環境研災害研究Q&A_X4
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環境回復研究❷:環境動態、被ばく、生物・生態系解説QA霞ヶ浦に流入する7河川と福島県の宇多川において、流量・濁度の自動観測や採水を行い、河川水中の浮遊性懸濁物質(SS)に付着した放射性セシウムの流出量を測定しました(図1)。SS単位重量当たりのセシウム137濃度を求めた結果、流域平均のセシウム137の沈着量が多いほどSS単位重量あたりのセシウム137濃度が高いことが明らかになりました。福島県浜通りの宇多川におけるSS単位重量当たりのセシウム137濃度は、霞ヶ浦流域河川の数倍程度高い値を示しました。2012年7月~2014年1月の宇多川流域の調査で、特に大規模な降雨時にSSがまとまって流出することが確認されました(図2)。この期間の宇多川流域へのセシウム137の流出率は、原発事故由来のセシウム137総沈着量に対して、0.17%と算定されました。この値は、霞ヶ浦流入河川の結果とかなり近い値であったことから、陸域からの放射性セシウムの流出は、流域の汚染程度に関わらず非常に少ないことが分かりました。川の周辺から河川へ流出するセシウムの年間総量は、周辺の総沈着量と比べて非常に少ないことが分かりました。しかし、激しい雨が降ると河川への流出が大きくなりますので、注意が必要です。河川を通じて、どのくらいの放射性セシウムが流れ出ているのですか?087月20129月11月1月20133月5月7月9月11月1月20140501004004流量SS32103002001000河川流域(㎥/s)SS累積流出量(106kg)降水量(㎜/day)図1 霞ヶ浦主要流入河川と原発事故によるセシウム137蓄積量(セシウム137の流域内沈着量分布は文部科学省航空機モニタリング(2011)から推定)図2 宇多川下流観測点における河川流量とSS 流出量算定値の累積変化Cs-137蓄積量(kBq/㎡)<2.52.5 - 5.05.0 - 10.010.0 - 20.0051020km●国土交通省霞ヶ浦河川事務所による 水位・流量観測点20.0 - 30.030.0 - 40.040.0 - 50.050.0 <13

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