環境研災害研究Q&A_X4
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災害環境マネジメント研究:将来の災害に備えた環境マネジメントシステムの構築解説AQ災害廃棄物の処理を円滑に進めるにはどうすればよいのでしょうか?災害廃棄物を円滑かつ適正に処理するために求められるマネジメントについて、制度、具体業務、計画論から検討を行いました。東日本大震災で被災した自治体での聞き取り調査などから、以下のことが分かってきています。まず、災害廃棄物処理を進めるためには、技術的に検討される処理プロセス以外にも、制度やマネジメントが影響することです(図1)。また、災害廃棄物の処理を完了するまでに行われる具体業務は、現場での処理業務を指す「事案処理」の他に、意思決定・調整・広報などを指す「指揮調整」、人材・資機材・施設などの調達や管理を指す「資源管理」、財源の確保や支払いを指す「庶務財務」、情報の収集・分析・共有と計画の作成及び見直しを指す「情報作戦」という災害対応に係る基本機能の体系で整理できることです(図2)。これらの知見をふまえ、表1のように整理された6つの要点をおさえて、災害が起きる前に、災害廃棄物処理計画づくりを進めておくことが重要です。災害廃棄物処理は、撤去から最終処分までの処理の流れだけでなく、人、モノ、資金、情報のマネジメントや、発災後の制度対応についても予め検討しておくことが重要です。17関連主体の行動(Behavior)B-1:行政マネジメント•戦略の立案と活用による進行管理•資源(人材、設備機材、金、情報)の配分•外部主体との連携制度(Institutions)制約条件(Conditions)C-2:関連主体の条件C-1:災害固有の条件I-1:平時に構築された災害廃棄物処理の枠組みB-2:処理プロセス•撤去、運搬、分別、処理処分•災害廃棄物の適正保管効果(Outcome)O-1:処理の進捗I-2:発災後の制度対応図1 災害廃棄物処理に関係する様々な要素の関係表1 災害廃棄物処理計画策定の要点図2 各基本機能に分類された具体業務の割合(n=146)事案処理28%指揮調整16%資源管理24%庶務財務16%情報作戦16%(1)計画文書そのものよりも、計画づくりの過程を通した学習を重視する(2)計画づくりを通して、関連主体との調整・関係向上を図る(3)災害と、災害に対応する人間社会に関する正しい知識に基づいて策定する(4)発災後の柔軟な対応を可能とするよう、対応の細部よりも、原則を重視する(5)「持続可能な」災害対応を考慮する(6)災害マネジメントサイクルを通した計画とする22

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