AhR
アリルハイドロカーボンレセプター、細胞内でダイオキシン類と結合する受容体(レセプター)。ダイオキシン類の多くの作用は、このAhRを介して発現すると考えられています。
BIAC(The Business and Industry Advisory Committee to the OECD)
経済産業諮問委員会 The Business and Industry Advisory Committee to the OECD
BMR(benchmark response)
ベンチマーク応答という影響発生の一定の応答レベルを表す。毒性の種類や用量反応関係のタイプにより、5 % や1 % の値を用いる場合もある。
CALUX
Chemical Activated LUciferase gene eXpression 化学活性化ルシフェラーゼ遺伝子発現の略。CALUXアッセイは、ダイオキシンの作用により活性化されたルシフェラーゼ遺伝子の発現量を測定することで、微量のダイオキシンを定量する、公定法として認可されたダイオキシン類の簡易測定法である。
CCL3(CC chemokines ligand 3)
マクロファージ炎症蛋白―1アルファ。マクロファージの炎症部位への遊走をうながす因子の一つである。
cDHA
相補的DNA(そうほてきDNA、complementary DNA)は、mRNA から逆転写酵素を用いた逆転写反応によって合成された DNA。一般には「相補的」を意味する英語、complementary の頭文字をとって、cDNA と省略される。
CEHAPE(Children's Environment and Health Action Plan for Europe)
「欧州子供の健康と環境行動計画」
2004年6月ハンガリーのブタペストで開催された、世界保健機構(WHO)の環境と健康に関する閣僚会議(ブタペスト会議)において、安全な水や衛生サービスの提供、事故や傷害の防止、大気汚染による呼吸器疾病の防止と削減といった子供の健康に関連する問題について、目標を含む欧州子供の健康と環境行動計画(CEHAPE)が採択された。化学物質のような環境的に有害な因子に曝露することにより生じる疾病の削減についても検討された。
computational chemistry
計算化学。化学の問題を計算によって取扱う化学の一分野。
COP4
2009年5月、ジュネーブで開かれた “残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約” の第4回締約国会議。この会議で新たにPFOSや臭素系難燃剤など9種の残留性有機汚染化学物質が追加された。
DDT(dichlorodiphenyltrichloroethane)
強力な殺虫力を有する有機塩素系の化合物。難分解性、高蓄積性という性質があるため、かつて農薬として使用されたことによって米・小麦・果実などに残留し、人間の母乳及び牛乳からもDDTが検出されました。DDTは「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」の第一種特定化学物質に指定され、原則的に製造・輸入が禁止されています。
DES(Diethylstilbestrol)
ジエチルスチルベストロール。流産の防止のためにつくられた合成女性ホルモンであるが、副作用がみられたために現在は使用禁止になっている。
ECHA(European Chemicals Agency)
欧州化学物質庁 (HPアドレス http://echa.europa.eu/ )
EUのREACH規制における技術的・科学的・行政的事項を管轄する機関。
Eco-regionアプローチ
EU諸国で実施している生態系影響評価法。生物地理学的に設定した生態系区分(Eco-region)で、人為的かく乱の無い場合の生物群集と現実の生物群集を比較してかく乱の程度を把握する手法である。ニッケルの毒性値が水質により異なることから、生態系区分ごとに設定されている水質基準値(pH、水の硬度、塩類濃度など)に従って毒性値を補正した。
ES(胚性幹)細胞
動物の発生初期の細胞から作られる細胞で、すべての組織に分化する分化多能性を保ち、無限に増殖させる事ができる。iPS(人工多能性幹)細胞は、遺伝子工学技術により人工的に作られた多能性細胞である。両者とも再生医療や安全性評価への応用が期待されている。
GFAP(Glial Fibrillary Acidic Protein)
グリア線維性酸性タンパク質。アストログリア細胞に特異的に発現し、神経疾患で増加する蛋白質である。
GHS(Globally Harmonized System)
「国連・化学品分類表示に関する世界調和システム」
化学品の危険有害性ごとの各国の分類基準及びラベルや安全データシートの内容を調和させ、世界的に統一したルールとして提供するもの。2003年7月に国際連合から勧告がなされ、日本を含め各国はこれを受けて、今後、化学品の分類や表示を適切に行っていくよう努力することが求められている。
