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2015年10月8日

エネルギーサービス需要低減の価値: 統合評価モデルを用いた気候緩和シナリオによる定量化

藤森真一郎・甲斐沼美紀子・増井利彦・長谷川知子・戴瀚程

論文情報

エネルギーサービス需要低減の価値: 統合評価モデルを用いた気候緩和シナリオによる定量化

著者:藤森真一郎, 甲斐沼美紀子, 増井利彦, 長谷川知子, 戴瀚程

掲載誌情報:土木学会論文集G(環境), 70 (5), I_137-I_146, 2014

受賞概要

賞の名称:  平成27年度地球環境論文奨励賞(JSCE Award)
授賞機関:  公益社団法人土木学会地球環境委員会
受賞年月日: 2015年9月4日

概要

危険なレベルの温暖化を回避するためには現在の温室効果ガス排出量を世界全体で2050年頃には半分程度にしないといけないと現在言われています。そのためにはエネルギー消費量を下げる、あるいは再生可能エネルギーの導入等を推進する必要があり、それらには相応の費用が掛かるということがこれまでの研究でわかっています。ただし、これまでの研究はエネルギー消費量を下げる対策として、主として効率の良い機器(例;エコカー)を使う、あるいは燃料として二酸化炭素を排出しないようなものに変える(例;石炭からガス)というようなことを検討してきました。しかし、エネルギー消費量はエネルギー需要自体を下げることでも減らすことができます。例えば、自動車に乗らず自転車にする、こまめに電気を消すといった市民レベルでの活動や、都市の設計を適切に行い、自動車ではなく公共交通機関を人々が使うような社会にするといった政策的なことでも可能です。このような対策をエネルギーサービス需要の低減と呼びますが、本研究はエネルギーサービス需要を低減することで温室効果ガス削減費用がどの程度減らすことができるのかということを定量的に評価した初めての研究でした。下の図は、特にエネルギーサービス需要削減を行わなかった場合GDP(国内総生産)で2050年に4%相当の費用がかかりますが、上記のような対策を取ることでそれを25%程度低減できるということを示しています。特に家庭やオフィス(例;節電など)の取組が効果的であることがわかりました。

図1.エネルギーサービス需要低減によるGDP損失への影響(論文の計算結果から加工して作成)
著者ら(左から藤森研究員・長谷川特別研究員・戴特別研究員・甲斐沼フェロー)