NIES EIC TEST Database
研究成果(平成23年度)
《研究課題コ−ド》 1012CD015
《課題名》
遺伝子発現プロファイルに基づく植物のストレス診断と水稲葉枯症の原因究明
Stress diagnosis of plants based on the gene-expression profile and clarification of causal factors in Suitou-hagare-shou
《区分名》 CD 文科-科研費
《担当者》
○佐治光(企画部),清水英幸,伊藤祥子,佐治章子
《キ−ワ−ド》
水稲葉枯症,ストレス診断,遺伝子発現,酸性霧,長崎県
Rice Dieback (Suitou-hagare-shou), Stress Diagnosis, Gene Expression, Acid Fog, Nagasaki Prefecture
《目的》
長崎県高標高地域の水田で発症する水稲葉枯症の原因究明のための研究を、可視障害の発現、生理活性の変動および植物の遺伝子発現プロファイル解析に基づいて実施し、ストレス診断法の開発を目指す。これまでの研究で原因としての可能性が示唆されている、酸性霧、強光、オゾン等のストレス因子の単独および複合処理による環境制御実験を実施し、その影響解析を行うが、特にイネの遺伝子発現変化をマイクロアレイ法により計測し、我々の有するものを含めた既存データベースと相互比較する。その結果に基づいて、これらの条件下における遺伝子発現プロファイルを類型化し、特徴的な代謝変化やシグナル応答に関わる反応を抽出し、葉枯症の原因究明を試みる。
《内容及び成果》
 環境制御室で育てたイネをpH 3.3の3種類の組成の異なる酸性霧(H2SO4, HNO3, H2SO4+HNO3(2:1))のいずれかで処理したところ、処理開始後2週間目から葉に小白斑状の可視障害が発現し、処理日数の増加に伴いその程度も増加した。一方、酸性霧の溶液組成の違いによる有意差は認められなかった。
 また、環境制御室で同様に育てたイネを酸性霧(pH 3.0/H2SO4)またはほぼ中性の霧(pH 5.6)で処理し、1日または7日後に葉からRNAを抽出し、DNAマイクロアレイを用いて遺伝子発現解析を行った結果、それらの処理によりクロロフィル代謝系の遺伝子発現が抑制される一方、病原抵抗性に関わる転写因子やシグナル物質であるジャスモン酸の合成に関わる酵素群の遺伝子発現が誘導され、その程度は中性霧よりも酸性霧で処理した場合の方が大きいことが分かった。
《期間》 平成22〜平成24年度(2010〜2012年度)
《備考》
共同研究機関:農業生物資源研究所(菊池尚志)