環境研災害研究Q&A_X4
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A環境回復研究❶:廃棄物の処理処分技術・システムQ解説東日本にある3つの処理施設でごみの投入量と灰の発生量を調べ、灰に含まれる放射性セシウムの濃度をもとに、灰への放射性セシウムの移行率を算出しました。その結果、ばいじんとして排出される飛灰(溶融炉の場合は溶融飛灰)への移行率が炉の底に溜まる主灰や不燃物(溶融の場合はスラグ)への移行率より高いこと、また、飛灰の移行率は炉の形式で異なり、流動床炉、溶融炉、ストーカ炉の順で大きいことが分かりました(図1)。溶融炉はストーカ炉より高温で処理されるため、放射性セシウム化合物がガス化して飛灰への移行が高くなったと考えられます。一方、流動床炉の場合は、主灰も飛灰となる構造のため、飛灰への移行が高くなったと考えられます。焼却施設内を処理機能ごとのゾーンに分けて放射性セシウムの場所ごとの化学形態と生成量を計算するシミュレータを開発しました。その結果、主灰と飛灰の組成を予想でき、飛灰中の放射性セシウムは、主に塩化セシウム(CsCl)として存在する可能性が示されました(図2)。放射性セシウムの多くは、飛灰*1に移り、主灰*2や不燃物には少ないことが分かりました。飛灰への移行は、炉の形式によって違いがあります。*1:排ガスの集じん機から“ばいじん”として排出される灰  *2:炉の底から“もえがら”として排出される灰焼却炉でごみを燃やすと、放射性セシウムはどれくらい灰に移るのでしょうか?01溶融飛灰主灰不燃物スラグ飛灰0.00.10.20.30.40.50.60.70.80.91.0ストーカ炉1ストーカ炉2ストーカ炉3ストーカ炉4流動床炉溶融炉1溶融炉2¶§§§:阿部ら,第1回環境放射能除染研究会(2012),¶:原田ら,都市清掃(2014)放射性Csの移行率/ -図1 処理施設の形式と各種灰への放射性セシウム(Cs)の移行率図2 マルチゾーン平衡計算による各ゾーンにおけるセシウム(Cs)化合物の生成量0.0E+002.0E-074.0E-076.0E-078.0E-071.0E-061.2E-061.4E-063.一次燃焼1.乾燥2.熱分解4.おき燃焼5.二次燃焼6.冷却単位時間あたりゾーン生成量(mol-Cs/s)Cs(ごみ)CsAlSi2O6(固体)CsCl(固体)CsCl(ガス)主灰飛灰06

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