HLA
ヒト白血球抗原(Human Lukocyte Antigen)がヒトMHC(主要組織適合抗原遺伝子複合体)を示すHLAと同意に用いられている。
HPVC(High Production Volume Chemicals)
高生産量化学物質(High Production Volume Chemicals)で、加盟国が年1000トン以上を生産している物質と指定したもの。
H-2(histocompatibility-2)
histocompatibility-2の略で、マウスにおけるMHC(主要組織適合抗原遺伝子複合体)と同意である。
Iba1(ionized calcium binding adaptor molecule 1)
ミクログリア特異的カルシウム結合たんぱく質1。神経の栄養や保護作用を有するミクログリア細胞に特異的に発現している蛋白質である。
ICCM(International Conference on Chemicals Management)
「国際化学物質管理会議」
SAICMの実施状況をフォローアップのため、国際化学物質管理会議が2009年(第2回)、2012年(第3回)、2015年(第4回)、2020年(第5回)に開催される。
IgE反応
免疫グロブリンE(IgE)はヒト免疫グロブリンの0.001%以下と極微量である。寄生虫に対する免疫反応に関与していると考えられるが、寄生虫の稀な先進国においては、特に気管支喘息やアレルギーの増悪因子と考えられている。寄生虫感染のない場合にIgE抗体が体内で蓄積され、一定量を超えるとアレルギー症状を引き起こす可能性がある。
IgG1反応
IgGはヒト免疫グロブリンの70-75%を占め、血漿中に最も多い抗体である。そして、ウイルス、細菌、真菌など様々な種類の病原体と結合し、補体、オプソニンによる食作用、毒素の中和などによって生体を守っている。IgGサブクラスの一つであるIgG1の反応は、Th2型の免疫応答によって誘導される。
IMO(International Maritime Organaization)
国際海事機関。国際連合は、1948年3月国際連合海事会議をジュネーブで開催し、IMCO(
Inter-governmental Maritime Consultative Organization:政府間海事協議機関)の設立及び活動に関するIMCO条約を採択。1958年3月発効。 その後、1975年11月に機関の活動内容の拡大及び加盟国の増加に伴う機関の名称変更等の必要性に鑑み、 IMCO条約の改正が採択され、1982年5月に同改正が発効したことにより、IMCOはIMOに改称された。国際貿易に従事する海運に影響のあるすべての種類の技術的事項に関する政府の規則及び慣行について、政府間の協力のための機構となり、政府による差別的措置及び不必要な制限の除去を奨励し、海上の安全、能率的な船舶の運航、海洋汚染の防止に関し最も有効な措置の勧告等を行うことを目的としている。
http://www.imo.org/ (<IMO HP )
http://www.mlit.go.jp/kaiji/imo/imo_.html (<国土交通省 HP )
in vitro, in vivo
in vitro : 組織や細胞を用いた試験。 in vivo : 実験動物などの生体での反応を検出する試験。
ISO(International Organization for Standardization)
国際標準化機構。電気分野を除くあらゆる分野において、国際的に通用させる規格や標準類を制定するための国際機関として1947年に発足。略称が英文名称の頭文字語「IOS」ではなく「ISO」になっているのは、ギリシャ語で「平等」を意味する「isos」という言葉が起源のため。
IUCLID(International Uniform ChemicaL Information Database)
International Uniform ChemicaL Information Database の略でECHAが作成している化学物質の諸データを管理するデータベースソフトウエアで、第5版が公開され利用できる。
IUCN
(International Union for Conservation of Nature and Natural Resources)
log Pow
オクタノール/水分配係数 1-オクタノールと水の二層に分配している化学物質の割合を表す係数。値が大きいほどオクタノールに分配する割合が多く、油脂に溶けやすいことを示します。
MERAG(Metals Environmental Risk Assessment Guidance)プロジェクト
OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development)
