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Ⅳ 平成17、18年度終了特別研究の事後評価
4.有機フッ素化合物等POPs様汚染物質の発生源評価・対策並びに汚染実態解明のための基盤技術開発に関する研究

  • 更新日:2007年7月23日

1)研究の概要

残留性有機汚染物質(POPS)として取り組み優先度の高いフッ素系界面活性剤(PFOS類)並びに多環芳香族炭化水素(PAHS)を対象として研究を実施した。PFOS類は用途並びに排出情報を整理し、主要排出経路である水系を中心に都内河川並びに全国沿岸域の環境汚染状況を解明し、下水処理過程で除去しきれないことを示した。また紫外線分解できることを示し分解経路の概要を明らかにするとともに、魚の曝露マーカー蛋白を同定した。一方、非意図的生成物質のPAHSは放射性炭素14Cを用いた発生源同定・分配法を確立し、東京周辺でのバイオマス起源の大気中燃焼生成物の割合を推定する事に成功した。

外部研究評価委員会事前配付資料抜粋(以下、PDF [114KB])

研究目的と実施内容

研究予算

研究成果の概要

2)研究期間

平成15〜17年度(3年間)

3)外部研究評価委員会による事後評価の平均評点

4.3  点

4)評価結果の概要

本研究では、有機フッ素化合物等POPS様汚染物質の発生源並びに汚染実体解明という緊急性の高い課題に積極的に取り組み、詳細な研究を世界に先駆けて実施しており、達成度は高く、社会・行政への貢献度も高い。しかし、POPSあるいはそれの類縁物質を健康リスクが懸念される化学物質として規制的措置の対象とするにはデータ解釈を含む科学的な知見が不十分であり、今後戦略的な研究展開が求められる。一方、POPS等について排出源はほぼ特定できつつあるとのことであるが、今後対策や行政にどのように反映し、総合的に管理するか検討する必要があろう。また、感度の高い分析法を用いた本研究の成果は,影響評価側のプログラムを立案する際に,国内外にかかわらず有効となるであろう。今後は、研究成果が最大限活用されるよう、社会への周知も含め、発信の仕方を工夫してほしい。

5)対処方針

フッ素系界面活性剤の毒性は入り口のPRARと呼ばれる受容体との結合がその引き金を引いていると考えられているものの、研究はまだまだこれからの状態であり、現状では十分なリスク評価ができる段階ではないと考えられます。しかしながら、PFOSの場合、反復投与試験による齧歯類への影響のNOAELは、投与動物自体へもF2世代に対しても1mg kg-1 day-1を切ると報告されています。また、カルボン酸タイプのBCFは炭素が一つ増えると8倍増加するとも報告されており、現在話題になっているPFOA以外のより鎖の長い化合物の濃度レベルやそのリスク評価が注目されます。今回の特別研究は、リスク研究を支える柱の一つとしての化学分析に的を絞って研究を推進しましたが、今後毒性研究グループとの研究交流を通じてより的確なリスク評価に貢献できるよう、努力していきたいと考えています。

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