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研究成果(平成23年度)
《研究課題コ−ド》 1115AQ035
《課題名》
大気・海洋モニタリング
Atmospheric and Oceanic Monitoring
《区分名》 AQ センター調査研究
《担当者》
○町田敏暢(地球環境研究センター),向井人史,寺尾有希夫,野尻幸宏,谷本浩志,遠嶋康徳,笹川基樹,Maksyutov S.,白井知子,高橋善幸,杉田考史,横内陽子,斉藤拓也,荒巻能史,高見昭憲,山野博哉,河地正伸,中根英昭,福澤謙二
《キ−ワ−ド》
温室効果ガス,大気微量成分,モニタリング
Greenhouse gases, Atmospheric trace gases, Monitoring
《目的》
地球環境の変動に寄与する大気中や海洋中の物質について、中長期的に継続した観測を行うことによってその時間変動や空間分布を明らかにし、変動要因を解明するための基礎データを取得する。また、地球温暖化のような地球環境の変動の結果として生じる影響を中長期的な観測から検知・監視する。観測は最先端の技術を導入して、国際基準に準拠またはトレーサブルな標準のもとで実施し、日本のみならず国際的に有用なデータを取得するとともに、広くデータ利用を推進する。
《内容及び成果》
 地上モニタリングでは、波照間ステーションと落石岬ステーションにおいて温室効果ガスならびに関連ガス、エアロゾル等の観測を順調に実施した。波照間、落石とも平均濃度は395ppmになり、17年前から35ppm近く増加した。増加量は10%に達している。2011年は比較的平均的な夏を迎えたことにより、昨年の夏より大きい吸収量を示し、CO2の濃度の夏の濃度も昨年と同程度か、落石ではむしろ低い値を示した。CH4濃度は2007年の初めから2009年の終わりにかけて、波照間・落石共に約20ppb程度増加したように見えるが、2009年以降の増加率は少し抑えられているようにも見える。
 船舶モニタリングでは、Skaugran、Alligator Hope、Pyxisと継続されてきた北太平洋航路の観測の2008年までのデータセットを利用して、時系列解析、海域のCO2フラックス解析として、ニューラルネットワークを用いる解析を行った。この結果、北太平洋におけるCO2交換量の季節変化では、冬季の海洋CO2吸収が強く、夏季には大気への弱いCO2放出となることが示された。また年々変動について見てみると、2006年から2007年冬季の海洋CO2吸収量が増加していることが示唆された。また年間のCO2吸収量は7年間で0.43 PgC/yrから0.50 PgC/yrの範囲で変動し、その振幅はCO2交換量と比較して小さいことが示唆された。
 航空機モニタリングでは、Surgut上空のCO2濃度はいずれの高度においても2009年に冬季、夏季ともに比較的低い濃度が観測されて増加率が一時的に鈍化したが、2010年には再び増加に転じている。特に高高度では2010年の夏季の濃度が比較的高かったのでこの年の増加率が高くなっている。Surgut上空のCH4濃度は2009年までは明らかな増加が見られていたが、2010年の濃度増加はほとんど見られなかった。
 成層圏オゾン・有害紫外線モニタリングでは、Stratosphere Troposphere Research Assisting System(STRAS)を運用し、成層圏のポテンシャル渦度と気温の状況を配信した。有害紫外線モニタリングで観測されたUV-Bはいずれの観測局においても7月に極大、1月に極小を持つ明瞭な季節変動を示したが、長期的な増加傾向や減少傾向は有意には観測されていなかった。
 温暖化影響評価のための海洋モニタリングでは、選定した8海域において、定点コドラートの設置を行い、サンゴ分布を記載し水温計の設置を行った。各海域からサンゴを採取して褐虫藻を分離し、褐虫藻の遺伝子型(クレード)を解析した。さらに、モニタリングサイトや成果を活用し、総合的な温暖化影響評価を進めるために、共同研究や研究者ネットワークの構築を開始した。
《期間》 平成23〜平成27年度(2011〜2015年度)
《備考》