ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

 本環境標準物質は、米の多元素分析を行う際の分析値の精度管理や分析機器の妥当性確認に使うことを目的として研究開発された認証標準物質(CRM, Certified Reference Material)であり、NIES CRM No.10シリーズの更新物質である。8元素に対して認証値、5元素に対して参考値が与えられている。

NIES CRM No.10-d玄米粉末の認証値

元素 質量分率 分析方法
単位 認証値 ± 不確かさ
Mg % 0.156 ± 0.007 ICP-OES, ICP-MS
K % 0.384 ± 0.024 AAS, ICP-OES, ICP-MS
Mn mg/kg 9.59 ± 0.82 ICP-OES, ICP-MS
Fe mg/kg 16.4 ± 1.8 ICP-OES, ICP-MS
Cu mg/kg 7.18 ± 0.63 ICP-OES, ICP-MS
Zn mg/kg 26.5 ± 1.1 ICP-OES, ICP-MS
Sr mg/kg 0.217 ± 0.024 ICP-OES, ICP-MS
Cd mg/kg 0.401 ± 0.034 AAS, ICP-OES, ICP-MS, ID-ICP-MS

認証値に付けた不確かさは包含係数k=2の拡張不確かさであり、95 %の信頼区間に相当する。 認証値はすべて乾燥重量当たりの値である。
AAS: 原子吸光分析法, HR ICP-MS: 高分解能誘導結合プラズマ質量分析法, IC: イオンクロマトグラフ法, ICP-AES: 誘導結合プラズマ発光分光分析法, ICP-MS: 誘導結合プラズマ質量分析法, ID-ICP-MS: 同位体希釈誘導結合プラズマ質量分析法, NAA: 中性子放射化分析法, XRF/WDX: 波長分散形蛍光X線分析法

NIES CRM No.10-d玄米粉末の参考値

元素 質量分率 分析方法
単位 参考値
P % 0.386 AAS, ICP-OES
S % 0.128 ICP-OES
Na mg/kg 13.5 AAS, ICP-OES, ICP-MS
Ca mg/kg 107 ICP-OES
Mo mg/kg 0.762 ICP-OES, ICP-MS

参考値はすべて乾燥重量当たりの値である。
AAS: 原子吸光分析法, EA: 元素分析法, HR ICP-MS: 高分解能誘導結合プラズマ質量分析法, ICP-AES: 誘導結合プラズマ発光分光分析法, ICP-MS: 誘導結合プラズマ質量分析法, NAA: 中性子放射化分析法, XRF/WDX: 波長分散形蛍光X線分析法

1.認証値と参考値の決定法

 本標準物質の認証値および参考値は、8機関(14ラボ)から報告された分析値を用いて統計的に決定された。決定された特性値のうち以下の基準を満たす値を認証値とした、1)特性値決定に使用された分析値を用いて算出された相対標準偏差が5 %以下、2)特性値決定に使用された分析値の数が8以上、3)特性値決定に使用された分析法の種類が2以上。認証値に付けた不確かさは包含係数k = 2の拡張不確かさであり、95 %の信頼区間に相当する。参考値は、国立環境研究所の認証値の基準を満たさなかったため認証値としては取り扱わないが、認証値と同様に本標準物質の特性を表した値である。認証値および参考値はすべて乾燥重量当たりの値である。

2.形状等

 本標準物質は、褐色瓶に詰めた象牙色粉体である。

3.原料および作製法

 本標準物質の原料は、国立環境研究所内の生態系研究フィールドの管理区域内においてコシヒカリを水耕栽培し収穫したものである。稲の穂先のみを刈り取った後、脱穀・籾摺り・風選工程を経て、約10 kgの玄米を得た。玄米は70 ℃のオーブンで24時間乾燥後200 µmふるいリング付ローターミルを用いて粉砕し、Vブレンダーで均質化した。均質化された玄米粉末は15 gずつ褐色瓶(609本)に詰められ、60Co照射(20 kGy)による滅菌処理が施された。一連の作業はISO GUIDE 34に準拠した。

4.均質性

 609本の瓶より 10本を層別ランダム抽出し、ICP-OESを用いて多元素分析を行った。一元配置分散分析により算出されたそれぞれの元素の瓶間標準偏差は併行標準偏差と比較して十分に小さく、標準物質として均質であることが確認されている。

5.安定性

 瓶詰め後6か月にわたる長期安定性試験、および2週間の短期安定性試験(-20 ℃、50 ℃)の結果、試料中の各元素濃度について有意な変動は認められなかった。

6.保管及び使用上の注意事項

  1. 瓶開封の際は汚染に注意し、開封後はできるだけ速やかに使用することが望ましい。
  2. 本物質は配布時の瓶のままデシケーター内で室温(30 ℃以下)保存すること。開封後も同様の条件下で保存すること。
  3. 本物質は分取前に瓶を軽く振って混和させること。
  4. 本物質の1分析あたりの使用量は0.2 g以上が望ましい。
  5. 本物質を吸い込まないよう取り扱いに注意すること。
  6. 本物質を研究目的以外に使用しないこと。物質の廃棄の際は、廃棄物の処理および清掃に関する法律を遵守すること。
  7. 本物質の認証値および参考値はすべて乾燥重量あたりで決定されている。定量の際には、成分分析用試料を分取した瓶から水分含量測定用試料も分取する。国立環境研究所において85 ℃、4時間乾燥条件下で測定した水分含量は約3 %であった。水分含量は保存条件により変動するので、必ず毎分析時に測定し補正すること。

7.有効期限

 本標準物質の認証値の有効期限は、上記保管条件が守られることを前提として2022年9月とする。有効期限内に特性値の変化が認められた場合は、国立環境研究所ホームページ等において公表する。

  • 国立環境研究所ホームページ

8.分析協力機関

 本標準物質の認証値および参考値は、次の8機関の分析値をもとに決定された。 国立環境研究所、いであ(株)、(株)環境管理センター、 (株)島津テクノリサーチ、内藤環境管理(株)、(株)ニッテクリサーチ、 (財)日本食品分析センター、ムラタ計測器サービス(株)