経済協力開発機構。先進国間の自由な意見交換・情報交換を通じて、1)経済成長、2)貿易自由化、3)途上国支援(これを「OECDの三大目的」といいます)に貢献することを目的としています。現在の加盟国は30ヶ国。
http://www.oecd.org/ (<OECD HP )
PBDE
ポリ臭素化ジフェニールエーテル(polybrominated diphenyl ether)の略。難燃剤として電気製品、建材、繊維に用いられる。高脂溶性、生物蓄積性があって、生物濃縮される。異性体組成によりテトラ・ペンタ・オクタ・デカ製剤がある。臭素系難燃剤(BFR)に比べると毒性は低いとされる。化学構造的にPCBやダイオキシンと類似した構造を有し、甲状腺ホルモン代謝や精子形成への毒性があるとされる。
PCB(polychlorinated biphenyl)
ポリ塩化ビフェニル。ポリ塩化ビフェニル化合物の総称。その分子に保有する塩素の数やその位置の違いにより、209種類の異性体が存在する。異性体の中でも特に、コプラナーPCBと呼ばれる平面構造をとるものは、毒性が極めて高く、ダイオキシン類にも分類されています。
絶縁性・不燃性・安全性に優れていることから、PCB:
polychlorinated biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)が、トランス・コンデンサなどの機器の絶縁油等などに幅広く利用されていました。環境中で難分解性であり、生物に蓄積しやすくかつ慢性毒性がある物質であることが明らかになり、1974年に化学物質審査規制法に基づく特定化学物質(現在では第一種特定化学物質)に指定され、製造及び輸入が原則禁止されました。また、PCBの保管・処分等に必要な規制を目的とした「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」が2006年6月に制定されました。
(
<環境省パンフレット「ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物の適正な処理に向けて」)
PEC(Predicted Environmental Concentration)
環境中において予測される化学物質の濃度。生態リスク評価においては、一般にPECの値が化学物質の曝露の強さの指標として用いられる。
PFOS
パーフルオロオクタンスルホン酸(perfluorooctane sulfonate) の略。半導体、医療機器、コーテイング剤、界面活性剤、特に撥水剤として衣類、紙の防水剤、建材など用途が広く大量に生産されている。化学的に非常に安定で、環境中で分解されにくいため生体蓄積性が高い。近年、野生動物、魚類、ヒト血清中、環境中に世界規模で存在することが明らかにされ、新しい環境汚染物質として国際的に注目されている。動物実験で発育毒性、甲状腺ホルモン代謝のかく乱作用をもたらす。毒性発現には活性酸素が関与しているとの報告があり、汚染源の特定を含め毒性発現メカニズムに関して今後の研究発展が待たれる。
PM2.5
粒径2.5μmより小さい粒子と粒径2.5μmを質量比で50%含まれるように捕集される大気中粒子のことを指す。PM2.5の環境基準は、1年平均値が15 μg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35 μg/m3以下であること。
PNEC(Predicted No Effect Concentration)
毒性影響が起こらないと予測される環境中の化学物質濃度。生態リスク評価においては、一般にPNECの値が化学物質の毒性の強さの指標として用いられる。
POPs
残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants)の略。自然界では分解し難く、高蓄積性、越境移動性、生物毒性が高い有機化学物質をさす。
ppm
parts per million(パーツ・パー・ミリオン)の略号。濃度を表すために用いられる単位であり、100万分のいくらであるかという割合を示す。1 ppmは0.0001%に相当する。
ppt
part per trillionの略。1兆分のいくらかを表す単位で主に濃度を示す(ng/L;ナノグラム/リットル)。
REACH
(Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals)
「欧州・新化学品規制」
2006年12月採択。2007年6月1日より段階的に施行開始された、化学物質の登録、評価、認可及び制限に関する規制。EU化学品産業の競争力を高めつつ、化学品のリスクから人の健康や環境の保護を改善することを目指す。
Risk Characterization
リスク評価の1つのステップで、有害性を曝露可能性から判断してどのような内容のリスクがあるか特定するもの。通常は予測無影響濃度よりも予測曝露濃度が高い場合、リスクありと判断する。
