環境研災害研究Q&A_X4
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環境回復研究❷:環境動態、被ばく、生物・生態系解説QA原発事故による植物への放射線の影響はあるのでしょうか?生物のDNAは放射線を含めた環境からのストレスにより常に損傷を受けています。一方で、生物はDNAの損傷を速やかに修復する力があります。しかし、このバランスが崩れると、DNAの損傷が蓄積し、低確率ですが突然変異した変異体が出現することがあります(図1)。福島県における植物のDNA損傷生成と修復能力とのバランスを調べるために、修復の回数が斑点として現れるように遺伝子を組換えたシロイヌナズナ(図2)を、福島県内で採取した汚染土壌を用いて栽培しました。30日間の栽培期間に植物が浴びた積算放射線量は低い順にそれぞれ、57.6, 261, 1340, 2840 μSvとなりました。観察の結果、浴びた放射線量に応じて修復量は増加しており、変異が蓄積している傾向は確認されませんでした(図3)。放射線によるDNA損傷に着目すると、植物自身が持つ修復能力により、現状の放射線量ではDNAの変異が蓄積していないと考えられます。11低高大小修復変異蓄積安全危険放射線量DNA修復量図1 放射線量とDNA修復との関係図3 汚染土での栽培によるDNA修復への影響図2 DNA修復が斑点として現れた植物57.6261134028400302010積算放射線量(μSv)修復頻度(\個体)16

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