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Ⅳ 平成22年度終了特別研究
1.九州北部地域における光化学越境大気汚染の実態解明のための前駆体観測とモデル解析

研究の概要

長崎県五島市福江島に大気観測施設を設置し、オゾン、非メタン炭化水素、窒素酸化物、一酸化炭素、微小粒子状物質を観測した。2009年春に100ppbを超えるオゾンと共に高濃度の粒子状硫酸塩や有機エアロゾルを観測した。モデル解析の結果、主に中国大陸からの越境輸送が高濃度の原因であるが、オゾンについては東アジア以外からの流入も多いこと、春季3〜6月平均の中国寄与率は、オゾンが26%、エチレンが23%、粒子状硫酸塩が83%、窒素化合物NOyが62%と高いことなどが明らかとなった。中国における前駆物質排出インベントリの検証、大気汚染予報システムの検証なども進めた。

[外部研究評価委員会事前配付資料 (PDF 564KB)]

研究目的と実施内容 / 研究予算 / 研究成果の概要/誌上発表及び口頭発表

研究期間

平成20〜22年度(3年間)

外部研究評価委員会による事後評価

平均評点 4.4点(五段階評価;5点満点)

外部研究評価委員会の見解

[現状評価]

福江島における大気汚染物質の観測を継続し中国からの越境輸送の寄与を推定するためのモデルを整備することを目的として進められ、ほぼ期待通りの成果が得られた。

また、越境化学汚染のモニタリング基地ができ、そこでの観測データの採集方法が確立したことは評価される。

[今後への期待、要望]

今後、モニタリングの方法論の改良や長期の測定が期待される。こうした、基礎的な測定結果は、環境問題の現状を明らかにする上で不可欠であり、モデルの精度や信頼性を向上させるためにも重要であり、さらに観測データの強化を期待する。

この成果を今後どのように活かしていくのか最善の方策を決めていく必要があろう。政策や外交への反映も含め、中国との共同研究をもっと積極的に進めるべきである。また、海外からの寄与推定は環境改善の政策や国際的な連携を強化する面からも重要と思われる。

対処方針

福江島におけるオゾン、窒素酸化物、炭化水素およびエアロゾルの観測を継続し、モデル解析と合わせて、越境光化学オゾンに対する東アジアの影響を正しく評価すると共に、成果を環境改善や政策に活用する方策についても検討を進めて行きたい。また、中国との共同研究については、清華大学との都市大気汚染研究、大気物理研究所とのモデル研究、北京師範大学との排出インベントリ研究などを推進するとともに、日中韓の研究者間でのモデル相互比較研究の準備を進めており、今後も連携を強化していく。

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