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《研究課題コ−ド》0406BC319
《研究課題名(日本語)》ため池とその周辺環境を含む地域生態系の水循環と公益的機能の評価
《研究課題名(英語)》Assessments of water cycle and ecosystem function in irrigation ponds and their surroundings
《予算区分》BC 環境-公害一括
《開始/終了年度》2004〜2006
《研究目的・目標》
本研究ではため池およびその周辺地域を研究対象とし,生物多様性を維持するのに重要である景観単位(例えば、森林など)と生態要素(例えば抽水植物群落など)を抽出した上で,そうした要素の公益的機能を科学的に評価する。一方で,地域生態系の水循環機構を明らかにし,管理手法を提言することを目的とする。
《全体計画》
(1)生物多様性を保証する景観・環境要素の抽出(2004-2006年度)
(2)面源の違いによる水域への流出特性の把握(2004-2006年度)
(3)水生植物・森林起源物質の植物プランクトンへの他感作用の検討(2004-2006年度
(4)水生植物群落の窒素浄化機能の評価(2004-2006年度)
(5)総合評価(2006年度)
《前年度の成果概要》
(1)農業形態の相違によるため池への窒素負荷量を評価したところ,ブドウ畑から高濃度の硝酸態窒素が流入することが示唆された。(2)アオコを構成する藍藻類の生育を抑制する水生植物を検索し,サンショウモ類に強い作用を検出した。ため池周辺の樹木の葉による藍藻類の抑制能を調べた結果,ユキヤナギ,ヤマウルシ,フッキソウに強い活性を検出した。(3)沿岸域に分布する水生植物群落が水系の酸化還元状態に影響を与え,脱窒機能を促進していることが示唆された。また,脱窒量は春季から冬季にかけて上昇する傾向が認められた。(4)水生植物の保全に協力してもらうためには,助成金を与える経済的手法と地域貢献・環境悪化といった観点から生物保全の必要を啓発する心理的手法の併用が望ましいことが明らかとなった。(5)ため池およびその周辺に生息するトンボ類および両生類の生息場所評価を客観的に行うために,景観要因の分布様式を地理情報システムによって把握したところ,平地に立地する皿池を最優先に保全すべきであることが示唆された。
《今年度の研究概要》
(1)転作田からため池へ流入する窒素負荷を評価する。(2)現地のため池においてサンショウモとユキヤナギ等を用いたアオコ抑制法を検討する。これらの植物が放出する藍藻の生育抑制物質を分析する。(3)浮葉植物や沈水植物など,生育形の異なる水生植物が有する脱窒機能を定量的に評価する。(4)ため池の管理手法に関しては,アンケートやヒアリングを通じて,どのような管理者に生物保全を働きかければ良いのかを明らかにする。(5)特定の水生昆虫類の分布を尺度とした統計モデルを作成し,地域の生息ポテンシャルを評価する。
《備考》
共同研究機関:(独)農業環境技術研究所,兵庫県立健康環境科学研究センター,兵庫県立農林水産技術総合センター
協力研究機関ならびに共同研究者:三橋弘宗(兵庫県立人と自然の博物館),角野康郎(神戸大学理学部),兵庫県農林水産部農地防災室,田渕俊雄,国松孝男(滋賀県立大学)
《課題代表者》高村典子
《担当者》○高村典子(生物多様性研究プロジェクト),宇田川弘勝
《キーワード(日本語)》
ため池,生態機能,生物多様性,保全,持続的利用
《キーワード(英語)》
PONDS, ECOSYSTEM FUNCTION, BIODIVERSITY, CONSERVATION, SUSTAINABLE USE