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平成24年4月
環境リスク研究分野では、人の健康や生態系への有害な影響が生じるプロセスを環境リスクの観点から体系的に評価できる手法を見いだし、人の健康と生態系に及ぼす悪影響の未然防止に貢献していくことを目指しています。化学物質は、私たちの生活に欠かせないものですが、その中には人や環境への影響が懸念されるものもあります。化学物質の利便性を確保し、安全で安心できる社会を実現するためには、化学物質のリスクを科学的に評価し、情報・知識を共有することが重要です。第三期中期計画期間では、当面のターゲットとする環境リスク要因を化学物質に定め、多様な化学物質をライフサイクルを通じて包括的に管理するために必要なリスク評価手法の開発とデータの整備に関する研究を行います。農薬を含めた多様な化学物質の環境リスクを評価するために、排出量推定と数理モデル、及び、網羅的な分析や生物応答試験法等による曝露評価手法の開発・高度化を進めます。データギャップを補完する構造活性相関による化学物質の毒性予測手法や、有害性の作用機序に基づいて複合的曝露によるリスクを評価する手法の開発など、多数の化学物質の包括的な管理への活用を目指した研究を進めます。また、化学物質リスクの研究基盤として、生態影響試験に関する標準機関の機能と化学物質データベース等の整備・更新を進めます。さらに、震災・復興過程における環境リスクの把握、及び、化学物質のリスク評価等の政策支援を的確に実施します。
「化学物質管理イノベーションプログラム」では、粒子状物質や内分泌かく乱物質など従来は影響評価が困難であった物質の人と環境への有害性評価手法を確立するため、必要な試験装置や手法の整備と開発を行います。粒子状物質については、その性状と標的臓器・細胞における分布・毒性との関連を明らかにするためのメカニズム研究を重点的に実施します。試験生物への毒性影響と生態影響との関連性を理論的解析により明確化し、内分泌かく乱作用などを統一的に評価し、生態系保全に活用できる新たな方法論の構築を進めます。さらに、高度化した多媒体モデルによる曝露評価と連携し、化学物質の空間分布、時間変動を考慮した生態リスクの評価手法を開発します。社会における化学物質のリスク管理のあり方に関する研究、及び、排出削減のコストとリスク評価における不確実性を考慮に入れた最適管理法の理論的研究を実施します。

独立行政法人化にあたって政策対応型調査・研究センターとして設置された化学物質環境リスク研究センターは、第2期では侵入生物や生物多様性に対するリスクを研究分野に加え、環境リスク研究センターとして発展的に拡大し、研究を進めて参りました。第3期は、再び、化学物質の生態リスクと健康リスクを主要な研究分野として、基礎研究から課題対応型研究やこれに関連する事業を一体的に実施することになりました。
化学物質のリスク評価手法の研究と必要な基盤整備とともに、「化学物質評価・管理イノベーション研究プログラム」を統合的に推進することにより、リスク管理施策を科学的側面から支える研究組織としての機能の一層の強化を図ります。
また、国際機関、関連団体等との連携を積極的に進め、中核的研究機関としての機能をさらに強化していきたいと考えています。今期も従来に増して、ご指導のほどお願い申し上げます。
平成23年4月1日
環境リスク研究センター長
白石 寛明






































