(別紙3) 政策対応型調査研究の平成16年度事業計画
1.循環型社会形成推進・廃棄物対策に関する調査・研究
政策対応型調査・研究
(1)循環型社会への転換策の支援のための評価手法開発と基盤システム整備に関する研究
平成16年度事業計画
- 諸統計・調査資料をもとに、循環資源の発生・処理・処分・再利用に関するマテリアルフローを体系的に示した数表を複数時点について構築する。動脈部門を含めた経済活動全体についての物量産業連関表と、廃棄物・循環資源関連部門のより詳細なフロー分析表との結合を進める。これらをもとに、資源の循環的利用の促進が他の部門に与える影響を分析する。マテリアルフローに基づく「循環の指標」の改良、実証研究を進める。
- LCA手法を用いて、資源循環の促進による環境負荷の低減効果を評価するため、プラスチックなどの代表的な物質のリサイクル技術を対象とした事例分析をさらに進める。廃棄物処理・処分に伴う環境影響のLCAにおける評価手法の検討を進める。容器包装、耐久消費財などの主要分野について、リサイクル技術に関する技術動向、リサイクルに係るマテリアルフローの動向、実施中・検討中の具体的な政策手段を踏まえて、評価対象とする循環促進策のシナリオ作成に着手するとともに、ライフサイクルでの環境影響低減効果をはじめとする評価の視点の整理を行う。
- 地域における廃棄物・循環資源の移動と循環の範囲について、埼玉県において構築した地理情報を用いて、その成因を輸送モデルまた需給適合モデル等により解析するとともに、資源変換または物流の拠点を仮想的に設置または除去した場合の地理的なフローの変化を予測する。さらに、これら循環スケールと経済・社会・環境上のパラメータとの関係を検討して、地域循環の達成度と適正さを表す循環度指標の試案を提示する。
- リサイクル材料又は製品の安全性の評価方法及びその有効利用法について研究する。都市ごみ溶融スラグ、建設廃材などを利用したリサイクル製品の用途ごとの利用条件を踏まえた促進試験方法を含む安全性試験法、有害物質の挙動のモデル化などについて検討するとともに、各安全性をトータルに評価し得るバイオアッセイや有効利用の事例的研究を行う。さらに当該各試験法の規格化や標準化のための基礎資料を提供する。
政策対応型調査・研究
(2)廃棄物の循環資源化技術、適正処理・処分技術及びシステムに関する研究
平成16年度事業計画
- 熱処理プロセスからの微量有害物質等の生成排出特性、モニタリング方法及び安全性に係る指標等の調査・解析及び実験研究に基づき、循環型社会への適合性の観点からの同プロセスの詳細な評価を行うとともに、吸着法等による高度分離技術の適用及びシステム化に関する開発・改良を進める。また、高疎水性有機臭素化合物の物性パラメータ整備を進めるとともに、物性値及び物性推算モデルを負荷物質の挙動解析及び処理・資源回収の技術開発へ応用する。
- 地域における生活関連及び農業・製造業分野から発生する有機性廃棄物全体について、物質収支、環境及び経済的観点から適正な循環構造やシステムをモデル的に設計し、フィジビリティの評価・検討を行う。また、有機性廃棄物から循環資源である乳酸・水素・メタン及びアンモニアを回収する技術システムについてベンチスケール或いはプラントスケールでの実証実験を継続し、資源化システム設計の基礎情報を拡充する。
- 埋立容量要件が異なる最終処分場を抽出し、パイロット試験を行うことで処分場再生の適用性、安全性を評価する。海面と陸上最終処分場のLCIやLCC比較に伴い、広域最終処分場の物流や維持管理要件の影響を検討する。水平暗渠敷設による海面埋立処分場の埋立地ガスのモニタリングと数値解析的評価を行い、暗渠敷設における設計要件を抽出、検討する。
- 最終処分場の安定化を表す特徴的な指標群を提示するとともに、安定化診断システムを設計し、実際の最終処分場において検討する。処分場観測井における連続監視記録を元にした処分場の簡易評価スキームを構築する。工学的な安定化促進手法の適用による処分場廃棄物層の安定化促進プロセスのモデルを構築し、適切な運転・維持管理手法の提案を行う。
政策対応型調査・研究
(3)資源循環・廃棄物管理システムに対応した総合リスク制御手法の開発に関する研究
平成16年度事業計画
- 逆相HPLC(RP-HPLC)やゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)等を用いた化学分画手法を導入して、循環資源、廃棄物試料の複合試料中の活性物質の同定、活性寄与率評価を進める一方で、POPs代謝物(biotic metabolites)の毒性評価まで踏み込んだin vitroアッセイ評価系の構築を試みる。バイオアッセイバッテリーについては、現在のプロトタイプのスコアリングについて検討を加え、具体的な運用システムを提示するとともに処理対策などの評価事例をふまえ、早期警戒システム運用マニュアルを作成する。
- 有機臭素化合物の化学分析の最適化・高度化を図りつつ、バイオアッセイも用いた挙動評価を行う。圧縮・破砕過程における排出と排ガス処理プロセスにおける臭素化合物の低減についてのフィールド研究、多成分系の物性推算が可能なUNIFACモデルへの適用、浸出メカニズムや処理特性、埋立物、処分類型に応じた排出係数推定、燃焼試験に基づく非制御燃焼過程や高度分解処理過程からのBFRsの排出係数把握を行う。物質フローモデル/環境動態モデルは、未知の発生源からの進入を盛り込み、近年の環境測定値からの検証を行いつつ、リサイクルシナリオモデルの検討を進める。
