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ゴビ黄砂

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本環境標準物質は、北東アジアに広がるゴビ砂漠および周辺乾燥地帯から発生する黄砂や類似する砂塵系ダスト中の、多元素分析を行う際の分析値の精度管理や分析機器の妥当性確認に使うことを目的として研究開発され、独立行政法人国立環境研究所において作製された認証標準物質(CRM, Certified Reference Material)である。

NIES CRM No.30ゴビ黄砂の認証値

元素 質量分率 分析方法
単位 認証値 ± 不確かさ
Na % 0.939 ± 0.071 AAS, ICP-OES, ICP-MS, INAA, PIXE, XRF
Mg % 1.51 ± 0.13 ICP-OES, ICP-MS, INAA, PIXE, XRF
Al % 7.58 ± 0.42 ICP-OES, ICP-MS, INAA, PIXE, XRF
K % 2.13 ± 0.11 AAS, ICP-OES, ICP-MS, INAA, PIXE, XRF
Ca % 4.25 ± 0.35 ICP-OES, ICP-MS, INAA, PIXE, XRF
Ti % 0.426 ± 0.04 ICP-OES, ICP-MS, INAA, PIXE, XRF
Fe % 3.84 ± 0.35 ICP-OES, ICP-MS, INAA, PIXE, XRF
Mn mg/kg 768 ± 83 ICP-OES, ICP-MS, INAA, PIXE, XRF
Zn mg/kg 93.1 ± 8.5 ICP-OES, ICP-MS, INAA, PIXE, XRF
Sr mg/kg 250 ± 20 ICP-OES, ICP-MS, PIXE, XRF
Ba mg/kg 535 ± 31 ICP-OES, ICP-MS, INAA, XRF

認証値に付けた不確かさは包含係数k = 2の拡張不確かさであり、95 % の信頼区間に相当する。
AAS: 原子吸光分析法, ICP-OES: 誘導結合プラズマ発光分光分析法, ICP-MS: 誘導結合プラズマ質量分析法, INAA: 機器的中性子放射化分析法, PIXE: 粒子線励起X線分光法, XRF: 蛍光X線分析法

NIES CRM No.30ゴビ黄砂の参考値

元素 質量分率 分析方法
単位 参考値
Si % 24.1 Gravimetry, ICP-OES, XRF
P mg/kg 955 ICP-OES, XRF
Sc mg/kg 13.1 ICP-MS, INAA
Cr mg/kg 57.4 ICP-OES, XRF
Co mg/kg 13.7 ICP-MS, INAA
Ni mg/kg 29.1 ICP-OES, ICP-MS
Cu mg/kg 34.1 ICP-OES, ICP-MS
La mg/kg 40.4 ICP-OES, ICP-MS, INAA
Pb mg/kg 22.4 ICP-MS
Th mg/kg 13 ICP-MS, INAA
U mg/kg 2.62 ICP-MS, INAA

ICP-OES: 誘導結合プラズマ発光分光分析法, ICP-MS: 誘導結合プラズマ質量分析法, INAA: 機器的中性子放射化分析法, XRF: 蛍光X線分析法


1.認証値と参考値の決定法

本標準物質の認証値および参考値は、8機関(13ラボ)から報告された分析値を用いて統計的に決定された。決定された特性値のうち以下の基準を満たす値を認証値とした、1)特性値決定に使用された分析値を用いて算出された相対標準偏差が5 % 以下、2)特性値決定に使用された分析値の数が8以上、3)特性値決定に使用された分析法の種類が2以上。認証値に付けた不確かさは包含係数k =2の拡張不確かさであり、95 % の信頼区間に相当する。参考値は、(独)国立環境研究所の認証値の基準を満たさなかったため認証値としては取り扱わないが、認証値と同様に本標準物質の特性を表した値である。認証値および参考値はすべて受け取ったままの状態”as received”で決定されている。


2.形状等

500本の瓶より 10本を層別ランダム抽出し、XRF法による多元素分析を行った。一元配置分散分析により算出されたそれぞれの元素の瓶間標準偏差は1 % 以下であり併行標準偏差と比較して十分に小さく、標準物質として均質であることが確認された。


3.原料および作製法

本標準物質の原料は、ゴビ砂漠南西部の黄砂発生源地域で採取した黄砂を含む表層土をもとに、風工学的手法で分離捕集した砂塵系ダストである。2011年5月の黄砂発生シーズンに北緯44度、東経109度付近の4地点で、1200 kg の黄砂を含む表層土を採取した。Sainshand気象観測センター内の管理施設に設置したダスト発生チャンバーを用い、その表層土から砂塵を発生させた。サイクロン型分粒器(分離限界径10 µm )を用いて、微小ダストのみを分離捕集し、約2 kg の二次原料を得た。その後(独)国立環境研究所において、精製分離と回転ブレンダーによる均質化を行い1.2 kg の最終原料を得た。その最終原料を500本の褐色瓶に2 g ずつ詰めた後、60Co照射(25 kGy )による滅菌処理を施した。一連の作業はISO GUIDE 34に準拠して行われた。


4.均質性

500本の瓶より 10本を層別ランダム抽出し、XRF法による多元素分析を行った。一元配置分散分析により算出されたそれぞれの元素の瓶間標準偏差は1 % 以下であり併行標準偏差と比較して十分に小さく、標準物質として均質であることが確認された。


5.保管及び使用上の注意事項

  1. 瓶開封の際は汚染に注意し、開封後はできるだけ速やかに使用することが望ましい。
  2. 本物質は配布時の瓶のままデシケーター内で室温(30 ℃ 以下)保存すること。開封後も同様の条件下で保存すること。
  3. 物質は分取前に瓶を軽く振って混和させること。
  4. 本物質の1分析あたりの使用量は0.02 g 以上が望ましい。
  5. 本物質を吸い込まないよう取り扱いに注意すること。
  6. 本物質を研究目的以外に使用しないこと。物質の廃棄の際は、廃棄物の処理および清掃に関する法 律を遵守すること。
  7. 本物質の認証値及び参考値はすべて受け取ったままの状態”as received”で決定されている。(独)国立環境研究所において105 ℃、4時間の乾燥条件下での平均水分含量は3.2 % (n = 14)であった。
  8. 本標準物質は炭素を約2 % 含んでいるので分析時に留意すること。

6.有効期限

本標準物質の認証値の有効期限は、上記保管条件が守られることを前提として2022年9月とする。有効期限内に特性値の変化が認められた場合は、(独)国立環境研究所ホームページ等において公表する。


7.分析協力機関

本標準物質の認証値および参考値は、次の8機関の分析値をもとに決定された。
(独)国立環境研究所、いであ(株)、グリーンブルー(株)、(株)島津テクノリサーチ、中国原子能科学研究院、Elemental Analysis, Inc.、(株)ニッテクリサーチ、ムラタ計測器サービス(株)


8.作製協力機関

原料採取および二次原料の分離捕集は、モンゴル国気象環境監視庁気象水文研究所ならびにSainshand気象観測センターとの国際協力によって行われた。


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