研究課題詳細表示
《研究課題コ−ド》0709CD291
《研究課題名(日本語)》淡水域の生物多様性と生態的機能の基盤となる多様な植生の維持機構の解明
《研究課題名(英語)》Factors to determine aquatic vegetation in ponds.
《予算区分》CD 文科-科研費
《研究経費》150万円
《開始/終了年度》2007〜2008
《研究目的・目標》
水生植物群落は、物質循環を促進する生態的機能の面からだけでなく、水域を利用する多くの動物群集の生息場所として、水域生態系にはなくてはならない生態系要素である.しかし、多くの湖沼やため池では、埋め立て(干拓)、護岸、灌漑期にあわせた春先の高い水位設定、富栄養化、土砂の流入、除草剤などの流入、侵入植物の繁茂などの影響で、過去半世紀にわたり、水生植物群落の衰退や水生植物種数の減少が起きている.本研究では、ため池に成立している水生植物群落の成立要因を、土地利用などの比較的大きな空間スケールと池周辺の護岸や水質などの中程度のスケールから説明を試みる。
《全体計画》
ため池の多い兵庫県北播磨地域をフィールドとして、まず、ため池に成立している水生植物群落の種類とその面積、水生植物の種数、特徴的な種構成のグループ等を従属変数として、これらを説明する環境因子の関係解析を行う.加えて、ため池の場合は、生態学的な環境要因の背景に、社会学的な要因が存在する.例えば、水位調整(水位変動)や堰堤の状況などは、その背景に農業所得、農業従事者の専業性、農業従事者の年齢、作付け内容、都市近郊か農村地帯かなどの社会的要因が隠されている.そのため、ため池管理農家の聞き込みによる社会的要因についての調査を実施し、生態学的に重要な変数と関係性の高い社会的要因についても統計的な解析を行うことで、おのおのの因果関係についての議論や考察を行う.
《前年度の成果概要》
ため池の水生植物の種多様度が、ため池からどの程度の空間スケールの土地利用と関係するかについて調べた。さらに、水生植物の植生と深く関係する池の物理特性(水深と面積)にも焦点をあてた。その結果、沈水植物の有無は、ため池から75mまでの土地利用で説明されたが、浮葉植物の出現種数は500m、抽水植物の出現種数は2500mと最も大きかった. 一方,水質は沈水植物と浮葉植物の中間の空間スケール(100-250m)の土地利用で説明された.概ね、市街地面積率 の増加に伴い,水生植物の種多様度は減少した.また、周囲の淡水域面積率 は正の影響を与えていた.水深が深くなると,水生植物の出現種数は減少した。ため池面積は調査した池うちの中間のサイズ(0.5ha)で,出現種数は最大値を示し,以降わずかに減少した.以上より、池の生物多様性の保全に関係する空間スケールが特定され、市街化,池周辺の淡水域面積の減少、改修工事などによる池の深水化や大型化はため池の水生植物の多様性に対する負の要因となることが明らかになった.
《今年度の研究概要》
多様な植生の維持機構については、環境因子だけでなく、種子散布のための池の連続性が重要である。今年度は、まず、現場調査から、池の繋がりが池の植生の種多様度に及ぼす影響を明らかにする。さらに、航空機から撮影した対象域全体の空中写真の判読による水生植物群落構成の把握を行うことで、ため池に成立する水生植物群落と群落構成(群落の組み合わせ)の定量化を行う.
《課題代表者》高村典子
《担当者》○高村典子(環境リスク研究センター),赤坂宗光
《キーワード(日本語)》
水生植物,生物多様性,生態系機能
《キーワード(英語)》
AQUATIC MACROPHYTE, BIODIVERSITY, ECOSYSTEM FUNCTION
《関連先》
重点3ー中核4 生物多様性と生態系機能の視点に基づく環境影響評価手法の開発
重点3ーその他2(2) 生態系評価・管理のための流域詳細情報の整備