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研究成果(平成23年度)
《研究課題コ−ド》 1115AQ024
《課題名》
環境リスク因子の環境経由による生物への曝露及び影響実態の把握・検証手法の開発
Development of the methodology for elucidation of the actual state on exposure and adverse effects by environmental risk factors in marine organisms
《区分名》 AQ センター調査研究
《担当者》
○堀口敏宏(環境リスク研究センター),児玉圭太,白石不二雄,中島大介
《キ−ワ−ド》
有機スズ化合物,内分泌攪乱,貧酸素水塊,貧酸素誘導因子,繁殖成功率,個体群減少
organotin compounds, endocrine disruption, hypoxia, hypoxia inducible factor (HIF), reproductive success, population decline
《目的》
環境リスク因子のうち、化学的因子として有機スズ化合物を、また物理的因子として貧酸素水塊を対象とする。有機スズ化合物については、それが惹起するアワビ類の雌の卵巣における精子形成と受精能力の低下等を介した繁殖成功率の低下との関係、また個体群減少に対する寄与率を解析する。一方、貧酸素水塊については、貧酸素誘導因子(HIF)が貧酸素水塊への曝露履歴マーカーとして有用であるかを検証し、貧酸素水塊のシャコ個体群減少あるいは増殖阻害因子としての寄与率について解析・評価を行う。これにより具体的方法論を提示し、細胞レベル以下の曝露/影響マーカーと個体レベルの影響、また個体レベルの影響と個体群レベルの影響との間を結ぶ基本概念を提示する。
《内容及び成果》
 東京湾産シャコおよびハタタテヌメリを研究対象種とし、フィールドおよび飼育下における低酸素誘導因子(HIF)のmRNA発現特性を調査した。シャコについてHIF-1α、ハタタテヌメリについてHIF-1αとHIF-2αのcDNA完全塩基配列を得た。貧酸素状態において、シャコHIF-1αは脳、心臓および生殖腺、ハタタテヌメリHIF-1α、HIF-2αは鰓、心臓、腎臓、肝臓、脾臓および生殖腺で強く発現していた。夏季の東京湾で採集した個体のmRNA発現レベルを測定した結果、いずれの遺伝子も貧酸素エリアの方が酸素濃度の高い対照エリアに比べ有意に高く発現していた。室内実験において、いずれの遺伝子も貧酸素曝露後1週間後に有意に発現レベルが上昇し、その後に酸素濃度を上昇させた回復試験では24時間以内に発現レベルが貧酸素曝露前の水準に低下した。以上より、HIFのmRNAが野外で採集された個体の過去の貧酸素曝露履歴を推定するためのバイオマーカーとして有用であることが示された。
 また、福島第一原発事故に由来する放射性核種による沿岸域の汚染と生物影響を調べるための予備調査として、東京湾の底質における放射性核種(γ線核種)の測定を進めている。湾全域の表層泥から放射性セシウムが検出されており、時空間的な経時変化等を追跡する。
《期間》 平成23〜平成27年度(2011〜2015年度)
《備考》
化学物質等の生態リスク評価・管理手法に関する研究