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研究成果(平成23年度)
《研究課題コ−ド》 1112AQ004
《課題名》
阿寒湖マリモの遺伝的多様性と生活史の解明に関する研究
Research on the genetic diversity and life cycle of spherical moss (Aegagropila linnaei)
《区分名》 AQ センター調査研究
《担当者》
○中嶋信美(生物・生態系環境研究センター),西沢徹
《キ−ワ−ド》
マリモ,遺伝的多様性,ITS
Aegagropila linnaei, genetic diversity, ITS
《目的》
阿寒湖のマリモは国の特別天然記念物で、糸状体→球状体→球状体の成長→球状体崩壊を繰り返す生活史を持つと推定されているが証明されていない。阿寒湖にはかつて4ヵ所で大きな球状体マリモが分布していたが、2ヵ所はすでに絶滅した。阿寒湖の球状体マリモの絶滅地を再生するためには、分子マーカーを用いてマリモ個体群の遺伝的多様性を解明した上で、適切な移植個体群を選定する必要がある。本研究ではマリモの個体群識別用分子マーカーを作成し、マリモ個体群の遺伝的多様性の解明と生活史の検証を目標とする。
《内容及び成果》
 本研究では2011年7月25日から26日に阿寒湖内の7か所で、合計70個のマリモの藻塊を採取した。これらの藻塊(集合体)から1本の糸状体の選別を行い、核のITS領域を対象に1本の糸状体に由来するDNAを鋳型とするPCRを行った。PCRによるDNAの増幅が確認できたサンプルを対象に、ダイレクトシークエンス法により当該領域の塩基配列を決定した。その結果、4種類のハプロタイプを確認した。一つはすでに報告されているハプロタイプA1と一致し、残りの3種類は新たなハプロタイプ(A3, A4, A5と命名)であることがわかった。
 過去に報告されたハプロタイプA2は見つからなかった。本研究で認識されたハプロタイプについて、生活史型や採取地点ごとにそれとの対応関係が認められるかを解析した結果、ハプロタイプA1は阿寒湖内全域に様々な生活型を採って分布しているが、シュリコマベツだけはA1よりもA3が優先していることが確認できた。これらの結果は阿寒湖マリモの科学的な保全の基礎データとなる。
《期間》 綛恰
《備考》
本研究は釧路市教育委員会 阿寒湖畔エコミュージアムセンターの協力を得て実施している。