
| 《研究課題コ−ド》 1115AA061 |
| 《課題名》 | |
| 流域圏における生態系機能と環境因子の連動関係の定量評価に関する研究 Evaluation on linkage between ecosystem function and environmental factor in river basin |
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| 《区分名》 AA 中核PJ | |
| 《担当者》 | |
| ○林誠二(地域環境研究センター),今井章雄,矢部徹,渡邊未来,越川昌美,岩崎一弘,冨岡典子,高津文人,小松一弘,広木幹也,玉置雅紀,金谷弦,渡邊圭司,川崎伸之,佐藤貴之 | |
| 《キ−ワ−ド》 | |
| 生態系機能,環境因子,生物多様性,窒素飽和,底泥,グリーンタイド ecosystem function, environmental factor, biodiversity , nitrogen saturation, sediment, green tide |
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| 《目的》 | |
| 【研究目的】 生態系機能および関連環境因子の環境因子の定量評価手法を開発し、人為由来の慢性的高負荷環境下にある流域圏の典型的な自然生態系(森林、河川、湖沼、沿岸等)に対する当該手法の適用を主とする戦略的モニタリングの実施により、生態系機能・サービスと環境因子の連動関係を、物質循環、特に窒素や炭素の物質循環を踏まえて、定量評価する。長期および戦略的モニタリング、新規性の高い測定手法、室内実験およびモデル解析を駆使して、生態系機能と環境因子の連動関係を明らかにする。最終的には,同プログラムPJ2と連携しつつ生態系機能の健全性に係る改善シナリオを提言する。 【研究内容】 サブテーマ1:陸域自然生態系における生態系機能と環境因子の連動関係の定量的評価に関する研究 陸域自然生態系(例えば森林域)によって生み出される多様な生態系機能とそれに基づく窒素、炭素を主とする物質循環と、外的環境因子(例えば大気降下物負荷)や内的環境因子(例えば種の多様化)との相互作用や連動関係を明らかとすることを目的とする。具体的には、国内の生態系機能の低下が著しい典型域(首都圏周縁山地や東北大演習林等)を対象に野外調査や室内実験を実施し、安定同位体等最新の計測・分析手法を開発・適用することで機能の定量化を図る。 サブテーマ2:湖沼における物質循環および生態系機能と環境因子の連動関係の定量的評価に関する研究 湖沼・河川における物質循環と微生物生態系の関係を把握することによって、湖沼における生態系機能の定量的な評価を目指す。湖沼では湖水柱と底泥における生元素(炭素、窒素、リン、鉄、イオウ等)の挙動・循環と微生物生態系(バクテリア、プランクトン等)の連動関係・相互作用を解析する。長期モニタリング、新規性の高い測定手法、湖沼モデル解析等を駆使して、湖沼における生態系機能と環境因子の連動関係を明らかにする。 サブテーマ3:沿岸域における生態系機能と環境因子の連動関係の定量評価に関する研究 干潟や塩湿地等沿岸域における環境因子である種多様性や流入負荷の変化が生態系機能へ及ぼす影響を、栄養塩や金属の物質収支および安定同位体比を用いた食物連鎖解析を通じて評価する。また、環境因子である流入負荷の変化と、優占種の変化や侵入種の増殖といった種多様性にみられる変化との連動関係を解析する。複数の場で環境因子と生態系機能の比較を行い、沿岸域と流域圏の相互作用に関する評価を行う。 【到達目標】 サブテーマ1:(1)人工林荒廃と窒素飽和現象の関連性を解明し、適正な人工林管理施策の推進に貢献する。(2)環境因子と生態系機能との連動関係を解明して、落葉樹混交の種多様性回復が窒素貯留能に与える影響を評価し、窒素飽和改善シナリオ構築に貢献する。 サブテーマ2:(3)長期モニタリング、新規測定手法、モデル解析等により、湖沼における水柱と底泥での物質循環と微生物活動の連動関係、環境因子と生態系機能の連動関係を定量的に評価する。(4)研究成果に基づいて、湖沼環境の具体的な改善シナリオ作成に貢献する。 サブテーマ3:(5)沿岸域における一次生産者の変化や侵入種による優占現象が、生物相、水-生物-底質間の物質収支や食物連鎖などの生態系機能へ及ぼす影響を定量的に評価する。(6)流域負荷と生物種多様性の関係を探索し、生態系機能の健全性を評価する。 |
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| 《内容及び成果》 | |
| 人為由来の慢性的高負荷環境条件をキーワードに、流域圏の典型的な自然生態系ユニットである、森林域、湖沼、沿岸域それぞれの生態系機能の定量評価、特に慢性的高負荷による影響(窒素飽和、富栄養化・難分解性有機物増加、グリーンタイド)の実態把握とメカニズムの解明を目的に、長期的なモニタリングと新規測定手法開発を開始した。 サブテーマ1:軽度の大気汚染環境下にある、異なる間伐強度で管理されているスギ人工林試験区を対象に物質動態モニタリングを開始した。現段階までの成果として、間伐強度が土壌中の窒素動態に強く影響することが明らかになりつつある。具体的には、林分が過密状態にある無間伐区に比べ、強度間伐により誘引され発達した下層植生(広葉樹の低木と草本類)を有する人工林生態系では、植物−土壌における窒素貯留機能が高められていた。その要因として、下層植生の吸収作用と土壌集積有機物(下層植生やスギのリター)の質的変化(特にC/N比)による土壌微生物の窒素資化作用への影響が示唆された。 サブテーマ2:放射性同位体を使用しない藻類1次生産量をリアルタイムで測定できるアクティブ蛍光法(FRRF法)を採用して、湖沼での藻類1次生産量を測定した。アオコが大発生した地点で1次生産が低いことがわかった。霞ヶ浦底泥の微生物多様性をクローンライブラリー法により解析した。いずれの試料でも深さ4-6cmで亜硝酸酸化細菌のNitrospira属細菌が優占していた。凍結保存サンプル等を使って、アオコを形成する藍藻ミクロキスティスの動態を特異的プライマー法によって明らかにした。2004年以降、数密度は急上昇した。底泥間隙水中の糖類組成と動態を評価した。2005年秋-2006年春、2cm以深で糖類濃度が激増したが、2007年夏には急激に減少した。湖水柱での藍藻と底泥中の糖類の動態に関連性が示唆された。 サブテーマ3:かつては一連の前浜干潟であり、現在でも底質の鉱物組成や供給される海水組成がほぼ等しい千葉県の谷津干潟と三番瀬干潟を研究対象とし、アオサ類によるグリーンタイドの発生が生態系機能へ及ぼす影響の定量的評価を目標として研究を開始した。特に目視では困難とされるアオサ類の種組成とそれに伴う生物季節性(フェノロジー)に留意して、これまでに採集した生物種の同定と定量を行っている。その結果、両干潟におけるグリーンタイドの発生期間と発生量が大きく異なったこと、アオサ類や生息する他の生物の種構成も大きく異なることが確認された。一方、底質環境については、間隙水中の栄養塩濃度等に両干潟間の差が確認されただけでなく、グリーンタイドが衰退および繁茂する時期に大きく変動する項目も複数確認され、グリーンタイドの底質環境への影響が示唆された。 |
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| 《期間》 平成23〜平成27年度(2011〜2015年度) | |
| 《備考》 | |