研究課題詳細表示
《研究課題コ−ド》1620SP030
《研究課題名(日本語)》自然共生研究プログラム
《研究課題名(英語)》Harmonization with Nature Research Program
《開始/終了年度》2016〜2020
《研究概要》
推進戦略に基づき、生物多様性の保全とそれに資する科学的知見の充実に向けた研究・技術開発、森・里・川・海のつながりの保全・再生と生態系サービスの持続的な利用に向けた研究・技術開発に取り組む。
 本研究プログラムでは、以下の5つの課題に取り組む
(1) 国際的なスケールと国内スケールの異なるスケールで生じる生物多様性・生態系の利用と管理の問題を統合的にとらえて戦略的な解決策を提示するための基盤となる指標や手法の開発。
(2) 外来生物及び化学物質の影響評価と、近年問題となっている野生生物感染症の感染拡大プロセス及び生態リスクの解明、及びこれらの要因による影響の管理手法の開発。
(3) 気候変動・大気汚染などの広域環境変動に対する適応戦略に科学的根拠を与えるための生物応答メカニズムの解明。
(4) 生物多様性の保全及び生態系サービスの持続可能な利用に向けた多面的な評価指標の総合的な評価にもとづく保全策実施対象地の適切な空間配置を支援するツールの開発。
(5) 生態系間のつながりや持続性と地域で生じる時空間的な生態系サービス間の関係の分析、及び多様な生態系サービスの持続的利用を目指した自然共生型流域及び地域管理策の提案。
《前年度の成果概要》
(1)については、資源利用にともなう土地利用変化と生物多様性影響の定量化のため、利用可能な全球規模の土地利用・土地被覆及び生物分布情報に関する調査を行い、データ収集を開始した。国内における廃村地域の現状を整理し、全国規模で廃村後の生物多様性応答を把握するための調査設計を行った。また、国内の土地利用及び人口動態・気候シナリオに関連する空間データを収集整理した。

(2)については、外来生物対策として特定外来生物の新規防除手法を開発して防除マニュアルを策定し、侵入地域における防除システム運用試験を実施した。次に農薬リスク対策としてハナバチ類に対する農薬の生態影響評価手法を開発するとともに、水生生物に対する農薬の生態リスク評価手法の高度化を図った。またメソコズム試験法のマニュアル化および地方レベルの試験運用を推進するとともに野外環境における農薬残留分析をすすめ、生物多様性への影響を評価した。感染症対策として野生渡り鳥の鳥インフルエンザ、ニホンミツバチのアカリンダニ、および両生類ツボカビ菌の感染・寄生状況の調査、宿主特異性のメカニズム分析を進めるとともに野生動物感染症データベースの構築を開始した。

(3)については、広域環境変動に対する生物応答解析のために必要な基礎データ集のフォームを作成し、利用可能な情報の収集とデータベース化を開始した。また、生物多様性と気候変動の観点から注目すべき生態系を選定し、当該生態系の全球分布情報整備を開始すると共に、気候変動と大気汚染シナリオに関する空間情報の収集を開始した。また、当該生態系の環境変動に対する応答メカニズム解明のための調査・計測設計を行い、調査・計測を開始した。

(4)については、絶滅リスクを考慮した保護区の配置デザインを支援するツールについて、パッケージ化と一般向けのユーザーインターフェースの開発を開始した。また、絶滅危惧生物の生態特性及び維管束植物の遺伝的多様性に関するデータベースの整備を開始した。既存の生物多様性・生態系サービスに関する指標の情報収集を開始した。

(5)については、霞ヶ浦流域、小笠原諸島等の地域や流域を対象として生物多様性の評価方法や指標について検討し、環境DNA解析の元となるDNAデータベースの整備や希少種サンプルの収集・保存を開始した。生態系機能やサービスに関しては評価を行う時間スケール・空間スケールを決定し、絶滅危惧種を含む回遊生物や水産有用生物の移動及び迷惑生物の侵入、物質の循環や供給・蓄積といった生態系機能評価のためのサンプリングや分析を開始した。また、生態系サービス評価については、観光客の動向等生態系サービスの定量的評価に必要なデータの取得と資料の収集・整備を進めるとともに、生態系のシミュレーションを行うための基盤的なモデルを作成し、予察的なシミュレーションを行った。
《今年度の研究概要》
(1)については、資源利用にともなう土地利用変化と生物多様性影響の定量化のため、利用可能な全球規模の土地利用・土地被覆及び生物分布情報に関する調査を行い、データ収集を開始する。全国規模で廃村後の生物多様性応答を把握するための調査を実施する。また、国内の土地利用変化を人口動態および気候と関連付け、予測モデルを構築する。

