ):http://www.springer.com/us/book/9789811038686
特徴
この本のハイライトの1つは、パリ協定に基づくNDC(Nationally Determined Contribution)の多様性とそのエネルギーシステムとマクロ経済への影響です。各国独自の戦略と開発の文脈が存在することがわかります。しかし、地球温暖化の目標を達成するためには、地球規模の視点から、できるだけ早く社会的な転換が必要です。これら2つのことをどのように調和させるかといったことが、今後数年間の課題になるでしょう。
図をクリックすると拡大します