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2017年11月8日

高断熱住宅への建替えによる民生家庭部門世帯あたり一次エネルギー消費量の削減見通し

石河正寛、松橋啓介、堀星至、有賀敏典

論文情報

高断熱住宅への建替えによる民生家庭部門世帯あたり一次エネルギー消費量の削減見通し

著者:石河正寛、松橋啓介、堀星至、有賀敏典
発表年:2017
掲載雑誌:土木学会論文集G, 73(6), II_45-II_52, 2017.

概要

家庭からの二酸化炭素排出量を削減する政策として、住宅の断熱性能を向上させることが有効と考えられています。国の示している計画では、これから新設される住宅のすべてを省エネ基準に適合させることで大きな排出量削減効果が得られるという見通しが立てられています。しかし、既に一定量の空き家が存在し、今後の世帯数の減少によってさらに空き家が増え続けると予想される中では、新築住宅を中心とした断熱性能の向上だけに頼っては十分な効果があげられないおそれがあります。そこでこの論文では、住宅の高断熱化と空き家対策を両立させることを念頭に置き、新設住宅着工数を空き家率が増加しない範囲におさえる想定で、断熱性能向上による世帯あたりのエネルギー消費量の削減見込み量の推計を試行しました。推計に際しては、建築年別の断熱性能基準適合率を踏まえた地域別建て方別の断熱性能の変化と将来世帯数の市町村別推計を踏まえた必要住宅数の2点を考慮しました。必要住宅数については、世帯数の減少への対応の仕方によって2つのケース設定を行いました。推計を試行した結果、2030年以降にかけては多くの自治体において世帯数が急速に減少し。新設着工数が累積で10%程度にとどまること、新設住宅による世帯あたりエネルギー消費量の削減見込みは、2030年の全国値では2010年比で1%弱しか得られず、2050年には2010年時とほぼ変わらないおそれがあることが示されました。住宅の断熱性能を向上させるためには、高断熱な新築住宅の普及に頼るだけではなく、既存住宅の改修や断熱性能の低い住宅からの転換を大規模かつ着実に実施することが重要になると考えられます。

図をクリックすると拡大します

図-1(左) 世帯あたりエネルギー消費量の将来変化(全国)
図-2(右) ケース別の累積新設住宅数(全国)
新設一定:新設住宅数を現況並みに固定して,既存住宅から新設住宅への転換が積極的に起こると想定したケース
新設抑制:一定の住宅滅失率を見込みながらも空き家率が増加しない範囲に新設数を抑えるケース

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