(2)については、外来生物対策として特定外来生物に指定された昆虫類の化学的防除手法マニュアル化を推進し、侵入地域における防除主体に対して技術を実装する。次に農薬リスク対策としてハナバチ類に対する農薬の生態影響評価手法を開発するとともに、野外における影響実態を調査する。トンボ類に対する農薬の生態リスク評価手法の高度化を図る。野外におけるトンボ類減少要因の解明を図る。感染症対策として野生渡り鳥の鳥インフルエンザ、ニホンミツバチのアカリンダニ、および両生類ツボカビ菌の感染・寄生状況の調査、宿主特異性のメカニズム分析を進めるとともに野生動物感染症データベースの構築を進める。

(3)については、広域環境変動(気候変動と大気汚染等)に対する生物応答解析のために利用可能な基礎情報の収集とデータベース整備を継続する。また、生物多様性と気候変動に対する応答性の高さという観点から選定した注目すべき生態系について、生態系分布情報整備を進める。さらに、当該生態系の環境変動に対する応答メカニズム解明のための調査・計測設計を行うと共に調査・計測を継続する。

(4)については、保全対象の保全重要度の評価を踏まえた保護区の配置デザインを支援するツールの実装を進める。また、絶滅危惧生物の生態特性及び維管束植物の遺伝的多様性に関するデータベースの整備を継続するとともに、このデータを活用し、保全優先度に関する解析を開始する。

(5)については、森川里海の観点から、霞ヶ浦・琵琶湖流域、小笠原諸島等の地域や流域を対象として環境DNAや現地調査・モニタリングに基づく生物多様性と生態系機能・サービスの評価を行う。霞ヶ浦流域では、小流域及び湖内において各種生態系サービスの定量化・地図化を行い、空間的・時間的に生じるトレードオフあるいはシナジーについて分析を開始する。小笠原諸島では、引き続き現地調査を行って希少種サンプルの収集・保存を行うとともに生態系構成種の経時変化を追跡する。観光客や事業者の動向等に着目し、生態系サービスの定量的評価に必要なデータや資料の収集・整備を引き続き拡充するとともに、予備的なアンケート調査やヒアリング、行政文書の解析を行う。また、生態系モデルの高度化を行うとともに、シミュレーションを行って生態系の脆弱な部分の探索を進める。他の対象流域においては、回遊性魚類や汽水性生物といった生物の分布情報の収集、微量元素や有機物といった水土壌環境の指標選定を行い、水界間の連結性の評価を開始する。生物回遊や汽水域形成の阻害要因となる生息地の改変履歴や貯水ダムおよび河口堰の影響に注目し、水資源・防災・水産資源といった生態系サービスと生物多様性との相互関係についての情報を整備する。
《課題代表者》山野博哉
《担当者》○山野博哉(生物・生態系環境研究センター),角谷拓,竹内やよい,深澤圭太,久保雄広,竹中明夫,南齋規介,中島謙一,吉岡明良,小熊宏之,五箇公一,大沼学,坂本佳子,岸茂樹,降幡駿介,片山雅史,林岳彦,横溝裕行,井上智美,佐治光,青野光子,唐艶鴻,冨松元,伊藤昭彦,石濱史子,松崎慎一郎,今藤夏子,山口晴代,吉田勝彦,佐竹潔,上野隆平,安藤温子,矢部徹,野原精一,広木幹也,福島路生,亀山哲,高村典子,高津文人,小松一弘,三枝信子,玉置雅紀,渡邊未来,林誠二,岡川梓
《キーワード(日本語)》
自然共生
《キーワード(英語)》
harmonization with nature