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 事後評価の年度評価(平成13年4月)
大気有害化学物質監視用自動連続多成分同時計測センサー技術の開発に関する研究

  • 更新日:2001年10月4日

1)研究の概要

多数の有害大気汚染物質を自動連続モニタリングする技術・装置の開発を行った。対象物質としては、ベンゼンやトリクロロチレンをはじめとする揮発性有機化合物等とアルデヒド類であり、揮発性有機化合物等については自動化したGC/MSシステム及びアルデヒド類については誘導体化高速液体クロマトグラフ(HPLC)法による装置を開発した。これにより、汚染の時間的変化の把握と現行モニタリングの信頼性評価、人手をかけないモニタリング法の確立、広範なモニタリングネットワークの整備に資することが可能となった。

2)研究期間

平成9〜11年度(3年間)

3)研究成果

1)揮発性有機化合物(VOC)及び一部の半揮発性有機化合物については、自動採取ガスクロマトグラフ質量分析法による自動モンタリング装置を開発した。現行の公定法である手分析法との比較による分析精度の検証試験、連続使用可能性の検討等を行った結果、測定法として実用性と有効性が認められた。1)アルデヒド類の自動モニタリング装置については、誘導体化HPLC法により、自動モニタリング装置の原型を開発した。その後この装置をもとに自動モニタリング装置が市販されるに至った。3)1)の装置については、一部の国設大気モニタリングステーションに配置され、全国的ネットワークの端緒として稼動し始めた。今後、PRTRの検証等にも有効に働くと考えられる。

4)研究予算額

総額約85百万円

5)研究実施の背景

化学物質の生産及び使用が拡大し、またゴミ焼却等による有害物質の放出等に対する社会的関心が増大してきている。これと対応して1996年に大気汚染防止法が改正・施行され、環境モニタリングプログラムの拡大がなされてきている。しかしながら、有害物質の長期的な暴露の評価のためには現行の間欠的モニタリングだけでは不十分で、連続モニタリングの必要性が高まってきている。

6)評価結果の概要

評価では、応用研究として研究成果が十分に得られており、今後このような手法の実用化と普及を図ることが重要とされた。

7)対処方針

装置の実運用、得られるデータの活用、最終的には既存の手分析による間欠的モニタリングなどと組み合わせた体系化など、検討すべき課題をこなしつつ、実用化普及を図っていきたい。本装置には、各種自己診断できるデータ処理支援ソフトウェアを組み込んでかなり対応しているが、最終的に再度人の判断に頼る場合も多く、判断条件の最適化や判断論理の改良など、当該研究で試みたAI化データ処理は、一般にモニタリングデータの精度管理、一次処理、管理などに有効であり、上記改良検討と併せて、汎用化の可能性も検討する。  また東京と大阪で多成分連続モニタリングデータを収集し、濃度変動などの解析、既存の間欠的モニタリングとの比較などから、現行モニタリングの信頼性評価についても行っていく。