環境研災害研究Q&A_X4
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環境回復研究❷:環境動態、被ばく、生物・生態系解説06QA放射性セシウムは森林でどのように移動しているのでしょうか?福島第一原発事故によって放射性セシウムに汚染された地域の大部分は森林です。そこで、半減期が長いセシウム137(約30年)に焦点を絞り、森林への沈着から樹木や土への移行、そして河川への流出までを事故直後から調査し、森林域においてセシウム137がどのように移動するのかを明らかにしました。茨城県の筑波山林で樹木に付着・吸収されたセシウム137は、雨に洗い流されたり落葉により土へ移行しました。土に含まれるセシウム137は、事故後1年目では事故直後より増加したものの、2年目では前年とほぼ変わらなかったことから、樹木から土への移行は事故後1年以内に終息したものと考えられます(図1)。土中のセシウム137の深度別分布の経年変化については、土中セシウム137の70%以上が事故から2年以上経過しても表層6㎝に留まっていることがわかりました(図2)。また、セシウム137の森林から河川への流出は、多くても0.3%以下と見積もられ、森林からの流出はごくわずかでした。これらと同様な結果が福島県宇多川上流域の森林でも得られています。樹木に付着したセシウムのほとんどは、雨に洗われたり落葉して、事故後1年以内に土に移動しました。森林の土の中のセシウムは2年以上経ってもほぼ地表に留まり、森林から川に流れ出したものはごくわずかです。図1 茨城県筑波山林における土の深さ10cmまでのセシウム137‥蓄積量の経年変化図2 茨城県筑波山林における土中セシウム137の深さ別分布の経年変化0246810121416182001402468101214161820012スギ老齢林A11年4月12年5月13年5月広葉樹林セシウム137蓄積量(kBq/m2)土壌深度(cm)スギ老齢林Bヒノキ老齢林ヒノキ若齢林024681012141618200210246810121416182001702468101214161820060602040土壌のセシウム137蓄積量(kBq/㎡)スギ老齢林Aスギ老齢林Bヒノキ老齢林ヒノキ若齢林広葉樹林2011年4月2012年4月2013年5月11

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