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Q&A
川や海をめぐる環境へもどる
ジャンルキャラクター Q1)合成洗剤と石けんは、どちらが環境によいのですか?
 海の水は1日に2回ほど、満ちたり引いたりします。潮が引いたときに現れて、潮が満ちてくると海面におおわれてしまうような場所で、浅くなだらかな、そして砂や泥でできている所を干潟と呼(よ)びます。皆さんが潮干狩(しおひが)りを楽しむ場所でもあります。干潟やその周りには海藻(かいそう)やアマモなどが生い茂っている場所があり、この場所は藻場(もば)と呼ばれています。干潟や藻場は、昔は、日本の各地にありました。しかし、日本の国が発展するにつれて、港を造(つく)ったり、発電所(はつでんしょ)や工場を建設するためにうめ立てられることで、多くの干潟や藻場が失われました。今までは、干潟の役割があまり理解されてこなかったため、干潟をうめて新たな土地を造り出す方が重要だと考えられてきました。ところが、最近では、多くの研究者や市民の人々が、干潟や藻場の様々な役割を見いだしたことから、環境(かんきょう)を考える上での干潟や藻場の価値(かち)について、国や県も見直し始めています。

 干潟では、潮の満ち引きにともない、海水が移動(いどう)します。すると、海水といっしょに、いろいろな物質(ぶっしつ)が移動します。特に、干潟では、生き物にとって必要な酸素が、海水の中や、海底の砂や泥の中に十分に供給(きょうきゅう)されます。これらのことから、干潟では貝やゴカイやカニなど様々な海の生き物が生息しています。また、これら生き物を餌(えさ)とする鳥たちも干潟を利用します。このように干潟の役割の大きなものの一つは、多くの生き物に生息する場と餌をあたえることです。浅い干潟や藻場には大きな魚が近づけないため、生き物の生まれたばかりの子供たちが食べられる危険(きけん)が少なくなります。そこで、多くの海の生き物は、子供たちの生育の場として、干潟や藻場を利用しています。 干潟や藻場のもう一つの大きな役割は、海水をきれいにする働きをもっていることです。富栄養化(ふえいようか)した海では、植物プランクトンが大量に発生し、赤潮(あかしお)を引き起こして他の生き物などに悪影響(あくえいきょう)をおよぼすことがあります。干潟にいる二枚貝などの生き物は、植物プランクトンを餌として食べてしまうので、その結果として海水をきれいにしていると考えられます。また、藻場の植物は、富栄養化の原因(げんいん)となる海水中に溶(と)けている窒素(ちっそ)やリンを吸収(きゅうしゅう)して成長します。これらのことから、干潟や藻場は、周辺の海水をきれいにする働きがあります。

 干潟や藻場の役割を、きちんと測(はか)るのはどのようにしたらよいか、残り少なくなった干潟や藻場をどのように守っていくか、そして、海岸を改良(かいりょう)して少しでも干潟や藻場の働きをもたせるのにはどのようにしたらよいか、などが、これから一生懸命に調べなければならない問題です。
木更津市小櫃川河口干潟
千葉県木更津市小櫃川河口干潟のアシハラガニ。遠くに見えるのは東京湾アクアライン。
 
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