
| 《研究課題コ−ド》 1115AA062 |
| 《課題名》 | |
| 戦略的環境アセスメント技術の開発と自然再生の評価に関する研究 Development of Strategic Environmental Assessment Technologies for Nature Restoration |
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| 《区分名》 | |
| 《担当者》 | |
| ○福島路生(生物・生態系環境研究センター),冨岡典子,村田智吉,野原精一,広木幹也,亀山哲,吉田勝彦 | |
| 《キ−ワ−ド》 | |
| 戦略的環境アセスメント,自然再生,メコン川,生物多様性,生態系機能 strategic environmental assessment, nature restoration, the Mekong River, biological diversity, ecosystem functions |
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| 《目的》 | |
| 日本列島とメコン川流域またその周辺地域はいずれもアジアの代表的な生物多様性ホットスポットとして知られる。本研究では、これらの地域の湿地生態系を対象として広域スケールに対応した戦略的環境アセスメント技術を開発し、それらの技術を用いた河川流域の総合的環境管理に資する研究を行う。 まず重要な湿地生態系を対象に、生物多様性・生態系機能に関する既存情報についてデータベース化を行う。そして上流から中流域にかけての湿地生態系を大きく改変しうるダム開発に着目し、ダム貯水池での底泥における栄養塩等の物質循環機能の定量化、有害藻類発生の機構解明とその予測、有用淡水魚類の回遊生態と食物網構造を解明するための技術開発を行う。また下流域から沿岸域にかけての湿地生態系では、新たな自然再生適地を合理的に抽出するための技術を開発する。これらの技術を駆使して、ダムが及ぼす湿地生態系への潜在的な影響を評価し、その影響緩和を優先的に行う場所の選定や具体的な手法についての提言を行う。同時に、ダム貯水池での淡水魚の養殖事業の効果、また現在行われている沿岸域での自然再生事業の効果を科学的に検証することで、これらの事業の効果の改善、効率化を図る。 |
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| 《内容及び成果》 | |
| ○タイのメコン流域にあるシリントーン貯水池,ウボンラタナ貯水池,およびランパオ貯水池にて底泥と湖水の調査を現地大学(ウボンラチャタニ大学)またタイ水産局と共同で実施した(1月)。同様な調査を比較対象地であるカンボジアの自然湖沼トンレサップ湖でバッタンバン大学と共同で行った(2月)。 底泥サンプルを分析した結果、全体的に底泥のリン含量と微生物活性との間に正の相関があることが分かった。また底泥の粒径組成や鉱物組成、同位体・元素濃度等を測定し、底泥成分の輸送メカニズムや水質形成への寄与率の解明を行うための分析フローチャートを作成した。 シリントーン貯水池からは有害藻類Microcystisは検出されなかったがウボンラタナ貯水池から流出する用水路(Nam Pong)からはそれが検出された。この周辺は市街地および農地が広がっており、周辺土地利用によってアオコ発生のリスクがあることが示唆された。 ○これまでに採集した淡水魚の耳石のうち、メコンの代表的水産有用種であるコイ科回遊魚Siamese mud carp (Henicorhynchus siamensis)の耳石について元素分析をほぼ終了し、いくつかの知見を得た。Siamese mud carpの耳石表面のマグネシウム、ストロンチウム、バリウムの濃度から、個体ごとに採集河川(支流)の判別が高い精度で可能であることが分かった。また誕生時の化学的な環境を反映する耳石核から死亡時のそれを反映する外縁にかけての成長の軌跡から(1)本種が群れで回遊する習性をもつこと、(2)支流を広く回遊するが、本流を経由して他の支流に回遊しないこと、(3)産卵のために生まれた川に母川回帰することなどが示唆された。 ○エビ養殖等で破壊されたベトナムのマングローブ再生候補地を現地調査した。北ベトナム沿岸域を対象に、マングローブ再生事業の支援を目的とし、基盤データベース整備と現地調査、また関係機関とのネットワーク構築を行った。データベースは衛星画像解析等から植林候補地となる人工養殖池を抽出しGISデータとして一元的に整備した。 |
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| 《期間》 平成23〜平成27年度(2011〜2015年度) | |
| 《備考》 | |