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 「未来イシュー」と「未来の兆し変化(社会変化仮説)」を掛け合わせた強制発想(インパクトダイナミクス)から、ある程度まとまったアイディアをストーリーとして記述しました。ワークショップ後、国立環境研究所・博報堂メンバーで、これらのアイディア案の細部について議論・検討し、有識者の意見も踏まえてストーリーの加筆・修正を行ったものが以下の4つのシナリオです。これらのシナリオは、将来こうなるだろうといった予言や、目標とすべき性質のものではなく、未来洞察という手法から客観的に想定された「ありうる未来」を描写しています。

1.健康優先社会へ

 現在、日本では少子・高齢化が進展しており、医療・年金制度などの社会保障制度が行き詰まることが懸念されています。このような社会動向のなかで、2030年には、健康であることが新しいステイタスとなっていきます。個人の心身の健康状態や身体活動量を数値化した「健康ID」という指標が日常のさまざまなところで活用されるようになっており、個人が自分の健康を管理しやすくなっています。通勤時間でのウォーキングをアシストする「駅前スマート」のようなツールや毎日使うとより健康になれる「健康家電」が開発され、より楽しく効率的に健康管理ができるようになります。その結果、未来の表現でいう「ワーク・ヘルス・バランス」(仕事と健康のバランス)がよい企業に就職したり、市町村も競って住民の健康ID値を高める取組みを行うようになり、より健康ID値の高い地域や職場を求めて人々が移動したりするようになります。また、働く人の健康に配慮した企業の業績が伸びるなどの社会変化がみられるようになっています。個人としても地域としても、健康であることで健康保険の保険料が削減されたり、将来受け取る年金が増えたりするようになっていることもそのような動向に拍車をかけています。

健康シナリオ

2.もう一度輝けるアンチエイジングタウン

 2030年の都市近郊部では、心身をケアし健康を保つことを目的にした『アンチエイジングタウン』と呼ばれるまちづくりが行われるようになっています。まちの中心には医療施設や健康関連アミューズメントパークが宿泊施設などと近接して整備されています。ちょっとした運動や気分転換のため、あるいは美容のためのサービスが全ての年代に用意されていて、療養や介護が必要な人々が移り住んだり、都心部の働き手が疲れた心と体を癒しに訪れるようになっています。日本の様々な健康情報は海外でも有名であり、それらの体験のために海外からの来訪者も増えています。アンチエイジングタウンでの様々な活動のお手伝いをすると、地元の野菜をもらえたり、物産品を割安で購入できるポイントがつくなど、安価に生活ができ、かつ心も満たされるので魅力的です。都市部で仕事に就けない若者が働き場所・居場所を見つけ、町興しにもなっています。地元の食料やエネルギーの自給率を高める活動も盛んです。

アンチエイジングタウン

3.つながる地域は一つじゃない

 2030年には、「したいこと」を伝え合うアプリや社会の仕組みが開発され、たくさんの人々に使われるようになっています。「○○したい/できる」、「○○して欲しい」といった未来の願望に関する情報が交換され、個人どうしで何かを一緒にすることが簡単になっています。「たまにしたいだけ」という場合でも「したいこと」の仲間の輪に入ることが簡単ですし、大切と思える活動を見つけて寄付をすることも簡単です。これまでつながらなかった人々がつながり、いろいろな活動が広がっています。地域内の「したいこと」情報も把握できるようになり、ニーズにマッチしたボランティア活動が増え、また、議員さんや役所の方々もそのような情報を活かすようになりました。地域を超えたつながりも増え、まちづくりにおける地域外のサポーターが増えています。複数の地域に住民登録することもできるようになり、二拠点生活を楽しむ人や第二の故郷を見つける人が増えています。このような社会では、「したいこと」に応えるノウハウやスキルを持った人々が活かされています。

つながるシナリオ

4.バイザーコムで拡がるコミュニケーション

 2030年には、メガネ型の拡張コミュニケーションツールであるバイザーコムをプライベートや職場等で使いこなす人々が現れる社会が実現しています。バイザーコムには外国人との言葉の壁を突破する自動翻訳技術が登載され、外国人とのコミュニケーションで不自由は感じなくなっています。また、画像や音声の情報を簡単に引き出して話し相手と共有することもできるようになっており、会話の幅が拡がっています。辞書を調べることも簡単にできますし、ニュースを確認することもできます。忘れないようにバイザーコムに買い物リストを覚えてもらったりすることもできます。また、リアルタイムのその場その場の情報を教えてくれることもでき、例えば、近くに車が通るときは、ぶつからないように注意してくれます。バイザーコムは音声や視線で操作することができますが、今のパソコンのようにキーボードで入力するようなこともでき、さらに、キーボードがなくても指の動きを感知して入力することもできます。

Visor-comシナリオ