Ⅲ 知的研究基盤の事後評価
2.地球環境研究センター
- 更新日:2006年9月25日
1)研究の概要
地球環境の『モニタリング』を実施する、スーパーコンピュータやデータベースなどを中心とする地球環境研究の『支援』を行う、地球環境研究の様々な学問領域、対象、国々などの研究を『総合化』する。
2)研究期間
平成13年度〜
3)平成17年度研究成果の概要
<戦略モニタリング・データベースの整備>
(1) 温室効果ガス
- 波照間島・落石岬における連続自動観測の継続。新10m観測タワーの設置
- 西太平洋南北海洋性大気の観測の継続。同位体・酸素観測との連携
- 標準ガスの整備(第二世代CO2、オゾン校正など)
- シベリア上空(3地点)の高度分布測定の継続と高頻度化・地上支援観測の整備
- 北太平洋のCO2 収支観測の継続及び西太平洋での新たな観測設備の整備
- 富士山北麓において新サイトを立ち上げ、観測を開始
- 天塩における森林施業による炭素循環モニタリング継続
(2) 成層圏オゾン減少
- つくばにおける成層圏オゾンのミリ波分光観測の継続
- つくばにおけるFTIR による高分解能観測の継続
- 陸別での成層圏オゾンのミリ波分光連続観測とブリューワ分光器による紫外線観測の継続
- 有害紫外線観測ネットワークの継続
(3) 海洋・陸水環境
- GEMS/Water のモニタリング継続
- メコン河国際河川の水質・生物多様性モニタリングの実施と国際ワークショップの開催
(4) 社会科学・その他の分野
- 温室効果ガス排出シナリオデータベースの整備
- 炭素吸収源データベースの整備・衛星データの収集と解析
- マテリアルフローデータベースの整備
- 東南アジア森林データ収集整備の継続
(5) 温室効果ガス排出インベントリの整備と解析
- 日本国の温室効果ガス排出/吸収インベントリのとりまとめと報告
- 温室効果ガス排出/吸収インベントリデータの解析と東アジア地域における協力
(6) 衛星による温室効果ガスモニタリング手法の開発
- 近赤外太陽光散乱法によるCO2、CH4 の気柱濃度測定手法の開発
- 温室効果ガス観測センサーによる地上・航空機実験の実施
<地球環境研究の総合化および支援>
(1) 地球環境研究の総合化
- 炭素循環及び温室効果ガス観測ワークショップの開催
- IGBP、WCRP、IHDP によるGlobal Carbon Project 国際オフィスの運営
- UNEP のGlobal Environment Outlook 編纂への参加
(2) 地球環境研究成果の発信
- 地球環境研究センターニュースの発行(12 回)
- ホームページの充実
- CGER 事業報告書の出版
<その他>
- 温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)データ処理運用システムの検討
- オフィスビル省エネ対策技術の開発研究
4)外部研究評価委員会の見解
- 本センターにおけるモニタリング・データベース業務において優れた事業が遂行されており、地球環境に関する多項目の長期モニタリング業務も着実に進展している。これらは継続によりその意味がますます大きくなるものであり、今後の安定した運用を望む。同時に適宜、センターの事業活動に関しては広い視点から見直しを図っていくことも重要である。
- 本センターは地球環境研究の世界的な中核的な研究拠点を目指し、国際的な貢献、国内における諸機関・諸研究者との連携を重視して運営がなされている。また、広報や社会活動の面でも、CGERニュースによる情報発信などを通じてセンターのプレゼンスを高めている。
- 以上の適切な活動を継続・発展させると同時に、センターにおける業務的な活動と、先端研究を指向する若手研究者の意欲との相克のない運営を実現されることも必要である。また、世界的な拠点としての求心力を一層高めるために、海外からも含めて多様な分野からの人材確保、またセンターにおける人材育成を重視することも必要であろう。
5)今後の展望等
第二期中期計画において、モニタリング・データベース事業に関して広い観点から見直しを行いつつ、広報や社会活動を含め、センター事業を引き続き着実に遂行することとしている。また、業務的活動と研究活動の両立を目指すセンターの特殊性を考慮しつつ、世界的な拠点としての求心力を高めるための人材確保、人材育成に努力したい。