
| 《研究課題コ−ド》 1115BA002 |
| 《課題名》 | |
| 植物の広域データ解析によるホットスポット特定とその将来の定量的予測 Hot spot analysis of Asian plant species: its present and future status |
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| 《区分名》 BA 環境-地球推進 S-9 | |
| 《担当者》 | |
| ○竹中明夫(生物・生態系環境研究センター),石濱史子,角谷拓 | |
| 《キ−ワ−ド》 | |
| 植物,ホットスポット,アジア,分布推定モデル,多様性評価指標 plants, hot spot, Asia, predictive distribution model, surrogates of biodiversity |
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| 《目的》 | |
| アジアスケールでの植物の分布データにもとづいて、広域的な分布を高精度で推定する統計モデルを構築する。この分布推定モデルを用いて、人口増加・経済成長に伴う土地利用の変化や温暖化などの環境の変化に関するシナリオの下で、植物の分布の変化を予測する。さらにこの予測から、現在の多様性が高いにも関わらず、将来的にその著しい低下が予測される保全のホットスポットを特定する。ホットスポット評価では、多様性の指標として種数のほか、機能多様性等の複数の指標を比較検討する。また、推定されたホットスポットと現存する保護区の対応とずれを定量化するギャップ分析を実施し、新たな保全施策を講じる際に優先度が高い地域を選ぶ。 本課題においては数千種の植物(とくにマメ科、シダ類)を分析対象とする。そこで、分布推定モデル構築に際しては、多種の情報を統合的に扱えること、景観や生物分布の空間的な構造を考慮した解析を効率よく行えること、の2つの観点から手法の開発を行う。このようなモデルの特質は、既知の生息情報が少ない希少種の分布を他種の情報を利用することなどによって精度よく推定し、さらに、広域スケールで多数の種を対象とする上で極めて重要性が高い。さらに、既知の生息情報の量や精度の違いに起因する分布推定の不確実性を定量化・可視化(地図化)するためのフレームを構築する。このような可視化は保全のための政策決定において有用なツールを提供するものである。 土地利用・開発、温暖化といった人間の活動による環境変化は、地球規模で生物種の存続を脅かす要因となっている。このような環境変化に関していくつかの典型的な社会シナリオをまとめ、それぞれのシナリオの下でアジア地域での植物の分布がどのように変化するかを予測する。社会シナリオは、国際的に広く用いられているものを基盤として活用すると同時に、急速な開発の進展などアジア地域特有の状況を反映させた新たなシナリオを構築する。 なお、上記の分布推定モデルおよび土地利用変化シナリオの手法開発と精度検証は、すでに極めて詳細な分布データの集積が進んでいる日本国内を対象として行う。日本を除くアジアの植物分布や土地利用に関する基盤データは、国内に比べて解像度や種の同定精度が低いことが想定されるため、国内の高精度データを間引いて精度を下げたデータセットを用いてモデルの有用性の検証を行い、その上でアジアスケールの植物分布データに適用する。 |
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| 《内容及び成果》 | |
| 地形、気象、生物気象、土地利用、人口推計など46項目の環境情報を整備した。これらの環境情報を、マメ科Dalbergia属の分布推定に試験的に適用した結果、分布地点の情報が20地点以上ある種については安定して実用的なレベルの精度での分布推定が可能であった。いっぽう、しかし、20地点未満の種については、推定精度が高いものから低いものまでばらつきが大きかった。種多様性などホットスポット推定に重要な指標を精度よく推定するためには、分布推定手法の改善が重要であることが確認された。 群集情報を利用した分布推定の基盤として開発した、分布パターンに基づくグルーピング手法を日本国内維管束植物レッドリスト種の分布データに適用した。あらたに分布パターンを類型化する手法を開発し、メッシュの緯度・経度および太平洋からの距離という主に地理的要因の三次元空間中での分布パターンと、年平均気温、年降水量、最大積雪深、海岸からの距離という環境要因の4次元空間中での分布パターンそれぞれについてクラスタリングを行った。この分布パターンに基づくグルーピングによって得た種グループを用いて分布推定を行った。1種ずつ推定した場合・グループ単位で推定した場合・全種同時に推定従って、全種での推定とグループ単位での推定を組み合わせることで、複数種情報を利用した分布推定の適用範囲が広がることが明らかになった。 |
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| 《期間》 平成23〜平成27年度(2011〜2015年度) | |
| 《備考》 | |