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《研究課題コ−ド》1620AA046
《研究課題名(日本語)》PM2.5など大気汚染の実態解明と毒性・健康影響に関する研究プロジェクト
《研究課題名(英語)》A study of air pollution including PM2.5 and its health and toxic effects
《開始/終了年度》2016〜2020
《研究概要》
 微小粒子状物質(PM2.5)やオゾンを含む国内およびアジアの大気汚染を削減することは必要である。また、PM2.5を含む大気汚染は人体に影響を及ぼすが、PMなどの健康影響については国内の疫学的知見、原因物質の特定、発生機序の知見が不足している。本研究では、大気質モデルの精度向上と疫学的知見の収集を中心として研究を進め、大気汚染の発生源や原因物質の排出削減対策の方向性の提示(緩和策)、健康影響の解明(実態解明)、濃度予測システムを用いた注意喚起情報の発信(適応策)を目的として研究開発を行い、大気環境管理への科学的課題と方法を示すことにより安全確保社会の実現に貢献する。
 排出インベントリの整備とともに、大気観測、室内実験の知見をもとに大気モデルの性能の向上を図り、大気汚染の発生源や原因物質の排出削減対策の方向性を提示する。また、粒子状物質の毒性試験を実施して毒性評価を行い、国内での疫学調査により粒子状物質がもたらす健康影響の国内知見を創出する。さらに、大気モデル及び疫学知見を考慮した注意喚起情報の発信手法の構築を行う。
《前年度の成果概要》
大気質モデルで使用されている二次生成有機エアロゾルスキームを検証するためにボックスモデルによる計算結果を揮発性分布の室内実験結果と比較検討し、実測と比べてモデルでは粒子の揮発が速すぎることを見出すとともに、モデルに極低揮発性粒子を導入することで実測された粒子の揮発特性を再現した。SOAの揮発性評価では、大気中での化学的変質の影響を評価するため、特定のVOCとOHラジカルの供与剤である亜硝酸メチルとの混合系から生成するSOAについて揮発性を評価した。亜硝酸メチル混合系で生成するSOAの揮発性は、非混合系の結果に比べて低下するものの、大気中の酸化有機エアロゾルよりも高いことを明らかにした。大気粒子状物質に含まれる酸化ストレス誘導成分、多環芳香族や金属成分の生体影響を調べるための、高感度でハイスループットなバイオアッセイ方法の作成を進めた。試験標品、ならびに自動車排ガス由来の粒子試料を用いて、細胞生存率を用いた細胞障害性に加えて、ルシフェラーゼ活性測定による粒子成分に着目した毒性評価手法を確立しつつある。脳卒中発生データに関しては、九州大学から協力の内諾を得た(福岡脳卒中登録データ)。出産関連データについては、日本産科婦人科学会が管理・運営している周産期登録データベースからデータクリーニングが完了している2005〜2010年のデータ提供を受けたものについてデータセット化やデータクリーニング等の整理を行ない、試行的な関連解析に着手した。
《今年度の研究概要》
大気モデルの性能の向上を図るため、排出統計データの収集整備、凝縮性ダストの計測、PMなどの大気汚染物質の観測を継続し、前年度に改良した化学反応モデルの検証を行う。チャンバー実験や野外観測では主に粒子中有機指標物質の分析を行う。また観測だけではなく既存の観測データも収集し疫学研究に提供できる大気曝露データセットの構築を行う。
粒子状物質の化学分析データなどに基づき毒性試験の対象物質を検討するとともに、細胞毒性試験を行う。さらに、前年度に引き続き死亡や循環器疾患などの医療データを収集し、大気曝露データセットとのリンケージを行ない、健康影響に関する予備的検討を行う。
《外部との連携》
九州大学、福岡大学、東京大学、京都大学、地方環境研究所、
《課題代表者》高見昭憲
《担当者》○高見昭憲(地域環境研究センター),菅田誠治,永島達也,森野悠,五藤大輔,茶谷聡,佐藤圭,清水厚,伏見暁洋,平野靖史郎,古山昭子,藤谷雄二,山崎新,道川武紘,近藤美則
《キーワード(日本語)》
大気汚染,健康影響,毒性,粒子状物質
《キーワード(英語)》
air pollution,health effect,toxicity,particulate matter