ホーム > 研究紹介 > 研究計画・研究評価 > 外部研究評価 > 平成20年外部研究評価実施報告 > 地球温暖化研究プログラム  (平成18年度〜22年度)

ここからページ本文です

Ⅰ 重点研究プログラムの年度評価
1.地球温暖化研究プログラム (平成18年度〜22年度)

1)研究の概要

二酸化炭素等の温室効果ガスや関連気体等の空間分布とその時間変動の観測とデータ解析に関する研究、人工衛星を利用した温室効果ガスの測定データ処理解析手法の開発、二酸化炭素濃度分布等の観測データと大気輸送モデルに基づく二酸化炭素収支の解析手法に関する研究を行った。また、気候・影響・陸域生態・土地利用モデルの統合によるシミュレーションモデルの開発及び将来の気候変化予測と影響評価に関する研究、将来の脱温暖化社会の構築に係るビジョン・シナリオ研究、気候変動に関する国際政策分析、気候変動対策に関する研究等を行った。

2)外部研究評価委員会による年度評価の平均評点

4.2  点

3)外部研究評価委員会の見解

[現状評価]

本プログラムは、広範な問題に対しての多くのアプローチが必要とされる分野であり、独立行政法人の研究機関ならではのスケールの大きな研究が展開されている。目標設定が適切であり、課題に対して真正面から取り組み、非常に精力的に研究が実施されることで、CONTRAILをはじめとした高い科学技術レベルの研究成果が得られている。これ等の研究成果を政策貢献にまで有機的に結びつけて研究が展開されていることも評価できる。IPCCなどの国際的な場を利用してわが国の戦略を広め、同時にアジア各国への展開を図っていくという本プログラムのアプローチは、総合科学技術会議が唱えている「環境外交」とも合致しており、わが国におけるグローバルな環境問題への対応の一つのモデルになると考えられる。

[今後への期待、要望]

今後、GOSATプロジェクトなどをはじめとして、本プログラムがグローバルな炭素循環の研究に大きく貢献することが期待される。この際、膨大な観測データを適正に処理、解析し、十分な科学的成果を引き出せるような研究組織のマネージメントが重要となろう。
政策提言に関しては、さらに全体像を見渡し、2050年に世界全体で50%(日本では80%程度の)削減を目指したライフスタイル、社会システム形成の指針を示し、脱温暖化に向けたより一層の具体的な提言をして頂きたい。また、提言に留まらず、政策の具体化、実施の段階においても、科学的側面でリーダーシップを発揮することを期待する。
低炭素社会への移行過程で、対応を迫られる課題に対する国民とのリスクコミュニケーションについての研究についても検討して頂きたい。
諸外国も含めた外部機関、特にアジア諸国の研究者との積極的な連携を一層促進して欲しい。

4)対処方針

地上サイト、船舶・航空機利用、GOSATなどの各種プラットフォームから得られる観測データをグローバルな炭素循環研究に有効に活用できるよう、本プログラム内のみならず、所外を含めたデータ利用の研究協力体制の強化を図りたい。政策提言に関しては、温室効果ガスの大幅削減を前提とした将来社会像(低炭素社会)を見通しつつ、そのような社会の形成に向けた具体的な提言に関する研究を進めるとともに、政策の具体化・実施の段階において必要とされる科学的知見の提供につながる研究に取り組みたい。また、低炭素社会への移行段階における諸問題の国民とのコミュニケーションについての研究については、今後検討を進めたい。これまで実施してきたアジアを含む諸外国の研究機関・研究者との連携を強め、また新たな連携の可能性について検討を進める。

Adobe Readerのダウンロードページへ PDFの閲覧にはAdobe Readerが必要です。Adobe社のサイトからダウンロードしてください。