- 難揮発性化学物質の抽出・分画法の改良、LC/MSによる同定手法の開発、新イオン化法の高感度化を行う。また、従来LC/MSで感度が乏しかった難揮発性臭素化合物の高感度検出法を開発する。浸出水中の有機成分の特性化を検討し、有害性との関連、LC/MS分析結果との関連を明らかにして、包括分析としての位置づけを行う。また、誘導体化法によるアミノ化合物の同定手法を開発し、複雑系廃棄物を対象とした有機スズ化合物の分析法を開発する。
- 分解技術研究として、標準品を用いて加圧熱水反応での分解機構を解明するとともに触媒の添加効果を調べる。金属ナトリウムによるPCBの分解メカニズムを解明する。PCN等の有機塩素化合物を光分解で無害化する技術を開発する。固体電解質を利用した電解還元法及びパラジウムやニッケルを担持した電極触媒還元法による有機塩素化合物の脱塩素化技術を開発し、高圧水素還元法による有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン反応について基礎的検討を行う。
政策対応型調査・研究
(4)液状廃棄物の環境低負荷・資源循環型環境改善技術システムの開発に関する研究
平成16年度事業計画
- 生活排水対策の高度化のために、窒素、リン除去機能を有さない合併処理浄化槽等の硝化・脱窒の機能向上化を図るとともに、吸着脱リンプロセスを導入して、処理性能、リン吸着担体の持続性の評価に基づくリン除去型高度処理システムの技術開発及び破過吸着担体からのコスト、エネルギーのミニマム化を考慮した効率的なリン回収方法の検討を行い、リン脱離・回収工程を最適に組むためのシステムの確立化を進める。
- し尿・生活雑排水等の液状廃棄物処理において、生物処理システムの適正維持管理のための分子生物学的手法の各種手法を総合した解析・評価方法、浄化性能の安定維持及び維持管理の容易化を図る上での分子生物学的手法等を用いた迅速評価・管理手法の開発と適用化を図る。
- アジア地域の開発途上国を視野に入れ、熱帯シミュレータを活用し、ラグーン浄化システムと植栽浄化システムとの組み合わせによる窒素、リン除去能の高効率化及び魚類導入による汚泥減量化、並びに土壌浄化システムの硝化・脱窒などの土壌中の微生物機能解析に基づく適正設計、適正操作のための解析を行い、実証化試験を進める。
- バイオマスとしての生ゴミのディスポーザー破砕物、汚泥等の高濃度液状廃棄物を対象として、再資源化も踏まえた嫌気性処理システム、好気性処理システムの発酵プロセス及びオゾン等による物理・化学的処理と生物処理の最適組合せの技術開発を進める。また、液状廃棄物処理における処理効果や処理水の生態学的安全性を的確に評価しうるエコアッセイシステムとして藻類自動培養装置を用いた高精度・迅速・簡易な手法開発と富栄養化抑制効果の評価を行う。
2.化学物質環境リスクに関する調査・研究
政策対応型調査・研究
(1)曝露評価の高精度化、効率化
平成16年度事業計画
- PRTR物質を中心に空間分布の詳細な推定を行うとともに、時間的変動の予測モデルの開発に向けて、POPsの経年的インベントリを作成し、体内動態モデルとの統合の予備検討を行う。
- 開発したモデルの改良・検証を進めるとともに、これらのモデルを運用するためのデータベースの整備を進め、また、具体的な物質群を対象に適用して、曝露可能性に基づいた優先順位付けを行う。
- 化学物質の環境挙動に関する情報整備を行うとともに、モニタリング結果の解析方法について検討する。
- 上位に優先順位付けされた化学物質の曝露に係る情報を収集・解析し、ヒトと生物に対する曝露評価を行う。
政策対応型調査・研究
(2)健康影響評価の高精度化、効率化
平成16年度事業計画
- 遺伝的感受性要因を解明するための血液試料の採取を継続するとともに、試料からDNAを抽出し、PCR−RFLP法を用いた遺伝多型解析を行う。薬物代謝酵素の遺伝多型と化学物質に対する感受性との関連を解析する。
- 環境モニタリングへの適用を目指して変異原物質検出用遺伝子を組み込んだゼブラフィッシュを用いた水中に存在する変異原物質を検出する手法を開発する。バイオアッセイの測定結果をモニタリング指標として活用するために、生体内で化学物質が示す変異原性と発がん性との定量的な関係を求める実験を行う。
- 代謝活性化を中心に作用機構を考慮した化学物質群ごとの複合曝露評価手法を検討し、有害大気汚染物質の複合曝露評価を行う。
- 既存化学物質に関する有害性情報を収集、データベース化するとともに、化学物質構造との関連を解析する。
政策対応型調査・研究
(3)生態影響評価手法の高精度化
平成16年度事業計画
- 水生植物を用いた慢性毒性試験の試験法の確立及びOECDドラフトテストガイドラインの検討を行う。
- 収集した水生生物を中心とした生物影響データを整理・解析し、藻類と甲殻類に係る構造活性相関の開発を行う。
- 個別の毒性試験結果を生態リスクに外挿する際に考慮すべきエンドポイントの抽出を行う。
- 集団サイズに応じて生ずる近交弱勢による集団の絶滅リスク評価法の検討を行う。
政策対応型調査・研究
(4)リスクコミュニケーションの促進
平成16年度事業計画
- 住民に分かりやすいリスク情報の加工方法を検討し、化学物質データベースに反映する。