今回のこの節を削除したのはSIAMの目的は、有害性評価と曝露可能性評価に限定したものであるためであった。
SAICM(Strategic Approach to International Chemicals Management)
「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ」
2006年2月に国際化学物質管理会議(ICCM、ドバイ)で採択。
1990年代中頃からの、化学物質によるリスクを削減するための手法の必要性や、化学物質に関する国際的な活動をより調和のとれ効率のよいものとすべきとする議論等を踏まえ、2002年のUNEP管理理事会において、国際的な化学物質のための戦略的アプローチ(SAICM)が必要であることが決議された。 2002年のヨハネスブルグサミット(WSSD)で定められた実施計画において、2020年までに化学物質の製造と使用による人の健康と環境への悪影響の最小化を目標とすることとされ、この目標達成に向けた各国及び国際的な取組を推進するための行動の一つとして、SAICMを2005年末までにとりまとめることとされた。その後3回にわたる準備会合、地域別会合等を経て、2006年2月、国際化学物質管理会議(ICCM)においてSAICMが採択された。
SDN-POA
Sexually dimorphic nucleus of the preoptic areaの略称、ほ乳類の性的二型核として初めて発見された。
sentinel
歩哨の意。
SETAC(Society of Environmental Toxicology and Chemistry)
SIDS(Screening Information Data Set)
Screening Information Data Set の略で、初期リスク評価に必要な最小限の情報(SIDS Endpoint)
SPME(Solid Phase Microextraction)
マイクロ固相抽出。トルエン吸着量はSPME用シリンジ1本に吸着した量で表示。
Targeted Assessments
化学物質の人の健康および生態系への影響の内、特に関心の高い限定した項目に着目して効率的に評価する手法。
ToxCastTM Program
アメリカ環境保護庁(EPA)による、環境中化学物質の毒性を予測し、さらなる毒性を検討するための優先順位をつける手法開発のプログラム。化学物質から人間や環境を守るための基準となる情報をより効果的に得るために、毒性試験を優先度に応じて3つのフェーズに分けている。フェーズ1では、高性能コンピュータを用いた高速処理のバイオアッセイ(生物を用いた毒性評価法)により試験が行われ、化合物の化学特性を既知の有毒物質のデータと比較することで有害性を予測する。フェーズ1は2008年中にとりまとめられ公開される予定。(フェーズ1として、有毒とみなされる340種類の化学物質が発表された。)フェーズ 2では、より大規模で多様な化合物の集合を扱い、フェーズ1で定義された予測される毒性パターンを検証する。フェーズ3では、数千もの環境中化学物質に対象を広げ、それらの毒性を瞬時に試験することで、科学的知見に基づく意思決定が可能になる。
http://www.epa.gov/ncct/toxcast/ (<EPA HP )
UNCED(United Nations Conference on Environment and Development)
「環境と開発に関する国際連合会議」
1992年6月にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された、環境と開発に関する国際会議。一般には地球サミットともいう。(10年後に開かれた「持続可能な開発に関する世界首脳会議」も、併せて「地球サミット」と呼ばれる。)この会議には約180か国が参加し、100か国余の元首、首脳が自ら出席するなど、史上かつてないほどハイレベルかつ大規模な会議となった。この会議では「気候変動枠組条約」と「生物多様性条約」の署名が開始されるとともに、「環境と開発に関するリオデジャネイロ宣言」(リオ宣言)、「アジェンダ21」及び「森林原則声明」などの文書も合意された。
UNEP
WSSD(World Summit on Sustainable Development)
「持続可能な開発に関する世界首脳会議」
持続可能な開発の分野における国際的取組の行動計画として「アジェンダ21」が採択された1992年の国連環境開発会議(地球サミット・リオデジャネイロにて開催)から10年目を迎え、同計画の実施促進や新たに生じた課題等について議論することを目的に、2002年8月・9月にヨハネスブルグ(南アフリカ)で開催された会議。会議の成果として持続可能な開発を進めるための各国の指針となる包括的文書である「実施計画」、首脳の持続可能な開発に向けた政治的意志を示す「持続可能な開発に関するヨハネスブルグ宣言」が採択された。