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 クロレラ標準試料は、生物試料-特に藻類-の化学分析を行う際に、本試料を用いて分析値および分析方法の正確さが評価できることを目的として作製された環境標準試料である。

 本標準試料はクロレラ藻体から調製した天然物試料であり、元素組成からみた特徴はリン、鉄の含有量が高く、重金属含有量が低いことである。

 クロレラ標準試料は元素含有量に関する標準試料であり、現時点では、9元素に対して保証値(Certified value)および4元素に対して参考値(Reference value)が定められている。

1.保証値および参考値

 クロレラ標準試料の保証値は、表に示した分析方法による12~28個の分析値に基づいて決定されており、各元素に対して少なくとも3種類の原理が異なった分析方法が用いられている。

 保証値の範囲は、すべての分析値の標準偏差の2倍および各分析方法ごとの平均値の95%信頼限界を含む範囲として決定されており、測定誤差および分析方法間の偏りを含む。

保証値

元 素 含有量*1 (wt.%) 分析方法*2
カリウム K 1.24±0.06 a,b,c,d,f
カルシウム Ca 0.49±0.03 a,b,c,d,f,g
マグネシウム Mg 0.33±0.02 a,c,f,g
Fe 0.185±0.010 a,c,d,f,g,h
元 素 含有量*1 (μg/g) 分析方法*2
マンガン Mn 69±5 a,c,d,f,g
ストロンチウム Sr 40±3 a,b,c,d,f,g
亜鉛 Zn 20.5±1.0 a,c,d,f,g
Cu 3.5±0.3 a,c,d,e
コバルト Co 0.87±0.05 a,c,f

含有量 *1
乾燥重量当たり。乾燥方法については、試料取り扱い法を参照すること。
分析方法 *2

a: 原子吸光分析法 b: 炎光光度分析法
c: プラズマ発光分析法 d: ケイ光X線分析法
e: 同位体希釈質量分析法 f: 中性子放射化分析法
g: 光量子放射化分析法 h: 吸光光度法

参考値

元 素 含有量*1 (wt.%)
リン P 1.7 
元 素 含有量*1 (μg/g)
Pb 0.60
カドミウム Cd 0.026
スカンジウム Sc 0.013

含有量*1
乾燥重量当たり

2.取り扱い法

(1) 試料の乾燥方法

 クロレラ標準試料の保証値と参考値は、乾燥重量を基礎として表されている。 本試料を電気乾燥器中で、85℃、4時間乾燥させ、シリカゲルデシケータ中で約30分間放冷後、秤量して乾燥重量とすること。

(2) 試料の採取量

 クロレラ標準試料の均一性を保つため、一回の試料採取量は少なくとも300mgをとること。 分析方法によっては少量の試料を使わざるを得ない場合があるが、試料採取量が少ないことによる不均一性の問題は現在までのところ報告されていない。

(3) 試料の保存法

 クロレラ標準試料は配布されたビン中に保存し、使用後は密栓して、室温でデシケータ中に保存すること。 試料の採取操作などにおいて、試料の汚染を起こさないように注意すること。

3.調製法および均一性

 標準試料の調製には市販の調剤用クロレラ藻体を用い、V型混合機で2時間混合して、36gずつ褐色ビン(920本)に充填した。

 クロレラ標準試料の均一性を調べるため、ランダムに選んだ8本の試料ビンからそれぞれ3つの試料をとり、酸分解−プラズマ発光分析法によりP、K、Ca、Mg、Fe、Mn、Sr、Zn、Cuを定量した。

 分析値を分散分析した結果、ビン間のばらつきは相対標準偏差としていずれも1%以下であり、クロレラ試料は標準試料として十分に均一であると考えられる。

4.参考文献

1 環境標準試料NIES No.3「クロレラ」について
季刊環境研究、42,114(1983)
岡本研作、不破敬一郎
2 Application of ultrasound-assisted acid leaching procedures for major and trace elements determination in edible seaweed by inductively coupled plasma-optical emission spectrometry
Talanta, 66: 937-942(2005)
Raquel Domínguez-González, Antonio Moreda-Piñeiro, Adela Bermejo-Barrera, Pilar Bermejo-Barrera
3 Simultaneous determination of suspended particulate trace metals (Co, Ni, Cu, Zn, Cd and Pb) in seawater with small volume filtration assisted by microwave digestion and flow injection inductively coupled plasma mass spectrometer
Anal. Chim. Acta, 594: 52-60(2007)
Seiji Nakatsuka, Kei Okamura, Kazuhiro Norisuye, Yoshiki Sohrin