環境研災害研究Q&A_X4
12/24

環境回復研究❷:環境動態、被ばく、生物・生態系解説QA放射性セシウムは、湖沼や干潟にも蓄積しているのですか?福島第一原発事故により放出され、河川流域へ大量に沈着した放射性セシウムが、湖沼や沿岸干潟へどのように流入し、底質へ蓄積しているか、その実態を調査しました。図1は、2012年12月と2013年10月に霞ヶ浦(西浦)の底泥を68地点で採取し、その結果をもとに推定したセシウム137の蓄積分布です。湖の西側で蓄積量が高いのは、原発事故時の湖面への直接沈着の影響と考えられ、桜川や恋瀬川の河口付近の蓄積量の高さも陸域からの流入の影響と確認されました。2012年の湖底への総蓄積量は、深さ15cmまでの単位面積当たりで18kBq/㎡と推定されたのに対し、2013年でも15kBq/㎡とほとんど増加は見られず、水深の浅い霞ヶ浦では、風による巻き上げ等の影響を受けて鉛直方向の混合が生じていることが確認されました。以上から、霞ヶ浦湖底に蓄積している放射性セシウムの多くは、事故後の湖面への直接降下と、事故後初期の降雨によって周辺市街地から流入したものに由来しており、降雨時に陸域から土砂とともに流入することによる影響は小さいと考えられました。湖沼や干潟の底に不均一に蓄積しています。これは事故直後の大気からの沈着や川からの流入、湖内の水流の影響と考えられます。霞ヶ浦(茨城県)では降雨時の土砂流入に伴うセシウムの増加は見られません。07Cs-137蓄積量(kBq/㎡)図1 霞ケ浦底質へのセシウム137蓄積量分布推定結果(図中の●印は採泥地点を示す。‥陸域への沈着量は、文部科学省による航空機モニタリングデータ(文部科学省, 2011)を使用)12

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です