
| 《研究課題コ−ド》 1115AA042 |
| 《課題名》 | |
| 広域人為インパクトによる東シナ海・日本近海の生態系変調の解明 Analyses of the impact of the anthropogenic pollution on the ecosystem of the East China Sea and the sea around Japan |
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| 《区分名》 | |
| 《担当者》 | |
| ○越川海(地域環境研究センター),水落元之,王勤学,岡寺智大,牧秀明,東博紀 | |
| 《キ−ワ−ド》 | |
| 東シナ海,長江,人為起源汚濁負荷,生態系 East China Sea, Changjiang River, Anthropogenic Pollutants Loading, Ecosystem |
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| 《目的》 | |
| 東アジア陸域起源の汚濁負荷増大が東シナ海陸棚域における赤潮発生等の広域海洋環境劣化を引き起こしていることが懸念される。本プロジェクトでは、東シナ海や日本近海の環境保全、あるいは中国国内の汚濁負荷削減施策の推進に資することを目的として、長江流域圏の汚濁負荷推計、海域への汚濁輸送と海洋生態系への影響機構の把握、陸域起源汚濁負荷が及ぼす海洋環境への影響評価のための数理モデルの開発を行う。特に、陸域汚濁負荷推計では、土地利用や環境政策の変化に応じて予測可能な手法の確立と将来の陸域負荷削減シナリオを提示し、海洋生態系モデルとの連携により、陸域・海域の統合的広域環境管理オプションの定量的な評価を目指す。 | |
| 《内容及び成果》 | |
| 陸域汚濁負荷推計では、水需要インベントリモデルを用いた長江デルタ地域の社会経済活動による排水中の窒素・リンの排出インベントリ作成、ならびに土地利用と汚濁負荷量の関係解析のための流域圏水・物質循環評価モデルの長江全流域への適用に着手した。インベントリ解析では長江デルタの2000年の年間排出量が250万t-Nおよび32万t-Pと推計された。流域圏水・物質循環評価モデルによる解析では、水質評価値の精度向上を図るため中国科学院との共同で長江下流の大通水文観測点における水質観測体制を構築した。現時点での試算では、長江デルタ域の汚濁発生量が水物質循環モデルによる長江・大通の流量と既往水質データから推定される汚濁通過量に匹敵する結果となり、デルタ域の汚濁負荷が海域環境に及ぼす影響は無視できないことが示された。また長江デルタ域から発生する窒素・リンのうち約80%が太湖流域由来であることが示され、将来の長江流域・デルタの負荷削減シナリオを検討するための基盤情報の整理として、太湖流域の過去から現在までの水質保全計画の比較解析を行った。2008年開始の太湖流域水環境総合治理総体方案では、従来からの工業排水・生活排水の規制強化と監督の重点化、各対策項目に対して経済施策である産業構造調整との関連づけが行われており、今後の汚濁負荷削減シナリオ・排出量を検討する上で重要な点と考えられた。 東シナ海海洋生態系への影響機構の把握では、東シナ海生態系の劣化指標として着目している渦鞭毛藻の生残動態・環境条件の解明を目的として、海洋観測により栄養塩・乱流構造が植物プランクトンの鉛直分布に及ぼす影響の観測や大型施設・海洋マイクロコズムによる培養実験を行った。その結果、東シナ海陸棚海域の躍層水深の渦鞭毛藻への栄養塩供給や日周鉛直移動特性が示された。また東シナ海の流動・水質・底質・低次水界生態系モデル高度化のための再現計算を試み、陸棚への栄養塩供給源としての台湾暖流の寄与、季節特性を解析した。その結果、初夏の季節風の卓越による台湾暖流から陸棚への栄養塩供給や長江希釈水との混合による栄養塩環境の質の変化が、陸棚域植物プランクトンのうち渦鞭毛藻の出現に影響を及ぼしていることが示された。 |
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| 《期間》 平成23〜平成27年度(2011〜2015年度) | |
| 《備考》 | |