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肺胞マクロファージは、白血球の一種である単球由来の免疫担当細胞であり、吸入に伴い肺胞上皮に沈着した粒子状物質を貧食(■注1)することにより、肺胞表面をきれいに保つための重要な役割を果たしています。肺胞マクロファージの機能が低下すると、肺における細菌等の除去効力も低下し感染しやすくなってしまうことが知られており、大気中粒子状物質やたばこ煙のみならず、微生物の呼吸器内侵入に関しても肺胞マクロファージは第一線の呼吸器防御機能の役割を担っています。
では、肺胞マクロファージはどのようにして、肺胞に沈着した粒子状物質を異物として認識するのでしょうか。マクロファージの細胞膜表面には抗体や補体に対するレセプター(■注2)(FcレセプターやC3biレセプター)が存在しています。しかし、通常レセプターに結合しうる物質は蛋白質などの生体物質であり、ディーゼル排気粒子、タバコの粒子、シリカ/アスベストなどの非生物系の無機・有機物質に対するレセプターがマクロファージの細胞表面に発現しているとは考えにくい状況がありました。しかし、マクロファージ細胞膜表面のレセプターのノックアウトマウス(■注3)を用いた研究により、上記粒子状物質などに非特異的な接着に関与するレセプターが存在しており、それがMacrophage Receptor with Collageneous Structure(MARCO)であることが証明され注目を集めています。 PJ3(環境リスク研究プログラム:中核研究プロジェクト3(<環境リスク研究センターHP:PJ3))では、このMARCOと呼ばれるレセプターを遺伝子クローニングした後、ほ乳類細胞に強制的に発現させ、粒子状物質の中でも粒径がナノサイズであるいわゆるナノ粒子や、カーボンナノチューブ(■注4)が細胞内に取り込まれる機構に関して研究を進めています。
写真1:原子間力顕微鏡による
MARCO発現細胞表面の
ナノ粒子の検出(■*1)
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これまでの研究では、ポリスチレンナノ粒子や繊維系がナノサイズであるカーボンナノチューブも細胞膜上のMARCOを介して認識され、細胞内に取り込まれていることを確認しています。写真1は、原子間力顕微鏡(■注5)を用いて細胞表面にナノ粒子が取り込まれる様子を観察したものです。 いくつかの粒子が集まって細胞表面に存在している様子が分かります。ナノ粒子は重量当たりの表面積の割合が、これまで扱ってきたミクロンサイズの粒子よりはるかに大きく、粒子同士が接着して凝集するために、ナノサイズの粒子も実質的にはそれより大きな粒子として細胞に認識されている可能性があります。ナノ粒子がそのように体内に取り込まれどのような影響を与える可能性があるのかこれからも研究を進めてゆく必要があります。
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