環境研災害研究Q&A_X4
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A環境回復研究❶:廃棄物の処理処分技術・システムQ解説放射性セシウムに汚染された都市ごみ(一般廃棄物)や下水汚泥の焼却灰を安全に埋立処分するために、焼却灰からの放射性セシウムの溶出特性や土壌層の吸着特性を調べ、これらの結果を用いた挙動予測シミュレーションによって、埋立地からの排水(浸出水)中の放射性セシウム濃度を十分に低減させるための埋立処分の方法を検討しました。都市ごみを焼却した主灰と下水汚泥の焼却灰からの放射性セシウムの溶出率は比較的小さく、約半年間にわたる溶出試験の結果、大きい場合でも数%程度でした。一方、都市ごみ焼却炉の飛灰は重金属等の溶出防止のために行われる処理(キレート固化処理)をしても放射性セシウムの溶出性は著しく高く、長期的には含まれるほとんどの放射性セシウムが溶け出すと考えられます(図1)。飛灰のような溶出性の高い廃棄物を埋立処分する場合には、水に触れされないため、雨水浸透を防ぐ隔離層が重要です。雨水の浸透を抑制し、放射性セシウムを埋立処分場内により長く保持することで、放射性セシウムは埋立地内で自己崩壊して減少してゆきます。都市ごみ焼却の主灰*1や、下水汚泥*2を燃やした灰から溶け出すセシウムは比較的少ないです。一方、都市ごみ焼却の飛灰*3からは溶け出しやすいため、埋め立て処分をする場合は、雨水の浸透を防ぐ必要があります。*1:炉の底から“もえがら”として排出される灰  *2:下水を処理するときに出る泥 *3:排ガスの集じん機から“ばいじん”として排出される灰ごみ焼却によって出た灰から放射性セシウムが溶け出すことはないのでしょうか?030.111010010000.1110100溶出試験時間 (day)溶出率 (%)0.111010010000.1110100溶出試験時間 (day)溶出率 (%)0.111010010000.1110100溶出試験時間 (day)溶出率 (%)主灰飛灰キレート固化物下水汚泥焼却灰安定Cs安定Cs図1 主灰の安定セシウムの溶出率および飛灰キレート固化物、下水汚泥焼却灰からの放射性セシウムの溶出率‥(白丸は純水を溶媒、黒丸は海水を溶媒とした溶出試験結果を表わす)08

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