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《研究課題コ−ド》1112AQ001
《研究課題名(日本語)》生物多様性に対する社会的認知の測定と合意形成についての手法の開発
《研究課題名(英語)》Evaluation of the citizens
《予算区分》AQ センター調査研究
《研究経費》120万円
《開始/終了年度》2011〜2012
《研究概要》
本研究は、生物多様性に対する一般市民の認知の現状を、その構造や特性から明らかにすることを目的とする。具体的には、社会心理学で用いられる実験手法を応用し、全国規模のウェブ調査を設計・実施し、生物多様性に対する人々の認知の傾向と、それに影響する自然環境・社会要因を探る。
さらに、実際に生物多様性を保全する活動がみられる地域から得られた意識調査の結果にもとづき、保全に対する人々の意識の違いとその要因について考察する。
《研究の性格》
主たるもの:応用科学研究
従たるもの:行政支援調査・研究
《全体計画》
 生物多様性の保全に関する行動では人々が何を重視して決定を行っているのかを明らかにするため、社会学の分野で蓄積があるコモンズの重層性に関する議論を参考にため池の事例を用いて関係者間と関係のない一般市民におけるため池保全行動には視点に違いがあることを心理学的なアプローチで明らかにする。
 昨年度は、社会心理学の調査で用いられる質問票を活用したウェブ調査を設計・実施し、全国から『生物多様性』の認知度や危機要因の認知度、『生態系サービ ス』の認知度等に関する6443件の回答を得た。結果の一部として、近年『生物多様性』に対する認識が急速に広がっていること、また『生物多様性の保 全』や『生態系サービスの恩恵』に関する意識は、居住する地域や都市の規模などに影響を受けること等が明らかになった。
 今年度は、様々な環境資源に対する一般市民の価値観の評価が環境保全行動の意図にどのようなプロセスで影響を及ぼしているのかを明らかにする、より詳細 な分析を進める。さらに、データ活用のための自治体等へのヒアリング調査を計画し、自治体・市町村における地域戦略策定などの生物多様 性保全の政策立案に役立つ情報として、提供することを目指す。

《前年度の成果概要》
 全国規模のアンケートを実施し、回収されたデータ6443件のデータについて、母集団の実際の人口構成比比率に合わせて重み付けして再集計(ウェイトバック集計)を行い、得られた5243件を解析に用いた(政令指定都市などの大都市2579件、その他の市2189件、それ以外の町村475件)。分析ソフトAmos20.0を用いて意思決定モデルの妥当性、潜在変数(因子)間の相関係数への影響指標を検討し、有意なパスのみを残す方法から環境保全の行動に影響を与える要因を探索した。解析の結果、居住地に対する「愛着」や周囲の人々からの意見である「社会規範評価」、行動を行う際に生じる時間やお金などの「コスト感」は環境保全の行動意図との有意な関係性が認められた。また、回答者の居住地による比較を行った結果、大都市よりも町村に居住する回答者の方が、「社会規範」からの影響が強い傾向があった。どの要因が環境保全の行動意図に影響するかは、住んでいる地域(地域性)の影響を受ける事が示唆されたことから、今後の生物多様性保全・管理行動を支援するために、各地域の生物多様性の認知の現状についてより詳細に理解する必要があると考えられた。
《今年度の研究概要》
様々な環境資源に対する一般市民の価値観の評価が環境保全行動の意図にどのようなプロセスで影響を及ぼしているのかを明らかにする,より詳細な分析を進める。さらに,データ活用のための自治体等へのヒアリング調査を計画する。
《外部との連携》
共同研究者:
関西学院大学社会学部 野波寛 教授(社会心理学専攻)
筑波大学大学院システム情報工学研究科 上市秀雄 講師
《課題代表者》高村典子
《担当者》○高村典子(生物・生態系環境研究センター),今井葉子,角谷拓
《キーワード(日本語)》
認知,生物多様性,生態系サービス
《キーワード(英語)》
perception, biodiversity, ecosystem services