
| 《研究課題コ−ド》 1011AF010 |
| 《課題名》 | |
| 河川水の溶存無機炭素の安定同位体比による河川を含めた流域の炭素循環の解析 Studies of carbon cycling within river watershed by the analysis of 13C natural abundance of dissolved inorganic carbon (DIC) in lotic environments |
|
| 《区分名》 AF 奨励 | |
| 《担当者》 | |
| ○高津文人(地域環境研究センター),今井章雄 | |
| 《キ−ワ−ド》 | |
| 溶存無機炭素,易分解性有機物,炭素安定同位体比 dissolved inorganic carbon, easily decomposable OM, stable carbon isotope ratios |
|
| 《目的》 | |
| 霞ヶ浦集水域を中心にさまざまな土地利用特性をもった80弱の小流域で採水し、そのpH、全炭酸濃度(DIC)、炭素安定同位体比を測定することで、河川水中のDICの起源(呼吸由来、大気由来)を解析する。同時に、pHからpCO2を算出し大気への放出に寄与するDICの起源を推定する。最終的に流下過程での呼吸や光合成等も含めた流域の炭素循環を解明する。 人間活動は水界への有機物負荷を増大させ、河川もその多くが過飽和の状態で、多くの炭酸ガスが昼夜問わず放出されていると推察される。河川水中のDICの起源を同位体混合モデルにより明らかにし、流下過程での呼吸や光合成の影響も考慮し、流域の炭素循環を解明することを最終目標とする。本研究成果は流域への内湾や湖沼の水質悪化の主たる原因である、流域からの易分解性有機物の供給プロセスの解明に役立つ。 流域内には回転時間の異なる様々な水が存在し、それらが集まり流下する河川水のDICの濃度と同位体比からは、1)流域での易分解性有機物の種類、2)滞留、流下過程でのDICの消費と生成のプロセス、3)大気由来炭酸ガスとの交換、に関する情報が得られる。水文学的特性と合わせて解析を行うことで、流域に負荷される易分解性有機物の種類と寄与率が明らかとなり、DICの炭素安定同位体比による流域環境評価の体系化が期待できる。 |
|
| 《内容及び成果》 | |
| DICの炭素安定同位体比を測定するための自動前処理ラインを開発した。その後、2011年5月下旬に霞ヶ浦集水域を中心にさまざまな土地利用特性をもった80弱の小流域で採水し、そのpH、全炭酸濃度(DIC)、炭素安定同位体比を測定した。ほとんどの地点で再計算したH2CO3*の同位体比は-23.5±2‰の範囲に収まり、河川水中のDICの起源は-22.5‰程度の土壌呼吸由来のCO2と考えられた。他方、上流に湿地や池といった水の滞留時間の長くなりやすい水系のある採水地点の一部では、大気との交換が進んだ時に見られるH2CO3*の濃度が10-20μMでその炭素同位体比が-9‰といった特徴に近い性質を示した。採水時が増水時ということもあり、集水域が多様な土地利用であったにもかかわらず、河川水中のDICの起源は概ね陸上も土壌呼吸由来であった。今後、低水時のサンプリングも併せて解析することで、河川へ輸送されるDICの起源が出水イベントで変化するか否かを明らかにすることができると考えている。 | |
| 《期間》 平成22〜平成23年度(2010〜2011年度) | |
| 《備考》 | |