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Ⅰ 重点研究プログラムの年度評価
4.アジア自然共生研究プログラム  (平成18年度〜22年度)

  • 更新日:2007年7月23日

1)研究の概要

粒子状及びガス状の大気汚染物質と黄砂の地上観測、航空機観測、ライダーネットワーク観測等を行い、国内外の観測の連携を進めるとともに、数値モデルと排出インベントリの精緻化を進めて、観測データ・モデル解析の両面から日本国内を含むアジア地域の大気環境施策立案に必要な科学的知見とツールを提供する。また、長江等の東アジア地域の流域圏について、国際共同研究による水環境に関する科学的知見の集積と持続的な水環境管理に必要なツールの確立を目指し、観測と数値モデルを組合せ、水・物質循環評価システムを開発する。そして、都市・流域圏における環境管理の技術インベントリを整備し、持続性評価指標体系を構築することにより、技術導入効果に基づく適切な技術システムと政策プログラムの設計を含む流域の長期シナリオ・ビジョン構築の方法論を開発する。さらに、特定流域の高解像度土地被覆分類図・湿地機能評価図を作成し、流域生態系の自然劣化実態を把握すると共に、代表的生物の多様性・生態情報及び気象・水質等の環境データを取得し、流域生態系環境データベースを構築する。また、環境影響評価に不可欠な水環境のデータ取得とモデル化並びに好適生息地評価のための景観生態学的手法や河口域生態系への影響評価手法を開発し、流域生態系管理手法を検討する。

外部研究評価委員会事前配付資料抜粋(以下、PDF [289KB])

実施体制

研究の目的と今年度の実施概要

研究予算

平成18年度研究成果の概要

平成19年度の研究展望

2)外部研究評価委員会による年度評価の平均評点

3.7  点

3)外部研究評価委員会の見解

三つの中核的プロジェクトにより構成されており、それぞれが観測データにモデルなどを組み合わせた検討を行うなど、一定の研究成果を挙げつつ対象国との協力関係を構築し、着実にデータ集積の成果を上げる体制が出来てきている。アジア諸国との協働研究を行うに際しては、研究機関との連携ばかりでなくアジア地域におけるわが国の果たすべき役割に関して、政治的な面も考慮してアジア各国との友好関係の進展を促進する総合的な体制作りが求められるであろう。この観点からは、未だ個別研究の集まりという段階であり、今後、わが国としてのアジアに対する環境研究戦略を考えていくことが必要となる。これによりアジア側から見たときに国環研がどのような役割を果たそうとしているのかが判りやすくなり、かつプログラムとしてのまとまりも見えてくることとなる。各プロジェクトについては、国内に対して、あるいは国際的な研究コミュニティーに対する広報面での努力も必要であろう。

4)対処方針

アジアの環境は、アジア各国と日本にとって共通の持続的な発展の基盤である、との立場に立った協働研究を通して、環境に対する共通の認識の形成と環境改善への貢献を進める姿勢を更に強めたい。このことが、友好関係さらには政治的・経済的な波及効果を生み出すと考えている。その上で、次の二つの側面から個別研究を統合的に発展させる。第一に、研究戦略については、アジアを主対象とする国内外の環境研究プロジェクトと対比する中で、本プログラムの位置と役割を捉え直す活動を行う。そのために、個別対話やセミナー等を集中的に実施する。また、和文、英文のホームページの充実により、研究コミュニティーへの広報を強化する。第二に、研究実施面では、各中核プロジェクトにおける観測・モデリング研究の成果を踏まえ、大気環境、水環境、生態系の間の相互作用に関するモデリング研究を強化し、人間活動と自然の相互作用の統合的な理解と環境管理への応用を目指す。更に、人文社会科学的な研究も含めた、具体的な都市域や流域圏における環境問題に取り組む研究を通じて、自然共生研究としての統合を進めたい。

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